※本文にはネタバレがあります

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『武士スタント逢坂くん!』第8話 “嫌い”を見つめることを学んだ逢坂くん、またひとつ成長
イラスト/おうか

“嫌い”を見つめる『武士スタント逢坂くん!』第8話

ヨコヤマノブオ『武士スタント逢坂くん!』(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)が原作のシンドラ『武士スタント逢坂くん!』(日本テレビ系)。江戸時代からタイムスリップしてきた逢坂総司郎を濱田祟裕(ジャニーズWEST)が演じる。第7話では“忖度”を学んだ逢坂くん。
第8話では“嫌い”と向き合った末、B-BOYに変身!?

【前話レビュー】『武士スタント逢坂くん!』瀬戸 VS 丹内 チーム宮上、海辺に行くと戦いがち

漫画熱が高まる一方の逢坂。宮上先生(今井隆文)の担当編集である丹内あたり(久保田紗友)や、アシスタントの緋村清人(森本慎太郎/SixTONES)、瀬戸水緒(長井短)たちのサポートもあって、ラブコメ路線でネームを仕上げた。そして再び敏腕編集者・鶯谷明喜(高嶋政宏)に提出したのだが……。

目の前で原稿をビリビリと破るわ、ライターで燃やそうとするわ、しまいには「さっさと帰れ!」と捨て台詞。取り乱した様子の鶯谷。ラブコメ嫌いにもほどがある。

ところがその直後、原稿を渡しにきた後輩編集者のひづき(尾崎由香)の前では態度が一変。さすがの宮上先生、一瞬の隙も逃さない観察眼が光る。「期待と希望、それが裏切られてしまったときの悲哀に溢れていたように思う」と鶯谷の表情から心理状況を紐解いた。

ラブコメ嫌いは鶯谷自身の恋愛コンプレックスによるものだと分析したチーム宮上。緋村の「それは編集者としていかがなものかと…」の言葉通り、あまりにも理不尽な扱いを受けた逢坂だが、宮上先生はこうアドバイスする。

鶯谷の主観であることは認めるも、丹内と再構成したネームは甘いと指摘。
「逢坂くんはさ、自分の好きを描くことはまぁできてる。でもさ、嫌いを見つめられていない。自分が目をそらしたいこと、受け入れられないもの、それを加えることで漫画に深みが出る」。

“嫌い”で終わらせない

「“嫌い”を見つめる」が今回の学びのテーマ。甘さを出すために砂糖を足すばかりではなく、一つまみの塩を加えるように、相反する相手=鶯谷を研究することに。

これも自分の作品を多くの読者に読んでもらうため、春画展で悔しい思いをしたように後世に作品が残るようにするためでもあるのだろう。

忍者ばりに気配を消して鶯谷を尾行。逢坂くん……スキル高すぎ!

編集部への潜入に成功し、まずはひづきの観察から。

「逢坂くん、対人においてもっとも胸躍り、心がうずくときを知ってるか?」。宮上先生の質問に、「それはやはり……まじわいの時かと」。ほんのり頬を赤らめながら答える逢坂くんに、丹内殿はドン引き。

「逢坂、とんだ助平、お恥ずかしい限り」。ピュアすぎて想像が飛躍しすぎた逢坂。
その後も尾行を続け、逢坂は触れそうで触れられない異性との距離を体感する。

「くっつきそうでくっつかない、もどかしい距離、これこそがラブコメの距離!!」

宮上先生の言葉に、逢坂と丹内の距離を重ね、ラブコメの距離感と魅力をようやく理解した逢坂だった。と、同時に丹内も殻を破るかのような成長をみせた。

その間、アトリエでは緋村と瀬戸がお互いの漫画を見せ合っていた。緋村からいつものダメだしがないと少し驚いた様子の瀬戸。緋村は「思いの丈をそのまま描く、それは自分に足りないことですから。好きだけでない嫌い、すなわち自分にはないものを学ばなければなりませんから」。

自ら掲げた目標や好きなことならば前向きにも貪欲にもなれる。逢坂の突破力もすごいが、前回の宮上先生に漫画を描く宣言に続き、いい表情をみせた緋村。くすぶっていた頃から一皮も二皮もむけた様子は、大切そうに漫画を語る口ぶり、曇りのない瞳や口角からも伝わってきた。



宮上先生と丹内が鶯谷の過去作品を分析。編集デビューも、5年前のヒットもラブコメだったのだ。
ここで宮上先生が、「ドキッ!! ハプニングだらけのラブコメ大作戦、スタート!!」とリアルラブコメ作戦の狼煙をあげた。

曲がり角で衝突するベタな作戦からウィンザー効果を駆使したり、さらなる仕掛けを展開させる。「大事なのはテクニックだけじゃない。けっきょく最後はハートだよ」。屋根裏潜入でも大切なことを教えてくれる宮上先生。その甲斐あって、ひづきと鶯谷が二人きりでデート(?)に出かけた。

『武士スタント逢坂くん!』第8話 “嫌い”を見つめることを学んだ逢坂くん、またひとつ成長
次回第8話は9月20日(月)24:59〜放送

ひづきが強すぎた

一方、教え子たちは起承転結の「転」を意識。ここで逢坂くんが一肌脱いだ。ちょんまげ姿ではあるがB-BOYに扮して、二人の関係に「転」をもたらそうとしたのだが……。

蓋をあけてみたら、鶯谷の見せ場ではなく、ひづきの強さが露わに。予期せぬ“転”ではあったものの、いまの時代にもマッチしたラブコメ展開。同時に鶯谷の本性も見えてきた。

“嫌い”で遠ざけていたら見えてこなかった人の心。
ラブコメ同様に、そんなに人の心は簡単ではない。いくつもの出来事、その都度湧いてくる心の動きが複雑に絡み合って成り立っているのだ。

6話で鶯谷との打ち合わせで画についてだけではなく、宮上先生を侮辱する言葉まで浴びせられたこと、さらに江戸からの因縁を紐づければ、逢坂にとって今回の一件は大きな成長に繋がったのではないだろうか。「好きを伝えるには嫌いを伝えるべし」。漫画の手法がまた一つ加わった。

次週はまたしても相撲対決。鶯谷との対決のあとにはどんな展開が待っているのだろうか。
(柚月裕実)

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番組情報

『武士スタント逢坂くん!』

主演:濱田崇裕(ジャニーズWEST) 森本慎太郎 久保田紗友 長井短 今井隆文
原作:ヨコヤマノブオ『武士スタント逢坂くん!』(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
脚本:坪田文 伊達さん
演出:渋江修平 大江海
音楽:近谷直之

編成企画:安島隆 河野雄平
コンテンツプロデューサー:岩崎広樹
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:諸田景子 長松谷太郎 中野有香
制作プロダクション:ギークサイト
製作著作:日本テレビ ジェイ・ストーム
(C)ヨコヤマノブオ・小学館/NTV・JStorm

番組公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bushi/
番組公式サイト:@bushi_ntv


Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

関連サイト
@hiromin2013

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