日本のトップコスプレイヤー・えなこほか、伊織もえ、篠崎こころら所属する事務所として注目度を集めるPPエンタープライズ。そんな話題の事務所に所属し、活動歴18年を超えるのがグラビアアイドルの吉田早希だ。
コスプレイヤーが多く所属する中、ブレずにグラビアアイドルとして活躍する彼女のこれまでの軌跡を聞いた(3回連載の3回目)。

【写真】キャリア18年も輝きを増し続ける吉田早希 撮りおろしカット【12点】

──吉田さんがグラビアデビューした後、グループアイドルがグラビア界を席巻し、グラビアアイドル冬の時代とも言われました。そんな栄枯盛衰のグラビア界をサバイブしてきたわけですが、生き残っていく上で意識していることはありますか。

吉田 2つあって、まずは腐らないこと。(前の所属事務所の)G.P.Rに移籍したばかりの頃は、もっちー(倉持由香)も私も不遇だったので、お互いに「やれる! できる! 大丈夫!」って呪文のように声を掛け合っていました。腐ると、そのまま奈落の底に落ちていくだけですからね。

──自分を鼓舞していたんですね。

吉田 もう1つは偉い人や有名人のいる飲み会に行かないことです。そこで新たな何かが生まれる可能性もありますけど、私は「偉い人と仲良くなったから自分は大丈夫」みたいな気持ちになりたくなくて。もちろん、仲良くなるのはその方に魅力があるからだし、素敵なことだと思います。でもそこでハングリーさを失ってしまうんですよね。あと、そういう場に出入りしていた子たちが自分の仕事に誇りを持てなくなって辞めていくって話を聞いたりしていて。


──どういうことですか?

吉田 たとえば「知り合った〇〇さんは話題の映画で主演をやっているのに、私は撮影会か……」ってやる気がなくなって、頑張れずに辞めていく女の子もいたみたいなんです。でもお仕事って一歩一歩、堅実にやっていかないとダメじゃないですか。だから、自分を客観的に見つめられるように、そういう類の飲み会には行かないと大学生の頃から一貫していますね。もっちーとも「行かないように!」と声を掛け合って(笑)。

──倉持さんの存在は大きかったんですね。

吉田 そうですね、もっちーと出会えたのは人生の転機でした。もっちーは腐らずに、ひたむきに頑張る子なんですよ。その姿を見ていると、私も頑張っていいんだって気持ちになれたんです。

──「頑張っていいんだ」とはどういうことですか?

吉田 私たちって、なんとなく頑張ることがかっこ悪いみたいな風潮があった世代なので、頑張ってダメだったらどうしようとか、頑張りたい気持ちの足枷みたいなものがあったんです。でももっちーはそんなことを一切気にせずに「頑張るんじゃー!」って突進していくので、頑張っていいんだと。たとえそれが上手くいかなくても、見てくれている人たちが「頑張ったね」と言ってくれればいいんだと気付いて、足枷も解けました。

──それでお仕事の方も軌道に乗ったんですね。


吉田 ちょうどツイッターなどのSNSが盛り上がってきた頃で、アピールする場も増えたのもありました。もともと、もっちーはゲームのお仕事をしていたんですけど、1人よりも2人みたいな訴求力があって私にもゲームの仕事が増えて。ゲームの案件が増えると、ここの事務所に所属すればゲームのお仕事が来るかもしれないとG.P.Rにオタクの女の子たちが集まってきたんです。

──そんな中、どうしてPPエンタープライズに移籍しようと思ったのでしょうか。

吉田 30歳を過ぎた頃に今後、環境が色々変わっていくかもしれないことについてよきゅーんちゃんに相談したんです。そしたら「うちにおいでよ」と言ってくれたんですよ。

──移籍しての変化はありますか?

吉田 よきゅーんちゃんは芸歴の長い私よりも先輩なので学ぶことが多いです。私は頑張るのが恥ずかしい世代と言いましたが、よきゅーんちゃんは同世代なのに、ずっと頑張っているんですよ。周りに頑張っている人がいると、すごく力になります。ただ私の場合は、よきゅーんちゃんみたいに100%の力で走り続ける自信はないので、いつでも70%ぐらいのモチベーションで、それより下には下げないようにしています。

──同期のグラビアアイドルで吉田さんのように一貫して現役を続けている方はほかにいないんじゃですか?

吉田 確かに。引退して戻ってこないグラビアアイドルは、やり切った子が多いと思うんです。
でも私は全然やりきってないから(笑)。逆に70%だから燃え尽きずに続けていられるのかもしれません。それで炭みたいに熱を持ったまま、この世界に残っているのかもしれないです。

──同じ芸能界で、女優やタレントなどほかの道を考えたことはありますか?

吉田 ないですね。グラビアが好きですし、いろんな男の子の初めてのドキドキみたいなものになれたらいいなという思いがずっとあるんです。グラビアを好きな気持ちには今後もこだわっていきたいですね。

──今後も生涯現役グラビアアイドルでやっていくということですね。

吉田 はい。年齢とともにいろんな環境も変わってくると思うんです。それでも応援してくれる方がいる限りは、真摯にグラビアに取り組み続けたいですし、事務所に恩返しできるように頑張っていきたい。最近はありがたいことに大きなお仕事もいただきますが、いつだって自分の心の中に、くすぶっていた時代の目線は忘れないでいたいです。そのときに培ったハングリー精神は、いつでも取り出せる場所に置いておきます!

>>インタビュー前編 吉田早希が振り返るデビュー時代「家族には写真集が決まってから打ち明けました」はこちらから

>>インタビュー中編 グラビア一筋18年、吉田早希が語るゲームとインターネットこちらから

(取材・文/猪口貴裕)
▽吉田早希(よしだ・さき)
6月7日生まれ。
164センチ。B型。Hカップのまるで山のような豊満バストから「吉田山」の愛称で親しまれているグラビアアイドル。
Twitter:@yoshida_saki
Instagram:mt_yoshida
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