【写真】飾らない笑顔が魅力的、足立梨花の撮りおろしカット【10点】
2007年のデビュー以来、モデル、タレント、俳優、グラビアとマルチに活動。2022年は幾つものドラマに出演する一方で、昨年に引き続き舞台「コントと音楽 vol.4 『今度こそ、愛だ』」に挑戦するなど、俳優としての活躍も目覚ましい。
「重なる時って重なるというか、お芝居が続く時もあれば、バラエティ中心の時もあるんです。でもトータル1年間で見てみると、意外と半々でやっているんですよね。7年ぶりとなるグラビアもそうなんですけど、自分から何かを辞めたいと思ったことはなくて。誰かが求めてくれる限りは、私は何でもやりたいんです。そろそろ何か1つに絞った方がいいんじゃないかと言ってくださる方もたくさんいらっしゃるんですけど、両方やっているからこそできることもあるんですよ。たとえばバラエティでの掛け合い、聞く力、瞬時に判断する力などは、お芝居でも活きてくるんです。どちらも言葉のキャッチボールをというのは変わらないことなので、お互いに良い作用があると思っています。そうやって土台を作り上げてきたからこそ、どっちかが欠けちゃうと私じゃなくなる気がするんです」
足立はマルチに活躍する自分をそう振り返った。デビュー当時から精力的にバラエティに出演、すぐにお茶の間の人気者となった彼女にとって、大きな転機となったのは高校卒業後に『ヒルナンデス!』(日本テレビ)の隔週レギュラーに抜擢されたことだったという。
「『ヒルナンデス!』は2時間の生放送で、変なことを言っちゃ駄目、だけど面白いことを言わなきゃ駄目。さあどうする? みたいな感じで試されているような感覚でした。しかも錚々たるメンバーばかりで、初期は出演者も多かったんです。私は隔週レギュラーで、最初に担当した木曜日は平愛梨ちゃん、金曜日に移動したら河北麻友子ちゃんと交代で出演していたんですけど、二人とも強者なので、まともにぶつかったら負けちゃうんですよ(笑)。当時、私なりの武器は天真爛漫さぐらいでしたから。そんな状況の中で、周囲を見ながらコメントをして、空気を読む力も鍛えられました。番組が始まったのは2011年と東日本大震災のあった年だったので、緊急地震速報も多くて、そういう時の対応も学ぶことができました」
ただ、かつては自分が出演したバラエティをチェックして振り返ることで反省点や課題を見つけていったが、今は「恥ずかしくて」と見返すことを止めたという。だが、本質は別の部分にある。
「たいしたコメントが言えてないな、あのコメント使われていなかったなって落ち込むのが嫌なんです。たとえば放送時間が短い番組で、めちゃくちゃオープニングで盛り上がって話していたのに、ギュッと編集されていて全てカットされていたとします。そうすると次に『これだけ喋ってもカットされるのかな』って頭によぎりそうだから、本番ではやりたいこと言いたいことを全部詰め込んで、あとは好きにツマんでくださいというスタンスに変わりました。だから、あえて見返さないんです」
20代になると『Jリーグマッチデーハイライト』(スカパー!)、『特捜警察ジャンポリス』(テレビ東京)、『土曜スタジオパーク』(NHK総合)、『eスポ LOVE』(東海テレビ)など、様々な番組でMCを任されることも増えた。
「昔は好き放題に喋っていましたけど、最近はどちらかというとツッコミ側に回ることが多いですね。上手くできているのか分からないですけど、共演者の手助けをできるような人になれていたらいいなって思っています。ひな壇に座ることも少なくなって、昔とは求められていることも変わっているなと思います。だから、たまに単発のバラエティが入ると戸惑うことが多いですし、何を話せばいいんだってドキドキします(笑)。ただ、自分でもコメントが上手くないのが分かっているからこそ、リアクションを大きくして、ワイプを頑張ることに命をかけています。大切なのは、どんなことにも興味を持つこと。そうすれば収録の後半になって、みんなが疲れていても、自然と大きなリアクションができるし、ワイプで使っていただける回数も多くなるんですよね」
どのジャンルも器用にこなすタイプのように見えるが、人知れず努力を重ねているからこそ、結果も出している。そのために自己採点は厳しく、仕事で落ち込むことも多い。
「この前、出演した舞台『コントと音楽 vol.4 「今度こそ、愛だ」』は毎日公演の動画が送られてくるんですけど、なかなか上手くできなくて、観る度に落ち込むことが多かったですね。お芝居に限らず、完璧だって思った日はありません。何かが上手くいったら、また違う問題点も見えてくる。でも完璧だって思ったら、私は終わりなのかなとも思うんです。
10月16日で30歳を迎えた足立に、心境の変化はあるのだろうか。
「私が考えていた30歳とは何か違うんですよね。もっと大人になっているんだろうなと思っていたんですけど、そうでもなくて……。ただ先輩方からは、『これからが楽しいよ』ってよく言われるんです。確かに20代は周りについていくことや、自分を強く見せることに必死でした。30歳にもなると、いい抜け感というか、いろんなバランスが取れるようになってきたので、ゆるく自由に私らしさを出していけたらなと思っています。大先輩たちが言うんだから、これからは楽しいことが待っているに違いないんです! いい感じにキャリアも重ねて心にも多少お金にも余裕ができているし(笑)、受け入れ体制のアンテナさえ張っていれば、自分のやりたいこととか楽しいことも見つけられるのかなって」
これからの芸能人生で、足立の目標は“現状維持”だという。
「貪欲さが足りないって言われるかもしれないですけど、この世界で現状維持ってすごく難しいんですよ。今の現状を維持しつつ、ちょっとずつプラスにしていく作業ができたらいいかな。そのためには30代のうちに地盤をきっちり固めていくのが大切なのかなって考えています」
(取材・文/猪口貴裕)
▽足立梨花(あだち・りか)
1992年10月16日生まれ、長崎県出身、三重県育ち。バラエティを中心に、女優やモデルとしても活躍している。
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