大人の男女4人のちょっとエッチで甘酸っぱい恋物語を描いた奥仲麻琴岐洲匠のW主演による連続ドラマ『ももいろ あんずいろ さくらいろ』(ABC テレビ放送)。今作は、第1話の見逃し配信の再生数が同局のコンテンツで過去最高の数字をマークするなど大きな話題を集めた。
今回、主演の奥仲が如何にして女優の道へと進んだのか、アイドル・PASSPO☆時代から『仮面ライダーウィザード』(テレビ朝日系)まで自身の過去を振り返ってくれた。
(前後編の後編)

【写真8点】『ももいろ あんずいろ さくらいろ』で主演を務めた奥仲麻琴、撮り下ろしカット

──『ももいろ あんずいろ さくらいろ』が始まるとき、SNSでは「元PASSPO☆のまこっちゃんが……」、「『仮面ライダーウィザード』のコヨミが……」と書かれていることが多かったです。そういった"肩書き"はない方がいい、と思ったことはないですか?

奥仲 私はまったく気にしていないんです。PASSPO☆のときから、仮面ライダーのときから知ってくださっていた方からの「大人になったんだね」という声を聞いて、年齢を重ねていって違う一面を見せることができる環境がありがたいなと思いました。

──代表作があることが素晴らしいですからね。そこに『ももあん』が加わると。

奥仲 そうなるといいですよね(笑)。

──奥仲さんはスカウトされて芸能界入り。そもそも芸能界に興味はあったんですか?

奥仲 私、本当に勉強がすごく嫌いで。好きなことを探したいと思っていたんですけど、中学3年生でスカウトされて、趣味も特技もなかった私が夢中になれることを見つけたんです。

──奥仲さんが所属していたアイドルグループ・PASSPO☆はすごい勢いでメジャーデビューして、1stシングル『少女飛行』はオリコン1位にランクインしました。

奥仲 PASSPO☆がメジャーデビューするとき、契約書にサインすることを一度拒んだんです(笑)。
「ここに足を踏み入れたら何十年もやらなきゃいけないんだ」と恐ろしくなって。いま振り返ると面倒くさい人間だったんだなと思います。

──活動していくなかで、女優への道が見えてきたわけですよね。

奥仲 高校を卒業したタイミングで、「このままじゃいけない」という気持ちになったんです。年齢を重ねていくとアイドルをずっと続けていけないだろうから、「逃げ腰になるんじゃなくて、自分から新しいことを始めなきゃ」と、マネージャーさんに「お芝居をやりたい」と伝えたんです。その最初にいただいたオーディションが『仮面ライダーウィザード』だったんです。

──将来を見据えていたんですね。

奥仲 いま思うと、焦りですよね。

──言いにくいですけど、PASSPO☆でのキャラクター的にそこまで将来を考えていたように見えなかったです。

奥仲 ボーッとしてましたからね(笑)。自分の感情を外に出すことが苦手なんですよ。でも、18歳からの5年間は心がメラメラしていた時期で、「歯がゆい状況から脱出しなきゃ!」という気持ちが強くて。


──PASSPO☆内のキャラクター問題はありましたか? 歌が上手い子、ダンスができる子がいるなかで、奥仲さんは正統派というか"かわいい"を担っていましたが、そこにコンプレックスもあったのかなと。

奥仲 コンプレックスだらけでした。「私に何ができているんだろう」「私って必要なのかな」とずっと悩んでいたんです。絞り出した結論が、個人のお仕事をしてPASSPO☆の名前を知ってもらうことしかないと思ったんです。

──グループに貢献したい気持ちも強かったんですね。

奥仲 自分を育ててくれたグループなので、どんな形でもいいから貢献したかったんです。いまだってPASSPO☆に感謝しながらお仕事を続けてます。何年経ってもグループのことを聞いてくださる方がいるのってすごいことだと思うんですよ。

──あの頃のアイドルシーンは観ていて楽しかったです。

奥仲 いただいた可能性を活かすのは自分たちしだいと思っていました。「自分たちしだい」でもう一段階上がることはできたと思うけど、どこか他人任せだったり、「どうにかなる」という考えがあったのかなって。活動は本当に楽しかったけど、大人になって振り返ると、「もっといけたんじゃないか」という歯がゆさもありますね。
うん。本当にある(笑)。

──『仮面ライダーウィザード』の経験はいまにつながっていますか?

奥仲 1年以上同じ役を演じさせていただく機会ってなかなかないと思うんです。共演した方やスタッフの方からいろんなことを教わりました。とくに昔からやってらっしゃるカメラマンの方に「この畜生が!」と言われたことが印象に残っていて(笑)。

──すごい言葉ですね(笑)。

奥仲 動いちゃいけないシーンで動いてしまったので、いま思うと言われて当然なんですよ。そこで気持ちが引き締まりました。素晴らしい環境だったと思います。

──2015年1月1日にPASSPO☆を卒業しますが、その卒業ライブは満員のTOKYO DOME CITY HALLで行われました。

奥仲 元旦に当時の全楽曲である80曲を歌うっていう(笑)。しかも、当日は風邪をこじらせて体調が悪かったので、私に与えられた最後の試練だと思いました。
意識朦朧としながら6時間ライブをしていたので、あの日のことはよく覚えてないんです。

──卒業後は個人でドラマや舞台を中心に活動してきました。

奥仲 グループのときは、「自分が何もしなくても誰かが助けてくれる」という甘えがあったんです。その環境に慣れていたので、1人になると孤独を感じたし、甘えから脱却しなきゃいけないと思っていました。

──この7年間で諦めそうになったことはなかったですか?

奥仲 正直言うと、2021年で活動を辞めてしまおうと考えたこともあったんです。そんなタイミングで『ももあん』が決まって、お洋服のプロデュースをすることになったり、今年の序盤からいろんな経験をさせていただいて、「このお仕事が好きなんだ」と改めて感じると供に「もっと頑張りたい」と思えたんです。

──4月には舞台『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼ヨザクラ抗争』に出演します(4月15日~18日/神奈川芸術劇場)。

奥仲 2.5次元舞台の経験は少ないんですけど、今回は原作がなくてイチからキャラクターを作り上げていく形になるので楽しそうだなと思ってます。

──将来的にどんな女優になりたいですか?

奥仲 欲を見せることは苦手なんですけど、「誰かになりたい」というより、「奥仲麻琴」を作っていけたらいいなと思ってます。

【前編はこちら】体当たりのベッドシーンが話題・奥仲麻琴、ドラマ『ももあん』への想い「中途半端な気持ちでやっちゃいけない」

▽奥仲麻琴
中学3年生のときに現在の所属事務所にスカウトされ、、2009年から女性アイドルグループPASSPO☆のメンバーとして活動。2012年には『仮面ライダーウィザード』(テレビ朝日系)に、ヒロインのコヨミ役で出演した。2015年にアイドルを卒業し、その後は女優として様々な作品に出演するなど活躍中。


▽ドラマ『ももいろ あんずいろ さくらいろ』
放送 / 配信情報
ABCテレビ(関西)2021年2月21日(日)より毎週日曜 23:55~
テレビ神奈川   2021年3月2日(火)より毎週火曜23:00~
※ABCテレビでの放送後、TELASAにて独占配信!(TVer/GYAO!での見逃し配信を除く)
番組公式ホームページ https://www.asahi.co.jp/momoan/
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