
思いやりと人間愛だけは人一倍、だけど何をしても中途半端で半人前=<中腰な男>、中越チカラが、同じマンションに住む住人たちの悩みを解決し、やがてそのマンションがひとつのコミュニティーとなって強い繋がりを持っていく姿を描く、松本 潤主演の社会派ホームドラマ『となりのチカラ』。遊川和彦が脚本を手掛け、上戸彩、松嶋菜々子といった豪華キャストが集結して作り上げられるドラマが、いよいよ今週木曜にスタートする。
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放送を目前に控えた17日(月)、主演の松本をはじめ、主要キャストと遊川が集結し、完成披露試写会&記者会見が開催された。
固い結束力に和気あいあいの雰囲気…撮影現場がみんなの<チカラの源>に
会見には松本、上戸、映美くらら、ソニン、清水尋也、長尾謙杜、浅野和之、風吹ジュン、松嶋、そして遊川の計10名が登壇。2022年最初の木曜ドラマにふさわしく豪華キャストが集まった壇上に、報道陣からは大きな拍手がおくられ、無数のフラッシュが焚かれた。会見では、『となりのチカラ』にちなみ、キャスト陣の<チカラの源>についてトーク。「周りにいる人の笑顔」が<チカラの源>であると答えた松本が、「一緒に作っている共演者、スタッフ、そして見てくれる視聴者の方が少しでも笑顔になれたらいいな…」と話すと、上戸、映美、ソニンらも次々に同意。クリスマスの撮影現場でのプレゼントのやりとりや、お笑い好きキャストによる『M-1グランプリ』の所感など、現場での温かいエピソードが次々と飛び出し、長引くコロナ禍で人との繋がりが少なくなっていた中、『となりのチカラ』チームの固い結束力と和気あいあいとした雰囲気が、極上の癒しになっていることが、それぞれの言葉から窺い知ることができた。
そんな中、脚本・演出を手掛ける遊川からは「『となりのチカラ』は僕の最高傑作」と発言が。これまで数多くのヒット作、衝撃作を生み出してきた脚本家から思いがけず飛び出した、力強い言葉に、松本をはじめキャスト陣はますます勇気づけられたようだった。
初共演で夫婦役…高校時代からお互いを知る松本と上戸が語る秘話も
バラエティーでの共演経験はあるものの、ドラマでの共演は今作が初となる松本と上戸。高校の先輩と後輩でもあり、長きに渡ってお互いをよく知る関係でもある。そんな2人だが、松本は「同じドラマの現場にいると、上戸さんがどうしてこんなに好感度が高いのかを知ることができる」としみじみ上戸の人間性の良さを実感しているよう。
一方の上戸からも「高校時代のときも松本さんは3学年をまとめるリーダー。今も現場の座長として、みなさんを引っ張っていく感じは変わらない」と、高校時代から変わらない松本の姿が語られた。
さらに上戸は松本の座長としての“すごさ”も告白。
また、事務所の後輩でもある長尾は、松本の大きな背中を見ながら撮影に励んでいるそう。「共演する前は怖いのかなって思っていたけど…」と正直に打ち明けつつも、「スタッフさんへの気遣い、皆さんへの話し方、いろんなことを学びながら毎日過ごしています」と、充実した日々を明かした。
一方の松本は、毎日さわやかすぎるほど元気に挨拶しながら現場入りしてくる長尾を微笑ましく見つめているようで、「彼と一緒にいると、どんどん僕の好感度が下がっていく…」と、意外な悩みを打ち明けていた。
3度目の共演! “姉貴分”松嶋から松本への口撃に思わずタジタジ!?
そして今作が3度目の共演となる松本と松嶋。<姉と弟>、<探偵社の社長と新人探偵>とさまざまな関係性を演じてきた2人が、今作で演じるのは<隣人>。3作を経て、松本の中では松嶋のイメージが少しずつ変わってきているそうで、最近では「ちょっとおっちょこちょいなのかな?」と、これまでとは違ったチャーミングな一面も発見していると話した。そんな松本に対しては、「大人になったなぁ」と松嶋。「膨大な量のセリフがあるのに現場の細かいところまで見ていて、カメラチェンジになるとカメラのサイズまで把握して言ってくるんです」と明かした。「昔からそうでした?」と問われると、「昔は気づいていたけど口には出してなかったのかもね(笑)」と返し、「でも思ったことなんでも口に出してると、女の子にモテないじゃない? 結婚できるのかなって老婆心で心配になるんですよ」とまさかの畳み掛け(笑)。付き合いの長い“姉貴分”からの思いがけない口撃に、松本は「もう勘弁してください…」とタジタジの様子だった。
松本 潤(中越チカラ・役)コメント
初めてテレビ朝日の連続ドラマに出させていただくことになり、ありがたく思っています。そして、こんなに豪華な皆さんとご一緒できることをとても光栄に思っています。遊川(和彦)さんが書かれたオリジナルのドラマなんですが、今まで自分がやったことのないキャラクターを演じているので、すごく刺激的ですね。オリジナルだからこそ、どういうふうにキャラクターを作っていくかということを、始まる前に遊川さんをはじめ、共演者の皆さんと本読みをする時間を作らせていただき、少しずつ役を作って、大切に演じさせていただいております。
今回演じるのは、中越チカラという中途半端でダメな男の役ではあるんですが、そんな男が同じマンションの住人におせっかいを焼きながら過ごすことで、ちょっと心が温かくなるようなドラマになっています。見た方がもっている良心のようなものを刺激して、心が温かくなる…そんなドラマになっていると思います。
今、このタイミングでこういったドラマを作れることがうれしいですし、冬という時期でもありますので、見てくださった方の心が温まる、ホッとできるような作品になればいいな、と思います。遊川さんもおっしゃっていましたが、かなりいろいろな問題にも照準を当てているので、たくさんの人に響く作品になったら…と、思っております。どうぞよろしくお願いします!
――皆さんの<チカラの源>は?
これは…わりとマジメに答えてもいいんですか?(笑) やっぱり人の笑顔とか、人が明るくなる気持ちのようなものが源かな、と思いますね。それこそ、家族や友人など自分に近しい人はもちろん、今こうして一緒にドラマを撮影させていただいている皆さんや、ここにいないスタッフの皆さんがどういう顔をしているかというのを見て、笑顔の絶えない撮影現場である方が楽しいですよね。そして、視聴者の皆さんが、少しでも明るい表情でこのドラマを見てくださることを想像しながら作品を作っている、という感じですね。
――上戸さんとは実は同じ学校の先輩、後輩とのことですが、ドラマ初共演で、夫婦役を演じられていかがですか?
バラエティー番組では、ご一緒したことがあるんですけど、芝居の現場は初めてなんですね。まぁ、よくできた方ですね! 「上戸彩という人物はなぜこんなに好感度が高いのか」ということを現場で目の当たりにしました。ものすごくちゃんとしているし、明るいし、笑顔が絶えないし、本当に“アカリちゃん”という役にピッタリなんです。
(夫婦役、「パパ」という言葉がとても新鮮だと言われ)僕も新鮮です。でも、2人でいて、そこに子どもたちも加わると、あっという間にその空気になじみましたね。最初はちょっと恥ずかしかったですけど…。ちょっと尻に敷かれている感じも楽しいですね。上戸彩さんに敷かれることなんてなかなかないので、うれしいですよ(笑)。
――事務所の後輩・長尾さんの印象はいかがですか?
とにかく僕の中では好青年というフレーズが浮かんできますね。<好青年=長尾>なんです。なぜかというと、朝、撮影現場に入って来た時のあいさつがものすごくさわやかなんです。なので、彼がスタジオに入ってくると、その声で「来たな」ってことがすぐわかるんですよ。そういうのってすごく大事だなと思いますし、計算じゃなくて心からそれをやっているというのが、彼の魅力だと思いますね。
――松嶋さんとは久しぶりの共演ですが、今回のお互いの役どころなど新鮮な部分や発見などはありますか?
3度目の共演ですね。姉ちゃん(『花より男子』)、社長(『ラッキーセブン』)、そして今回が隣人…です。当時は菜々子さんって、キリッとしていて、完璧でスマートという印象がすごく強かったんですよ。でも今回ご一緒して見ていると、役のせいもあると思うんですけど、ちょいちょいおっちょこちょいだったりするんですよね。
(松嶋から「ちょっと噛むと、すごいツッコんでくる」と言われて)噛んだからじゃなくて、噛んだ後に笑ってるからツッコむんですよ!(笑) 僕の顔を撮っているから、そのまま続けてくれればいいのに、すごくニヤニヤしながら「私笑ったよね…?」みたいな顔をするから…そういうのやめてください(笑)。今回改めて、そういうチャーミングな一面を発見しました。

上戸 彩(中越 灯・役)コメント
灯は基本的には、お隣さんのことで頭がいっぱいで優柔不断な旦那さんを愛おしく思いながらも、常に不満を抱えています。灯はアパレルに勤めているということで、最近の取材インタビューでも「すごくオシャレなんですか?」「上戸さんの笑顔で明るく家族を照らしてくださるんですか?」と聞いていただくのですが、実は旦那さんにいつもイライラしていて、眉間にシワを寄せたり、怒ったり、笑顔の少ない奥さんを演じています。遊川(和彦)さんとお仕事をさせていただくのは『さとうきび畑の唄』(2003年)以来なのですが、監督さんとして演出していただくのは初めてで、コテンパンにやられております。ですが、遊川さんのおっしゃることはいつも重々理解できますし、遊川さんや松本(潤)さんにOKをもらうために、毎日必死に頑張っています(笑)。皆さん、ぜひオンエアをすべて見てください。よろしくお願いします!
――皆さんの<チカラの源>は?
私も松本さんとけっこう一緒です。
(ソニンからクリスマスプレゼントとしてもらったキムチについて…)すごく美味しかったです! 辛さと甘さのバランスがちょうど良くて。中に入っている大根もシャキシャキでした。
清水(尋也)くんは『M-1グランプリ』が好きで、放送が終わった後にすごい笑顔で「今年の『M-1』はこうでしたね! もう2回見たんですけど、家に帰ったらもう1回見ます!」って。清水くんの笑顔を見て「これだけ笑ってくれるんだ!」って、めちゃくちゃうれしかったです。
――松本さんとは実は同じ学校の先輩、後輩とのことですが、ドラマ初共演で、夫婦役を演じられていかがですか?
私が16歳、高校1年生のときに、松本さんが高3だったんですけど、当時から3学年をまとめるリーダーだったんです。今も現場の座長として、みなさんを引っ張っていく感じは変わらないなぁと思っています。遊川さんも松本さんも心で考えていることを全部言葉にするタイプで、「さっきの方が面白かったな」とか「もう1回こっちでやってみて」とか、お芝居に関してもいろいろ言ってくださるんです。なので、本当にクオリティーが高い作品に仕上がってるな、と日々感じています。松本さんにはプライベートの話もしやすいですし、どんな私も受け止めてくださるので、現場にもいやすいです。
――松本さんが持つチカラは、いかがですか?
すごいです! 以上です(笑)。(松本から「短いっ!」とツッコまれ…)演者さんとしてもそうですし、スタッフのみなさんの気持ちを全部汲み取って、現場に立っている感じなんです。スタッフ全員のお名前を覚えてらっしゃることも尊敬しますし、本当にパーフェクトだなって思います! 「すごいな。こうなりたくても、才能がないとなれないな」って思います。
映美くらら(木次達代・役)コメント
私は小澤さん演じる木次学の妻で、はたから見ると良き奥さんであり優しい母親なのですが、実はとても大きなものを抱えて苦悩しているという役です。チカラくんと出会ってから木次家がどのように変わっていくのかというところをぜひ見ていただきたいなと思っております。遊川さんとご一緒するは実は3作品目で、その3作品ともワケありの母という役を演じているのですが、まだおそらく遊川さんには合格をいただけてないと思うので、今回の役でワケありの母を極めたいと思っています(笑)。楽しみにしていてください。
――皆さんの<チカラの源>は?
今はときどきしか行けないのですが、宝塚歌劇の舞台を見ることです。私は15歳の時に宝塚歌劇のファンになったことをきっかけに入団したんです。退団してからもう17年くらい経つのですが、今は当時のファンだった頃に戻ってしまっています。なので舞台を見に行くと、「キラキラしてる!」とか、「昔頑張っていたから、また頑張ろう!」とか思えるので、宝塚歌劇の舞台を見ることがチカラの源になっています。
ソニン(マリア・役)コメント
中越家の下の階の303号室に住む、ちょっと怪しげなサービスをしているんじゃないかという、ベトナム人女性の役を演じています。なまるように日本語のセリフを話しているので、普段もなまりはじめていて、現場でもみなさん“カタコト”みたいなしゃべり方になってしまって、そんな現場の空気の中、毎日楽しく撮影しております。遊川さんから、この役は泣いたと思ったら笑って、次は怒って…とアップダウンが激しく、視聴者の予想を裏切る展開にする役割といわれて、頑張っております。
最近、舞台の仕事が多く、映像の仕事がすごく久しぶりで緊張していたのですが、みなさん本当に優しくてフレンドリーに話してくださるので、和気あいあいと撮影しています。マンションの物語ですので、みなさんがどんどん絆と関係性を作って物語が展開していくところが面白く出来上がっていますので、最後までぜひご覧ください!
――皆さんの<チカラの源>は?
私は自分が女優をはじめたデビュー作で上戸彩ちゃんとご一緒し、今回が19年ぶりの再共演なんです。お互い大人になっていろいろ環境が変わってからの再会で、うれしくて涙が出そうでした。以来、毎回、メイクルームでくだらないことから世間話まで、いろいろな話をしています。
実はクリスマスに撮影があったので、みなさんプレゼント交換の品を用意してくださったんです。松嶋さんなんて現場にいらっしゃらないのに、クリスマスプレゼントが現場に届いたんですよ! こんなにもおしゃれで素敵なことがあるのかと感動した、愛にあふれたクリスマスだったのですが、私は気が利かなくてプレゼントを用意していかなかったんです。だからお返しにと思って、「キムチ漬けるけどいる?」って聞いて彩ちゃんにプレゼントしました。コロナ禍でヒマになった時間で、キムチを試作して上手になったので…。
そんなうれしい再会や新しい出会いがあり、長尾謙杜くんの「おはようございます!」の笑顔と元気さに力をもらいつつ、みなさんとのちょっとしたお話を現場の<チカラの源>としていただいています。これからもよろしくお願いします。
清水尋也(上条知樹・役)コメント
上条知樹は、601号室に住んでいる連続殺人事件の犯人<少年A>なのではないか、とウワサされている疑惑のある人物です。遊川さん、松本(潤)さんをはじめ、素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんに囲まれ、若造ながら日々勉強させていただき、奮闘しております。のんびりとした時間が流れていたり、ほっこりする場面もあるドラマの中で、知樹という存在をシリアスなスパイスとして生かせるように、試行錯誤しながら演じています。ぜひ楽しんで、オンエアをチェックしていただけたらと思います。――皆さんの<チカラの源>は?
僕は<少年A>かもしれないという疑惑がある役なので、住人の皆さんと距離があるというか、「本当はどうなんだ!?」という視線を受けているスタートなんですよね。現場への合流がひと足遅かったり、お芝居をしていても皆さんと外れたところにいるという役どころなので、すごく緊張していたんですよ。僕のクランクインは全員がいるシーンだったんですけど、すでに皆さんの空気感ができ上がっていたし、初めてご一緒させていただく方ばっかりだったので余計に緊張していたんです。でも、皆さん気さくで、空き時間に話し掛けてくださいました。
また、松本さんのお芝居や、現場での立ち振る舞いというのをそばで見せていただいて、役者としてもたくさん勉強させていただいています。精神的にも皆さんに助けられ、役者としても学ばせていただき、大先輩方に囲まれている中、唯一長尾(謙杜)くんという年の近いキャストもいて、若さに元気をもらっています(笑)。本当に皆さんのおかげで日々楽しく撮影させていただいているな、と感じています。
あと、僕、お笑いがめちゃくちゃ好きで、M-1もYouTubeに上がっている1回戦の動画から全部見るんですよ。だから上戸(彩)さんと、その話ができて、すごくうれしかったです!
長尾謙杜(柏木託也・役)コメント
託也は風吹ジュンさん演じる柏木清江さんの孫で、チカラくんと同じマンションの住人という役どころです。小さい頃に両親を亡くして、今はおばあちゃんと二人暮らしをしているのですが、受験生の大変な時期におばあちゃんに異変が起きてしまい、いっぱいいっぱいになってしまう姿が描かれています。遊川さんとお仕事をさせていただくのは今回が初めてなのですが、僕は現場に入る時にすごい大きい声で挨拶をしてしまって、現場でもその空気に引っ張られてしまうことが多く、遊川さんに「もっと静かに」とか、「真面目に」とよく注意されています。そんな毎日ですが、奮闘しながら頑張っています。事務所の大先輩である潤くんとのシーンにも注目してくださったら嬉しいです。よろしくお願いします。
――皆さんの<チカラの源>は?
僕のチカラの源は、なにわ男子のメンバーですね。グループを結成してから、悔しい思いだったり、嬉しい思いだったり、これまでいろいろなことを一緒に経験してきたのがメンバーで、ずっと隣にいたので。そして、もちろんファンの皆さんも僕のチカラの源ですし、今ここにいるキャストの皆さんもチカラの源です。メンバー、キャスト、ファンの皆さんが僕の「となりのチカラ」です。
あとは、そうですね…最近おにぎりを食べることが多くて、おにぎりもチカラの源ですし、おいなりさんも好きなので、“いなりのチカラ”をもらってやっています!
――事務所の先輩でもある松本さんの現場での姿はいかがですか? 何かリクエストしたいことなどはありますか?
(松本さんの背中は)ビックリするくらい大きいです。ドラマで共演させていただく前は少し怖い方なのかなっていうイメージはあったんです。でも、いざ共演させていただくと本当に優しい方で。僕は関西人なので、標準語ができない時にはとても優しく教えてくださったりだとか、何もかもサポートしてくださるんです。
また、スタッフさんへの気遣いや、皆さんへのお話の仕方など、すごく勉強になっています。撮影の合間には演出のお話をうかがったり、僕はなにわ男子のグループの衣装を作っているんですけど、そのお話を少しさせていただいたりして、ドラマに関することに限らず、潤くんから学べるものを全て吸収して、またグループに帰りたいなと思っています。
浅野和之(星 譲・役)コメント
ここの住民たちは、いろいろな悩みや問題を抱えておりまして、非常に面倒な方たちです。とにかく「早く出て行ってくれないかなぁ」「困ったなぁ」が私の口癖で…しかし私も、皆さんと同じように心に闇と問題を抱えているひとりであります。ストーリーとしては笑いあり涙ありといったものなんですが、社会問題もしっかり詰め込んだ、遊川さんらしい大人の作品になっていると思います。最終話までご覧いただけますとありがたいです。
――皆さんの<チカラの源>は?
何年か前に舞台をやっていた時に、もうヘトヘトで…。朝11時から、すごいテンションを上げて芝居をしなければならなかったんですよ。だけど、ふと見るとお客さんがすごい喜んで、笑顔で…。あれがなかったら、持たなかったかもと思えるくらいでした。もちろん、シリアスな芝居でニコニコしているお客さんはいないんですけど、エネルギッシュにやっている舞台で、お客さんがすごく喜んでくれたりっていうのがあったから、支えられたんだなと思えました。舞台をやっている時のお客さんの反応とか笑顔とかが、一番大きいですね。
風吹ジュン(柏木清江・役)コメント
長尾謙杜くんと私のパートは<ヤングケアラー>ということで、みなさんもちょっと想像がつくかと思うのですが、そういう問題や闇を抱えた503号室の住人を演じさせていただきます。震災で孫を引き取って、7歳から今まで10年間ずっと大切に育ててきたのですが、私の方に問題が出てくるということで、孫には大変苦労を掛けることになります。でも、チカラとの出会いによって、私たち2人が成長していく物語になっておりますので、ぜひ楽しみに見ていただきたいと思います。撮影ではみなさんが勢ぞろいすることがとっても多くて、共有する時間がとても長いのですが、今のところ和やかに進んでおります。きっといい仕上がりになると信じております。
――皆さんの<チカラの源>は?
チカラ(=松本)くんとは4分の1世紀ぶりの再会になるのですが、前回共演したときは謙杜くんよりずっと若かったんですよ。だから、久しぶりにお会いした最初の日は「どうやって会ったらいいんだろう!?」とちょっと緊張しつつ、感動もありました。この25年の間に道端で偶然会ったこともあったんですけど、やはり今回は一緒にお仕事をするということで、本当に大人になった松本さんの仕切りや立ち居振る舞いを見ていて、ちょっと感動するものがあります。
で、『M-1グランプリ』の話をさせていただきますと、私は敗者復活戦から見てます(笑)。質問は<チカラの源>ということですが、実はコロナ禍になる前までは山に登ることをモチベーションにしていたんです。けっこう大変なんですけど、下山するとすごく自信がつく! 実は今回の作品は、遊川さんには申し訳ないんですけど、私の遺作になるかもしれない…と思いながらやっているんです。元気の源というよりは自分自身がチカラを付けなきゃいけない年代に入ってきたので、普段から歩くようにしたりしています。

松嶋菜々子(道尾頼子・役)コメント
4階に住んでいる道尾頼子を演じています。遊川さんとご一緒させていただくのは5作目になりますが、まず脚本をいただいたとき、「なぜこの役を私に!?」とビックリするような役柄でした。この髪型を見てみなさん、疑問を抱かれるかと思うのですが、監督のリクエストをなるべく再現しようと頑張った結果、こういう役作りになっております。今までやってきた役とは違う役が見たい、という期待に応えようと頑張っておりまして、「自分に役を寄せないでください」「真逆をやってください」というリクエストに日々悩みながらも楽しく演じさせていただいております。
頼子さんはここ近年、よく耳にする“毒親タイプ”で、それによって自分の家庭がうまくいっていない、家族とのつながりが希薄になっている人間です。遊川さんの脚本はリアリティーがありつつ、物語でもあり…という部分が魅力的な作品が多いと思いますが、今回もにっちもさっちもいかない中、チカラくんの言葉やいろいろな人の刺激を受けて停滞している状況から、自分がどう変わっていくのか、どうやって一歩前に進みだすのか。そういうものをマンションみんなで描いていく作品になっていると思います。
第1話を拝見して、こういう世界観なんだなと新鮮でしたし、すごく面白いなと思いました。次が楽しみだと思える作品ですので、ぜひ続けて見ていただきたいなと思います。
――皆さんの<チカラの源>は?
10代で仕事をはじめてから、まったく右も左もわからず自信もない中で、監督にOKといわれることだけを信じてただただ前に進むしかない、自分で絶対に納得することがない世界の中で生きてきました。監督のOKを頼りに次に進み、それでも落ち込んだらあとはもう寝るしかないと考えて、今も変わらず進んでいます。だから、“監督のOKの言葉”と、あとは“寝ること”。そして“考え事は夜にしない”が鉄則。…ということで、私の<チカラの源>は“睡眠”でしょうか。
あとは、風吹さんがおっしゃっていたように、自分の身体を鍛えてより動ける体を作るのは自分の自信になるので、それも<チカラの源>でもありますね。
――松本さんとは久しぶりの共演ですが、今回のお互いの役どころなど新鮮な部分や新しい発見などはありますか?
松本くんはちょっと噛んだだけで「なんで今、噛んだんですか?」ってすごく突っ込んでくるんです(笑)。膨大な量のセリフがあるのに現場の細かいところまで見ていて、カメラチェンジになるとカメラのサイズまで把握して言ってくるんです。すごく大人になったなと思います。
昔もおそらく気づいてはいたのでしょうが、そこまで口に出していなかったと思います。自信がついてきたんだなと親心のように感じていますが、でも見たままなんでも口に出しぎると、女の子にモテないじゃないですか。だから出会いはあるのかな、本当に結婚できるのかなと老婆心ながら心配しています(笑)。女心はわかっていると思うのですが、あんまりいろいろ見えすぎるとね…。目をつぶるところもたくさん必要じゃないですか!
松本くんはかっこいいし頭も切れるし、チカラとは真逆だと思うのですが、実は私はチカラくんの役柄は松本さんにピッタリだと思っていて、遊川さんのキャスティング力に脱帽しています。
脚本家・遊川和彦コメント
今日はありがとうございます。撮影が始まって以来、ずっと誰か言ってくれないかなって言葉がひとつありまして…キャストでもスタッフでもいいんですけど、俺はこう思ってるんだけど、だれか言ってくれないかなぁって…言うと引くかなぁ、今日、ここで言っていいのかなぁ…って思いながら、言いますが、僕的には『となりのチカラ』は、30何年脚本家をやっておりますが、自分のなかでは最高傑作だと思っております。こういうこともなかなかないんですけども、それぐらい、脚本を書いた時には満足感がすごくありました。昔、隣にいる方(松嶋菜々子)が主演のドラマの時に、ほかの方が言ってくれたことがあるんですけれど、「これは遊川さんの最高傑作かもしれませんね」って。その時はぜんぜん思わなかったんですが、結果的にはああいうことになって。今回は本当に自分のなかでそういうふうに思っています。
この歳ですから、いつもこれが遺作になるかもしれないと思いながら頑張って書こうと思っている中で、とても自分でも満足しています。しかも、今回こういったキャストの方々、無理難題も聞いてもらえるし、チャンレンジも素っ頓狂なこともしてもらえるし(笑)、この素敵なキャストが集まって、本当にいい作品になっていると思います。だけどこれは主観ですから。見ていただいた方が面白いと、ちょっとチカラ君が隣にいてくれたらいいな、明日から頑張れるなと、そんな気持ちになってくれるドラマになっていればいいなと願っております。
――皆さんの<チカラの源>は?
僕も基本的には皆さんと一緒で、簡単に言えば、面白いと言われることです。逆のことを言われると死にたくなるので(笑)。面白いと言われると、お金を貸すことと離婚以外はなんでもやります。
作品概要
テレビ朝日系24局ネット2022年1月期 木曜ドラマ
『となりのチカラ』
2022年1月20日(木)初回拡大スタート
毎週木曜 夜9:00~9:54放送
出演:松本潤 上戸彩
小澤征悦 映美くらら ソニン 清水尋也 長尾謙杜(なにわ男子)
松嶋菜々子
勝地 涼(友情出演)
夙川アトム 浅野和之 風吹ジュン
脚本:遊川和彦
演出:遊川和彦、ほか
音楽:平井真美子
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)、服部宣之(テレビ朝日)
チーフプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:秋山貴人(テレビ朝日)、松野千鶴子(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
東京のとある郊外に建つマンション。そこに、中越チカラ(松本 潤)と妻の灯(上戸 彩)、そして娘の愛理(鎌田英怜奈)と息子の高太郎(大平洋介)という1組の家族が移り住んでくる。優柔不断で困っている人を放っておけない性格の夫とテキパキしっかり者の妻に、ちょっぴり大人びた姉と無邪気な弟――そんな一家がやってきたマンションには、とても個性豊かな住人たちが暮らしていた。
さっそくチカラが遭遇したのは、全身を“今日のラッキーカラー”でまとめた隣人・道尾頼子(松嶋菜々子)。階下には複数の男性が出入りする謎の女性(ソニン)の部屋があり、さらには、ワケありそうな管理人の星譲(浅野和之)から「601には連続幼児殺人事件の犯人・少年Aが住んでいる」と聞かされ、いろいろと思いを巡らすチカラに、灯は「ご近所のことに首を突っ込まないように」と諭すのだった…。
引っ越しから数日経ったある日、隣の部屋から悲鳴が! 灯の忠告を思い出し、やや躊躇するチカラだったが、“引っ越しのご挨拶”を口実に、意を決して部屋を訪れてみる。そこは、エリート会社員の木次学(小澤征悦)と妻・達代(映美くらら)、娘・好美(古川凛)が仲良く暮らす家なのだが…チカラは、知ってはいけない木次家に隠された秘密を覗いてしまい…!?