【写真】バイトAKBで同期だった上谷沙弥と松岡はな
昨年11月、バイトAKB時代から数えて実に6年9カ月ぶりの再会を果たしたHKT48・松岡はなと、スターダム所属の女子プロレスラー・上谷沙弥。
HKT48でセンターを張った松岡はなの背中を追いながら「プロレスラーとして一人前になるまでは、はなちゃんには会えない」と心に決めていた上谷沙弥だったが、昨年春のシンデレラトーナメントに優勝し、メインイベンターに成長したことでやっと会うことができた。しかし、唯一の心残りは再会のときにチャンピオンベルトを持っていくことができなかったことだった。
今度はベルトを巻いて、できることならば防衛戦をはなちゃんに観戦してもらいたい……そんな夢が新たなモチベーションとなり、上谷は昨年末、両国国技館でワンダー・オブ・スターダム王座を獲得。2022年に入ると着々と防衛戦を重ね、3月におこなわれた両国国技館2連戦では、みずから逆指名した林下詩美、中野たむという強すぎるチャレンジャーを相手に見事、二夜連続防衛。これで5月5日に福岡国際センターで開催されるビッグマッチにはチャンピオンとして出場できることが確定した。
ここまではトントン拍子だったのだが、ゴールデンウイーク真っ最中の開催ということもあって、松岡はなにタイトルマッチを生観戦してもらう、という夢はスケジュールの壁に阻まれて、どうにも実現することができなかった。
翌6日には松岡はなが所属するHKT48のチームTIIが5年半ぶりとなる新公演の初日を迎えることが決まっていて、さらに7日には熊本城ホールでのコンサートもある。それらの準備を考えたら、その前日にプロレスを生観戦というのはさすがに難しい。
ただ、これもしっかりと防衛に成功しなければ丸腰で会いに行くことになってしまう。しかも5・5福岡でのチャレンジャーは実力者の舞華。いや、それだけではない。舞華は地元・福岡県出身。つまり、これは凱旋興行にあたるわけで上谷にとっては超アウェーな状況。この試合はメインイベントに組まれたのだが、セミファイナルでは福岡出身の葉月&コグマがタッグ王座を奪還し、会場は「舞華もこの流れに乗ってチャンピオンに!」というムードに包まれていた。増幅するアウェー感の中、上谷はリングへと向かった。
福岡国際センターでの試合はスターダムにとって初開催。もっといえば、日本の女子プロレスの歴史でこの会場で女子プロレスの試合がおこなわれるのはこの日が初! そんな記念すべき大会で大トリを務めるだけで栄誉なことだが、上谷は大激戦を必殺のフェニックススプラッシュで制し、白いベルトを守り抜いた。
翌日、上谷の姿はHKT48劇場にあった。
公演前に数分間だけ松岡と面会する時間をもらえたので、チャンピオンベルトを持参してやってきたのだ。
昨年、久々の再会をしたときには、今にも泣き出しそうな表情でその瞬間を待っていたが、今回はもう自然と笑顔がこぼれてくる。これがチャンピオンの余裕、なのか? だが、意外な展開に上谷の感情がいきなり爆発する。
なんとバイトAKB時代にマネージャーを務めていた人物が、現在、HKT48劇場のスタッフとして働いていることが発覚。完全に不意打ちでの7年ぶりの再会に「えーっ! そんなことってありますか!!」と上谷は大興奮! 完全に「あのころ」の気持ちに戻ったことが、この日、彼女の気持ちをさらにかき乱すこととなる。
公演開始30分前、ステージ衣装に着替えた松岡がやってきた。
「チャンピオンになれました!」
「知ってる! 沙弥ちゃんがクルクルって回って、ベルトを獲ったときの映像も見たよ!」
奇跡の再会から、わずか半年。
チャンピオンになって心も体も大きくなった上谷の姿に、公演を控えて緊張しているはずの松岡も笑顔が止まらない。せっかくだからとチャンピオンベルトを持っての記念撮影をしましょう、という話になったのだが、松岡は「私はチャンピオンじゃないのに、一緒に持っていいんですか?」と真顔で聞いてきた。おそらく瞬時にベルトの重みに気づいたのだろう。上谷はピカピカに磨いているが、歴代王者の血と汗と涙が染みこんだベルトは、やっぱり風格がある。
そして上谷がぐるーっと回り道をして、7年目にしてようやくここまでたどり着いたという重みを誰よりも知っているから、松岡はベルトに敬意をはらい、端っこだけをちょこんと持ったのだが、さすがにこれでは画としておかしい。上谷が促すようにして、ベルトの中央をふたりで支えるようにして持ったのが、この記事を飾っている写真。
本来であれば、これがこの日のクライマックスになるはずだった。
【後編へつづく】“バイトAKB同期”スターダム上谷沙弥がHKT48松岡はなのステージに感涙「もうエモすぎて」