怒涛の展開で見る者を魅了したレギュラーシーズン最終版から1カ月の沈黙を経て、Mリーグのセミファイナルシリーズがいよいよスタート。業界全体がかつてない盛り上がりを見せるなか、これまで麻雀人気を最前線で支えてきたトップ女流プロ・二階堂亜樹が自身の現在と過去、そして未来を語る。
(3回連載の1回目)

【写真】私服姿でインタビューに答える二階堂亜樹【9点】

――まずは半年間のレギュラーシーズンを闘い抜いた総括をお願いします。

二階堂 昨季はチームがレギュラーシーズンで敗退してしまったんですけど、かなりポイントマイナスの最下位で終わってしまいました。今年は出だしが良くて年明けぐらいまではポイントをリード出来ていたけど、そこから失速してしまった。ただ、目の前にある目標は、8チーム中6位までに入ってセミファイナルに進出することだったんで、そこまで焦らずに闘えたかなとおもいます。

――個人としての成績はいかがでしょう。前年度は約ー280ポイントで、今年はー37.5ポイントと良化しました。試合を見ていても、「守備型」と言われる堅実なスタイルの二階堂さんが、以前よりも攻め込んでいることを視聴者も感じていたと思います。闘い方を意識して変えられたんですか?

二階堂 特にそこまで意識していないんですけど、基本戦術を、守備から少し攻撃寄りにシフトしました。でも、ほんの少しだけ、ですね。

――それはどういう理由から?

二階堂 麻雀プロは経験上、対戦相手の手牌を「大体いまこれくらいで進んでいる」っていうスピード感を読んで自分の手の構成を変えていくものなんですけど、Mリーグ2年目までの自分の対戦試合を見直したら、相手が自分の想定していない手組みや進め方をしていて、進行速度を読み間違えさせられていたケースが割と多かったんです。私は基本的に、最悪の事態を想定しながら打つタイプなんですが、相手の手牌を過大評価しすぎていた部分があるというか。なので、自分の手牌や打点、場の状況なんかをもっとよく見て、もう一歩踏み込めるようにはしよう、とは考えていました。
それでも結果的にレギュラーシーズンは3年連続でマイナスポイントで終わってしまったので、チームにはかなり迷惑をかけていると思っていますね。

ただ、3年目でようやくある程度開き直れたというか。これは序盤にリードを重ねられたのも大きいと思うんですけど、チームのポイントが自分のポイントだと思って打つとすごく楽だな、という感じはつかめた気がします。やっぱり、今までやってきた個人戦と、Mリーグのようなチーム戦は感覚的にすごく違って、ならではの難しさはあったので。2年目なんかは、チーム状況がマイナスだった分、逆に意識しすぎてダメでした。負けが負けを呼ぶ、という感じでしたから。

――やっと慣れてきたわけですね。その所属チーム・EX風林火山は今季、「背水の陣」をテーマに掲げていました。やはり初年度が準優勝、2年目が最下位ということで、今年に期するものがあったんでしょうか。

二階堂 そうですね。そもそも今季は、ファイナルまで行って3位以内に入らないと、チームが全員クビになるんですよ。それを公表してからのシーズンスタートでした。


――そうなんですか!? 3年目のMリーグではまだ、チームメンバーが増えこそすれ、入れ代わったり減ったりしたことはありません。チームのファンならずとも衝撃的ですね。

二階堂 厳密に言うと4位、つまりファイナルシリーズに残れれば今までの成績とかを加味して再考する、っていう風にもなってるんですけど、でも、チームのみんなは「3位以内に入らないと自分がクビになる」という心構えでやってます。特に私は3年間の成績的にも、はっきり言って真っ先に戦力外通告を受けても仕方ないと思ってます。でも、麻雀プロは自分の所属団体での昇降級があって、負けたらそのリーグで闘えなくなる、というのはみんな経験してきていることですから、当たり前と言えば当たり前なんですよね。

――さすがに勝負の世界は厳しい。

二階堂 自分のやってきたことの結果ですから。だから負けた時のことを考えて悲観的になるよりはいま頑張ろう、というスタンスでやろうとは思っていますね。

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