マスク越しでの声出しが解禁され、少しずつではあるが、通常の形でライブを楽しめるようになって来た。そんな中、今年も春フェスシーズンに突入する。
全国各地で開催される様々な春フェスの中から、今回は、関東で開催されるゴールデンウィークの2大フェスに注目したい。

まずは、千葉県の千葉市蘇我スポーツ公園で開催される『JAPAN JAM』。今年は、4月30日(日)、5月3日(水)~6日(土)の計5日間開催される。公式サイトでは、「制限緩和をうけて声出しのルールを変更。マスクを着用した状態であれば、合唱やコールアンドレスポンスを含む声出しを可能にする」とアナウンスしているので、本格的なフェスの再開を今から楽しみにしているファンも多いことだろう。

既に全出演アーティスト発表済みなのだが、『JAPAN JAM』の大きな特徴は、ロックバンドに混ざって、アイドルグループが出演することだ。
例えば、今年は初日に、モーニング娘。’23とアンジュルムが出演。2組が同日なので、ハロプロ好きにはありがたいところだが、この日は、さらに、鈴木愛理も出演する。鈴木は、昨年末にも、同じくロッキング・オンが主催する『COUNTDOWN JAPAN』にバックバンドを従えて出演したのだが、そこでは、℃-uteやBuono!のナンバーも披露して話題となった。「これも聴きたかったんでしょ?」といったMCから演奏された名曲『初恋サイダー』は間違いなく、この日のハイライトだった。さらに、初日にはanoも出演。
元アイドルグループゆるめるモ!のメンバーだったあのも、今ではすっかり「あのちゃん」の愛称でお茶の間でも人気者。そんなあののアーティストanoとしてのステージにも注目して欲しい。

また、『JAPAN JAM』では、5月3日にも注目したい。この日は、BiSHとももいろクローバーZが出演する。特に、ももクロはバックバンドもチェックして欲しい。DMB(ダウンタウンももクロバンド)と呼ばれるももクロのバックバンドは、キーボードでバンドマスターの宗本康兵以外は流動的ではあるが、かつては、ギターを元JUDY AND MARYのTAKUYAや元SIAM SHADEのDAITA、マーティ・フリードマン、野村義男が担当してきた。
さらに、ドラムをthe HIATUSの柏倉隆史やTHE YELLOW MONKEYの菊地英二が、ベースを元ZAZEN BOYSの吉田一郎が担当するなど、凄腕のミュージシャン達が登場するので、フェスではたびたびロックファンをザワつかせている。

もちろん、アイドルグループも出演するが、『JAPAN JAM』でのメインはロックバンドだ。今年も、日本を代表するベテランから注目の若手まで、多くのバンドが出演する。昨年は、マカロニえんぴつとSaucy Dogの2組が、各地のフェスを席巻していた印象があるが(もちろん、この2組は今年も『JAPAN JAM』にも出演)、今年の注目バンドは、Chilli Beans.とPEOPLE 1だろう。Chilli Beans.は、日本テレビ『バズリズム』の新春恒例企画「これがバズるぞ!2023」で1位に選ばれたバンド。一方のPEOPLE 1は、テレビ朝日『関ジャム 完全燃SHOW』の「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」で、蔦谷好位置が1位に挙げたバンドだ。
今年は、各地のフェスで、この2組を観ることが出来ると思うので、観に行ったフェスに出演していたら必ずチェックしておいて欲しい。

そして、『JAPAN JAM』同様、毎年ゴールデンウィークに、埼玉県のさいたまスーパーアリーナで開催されているフェスが『VIVA LA ROCK』だ。今年は、5月3日(水)~7日(日)の5日間にわたって開催される。公式サイトでは、「コロナ禍の3年間を経て、久しぶりに通常開催にかなり近い形での開催となる予定」だとアナウンスされている。出演アーティストも続々と発表されているので、続報を待ちたいところだ。

『VIVA LA ROCK』は屋内フェスなので、野外フェスが苦手な人にも快適に楽しめるフェスである。
また、お目当てのアーティストはスタンディングで、それ以外は、スタンドの座席に座ってゆったり観るという楽しみ方も出来るのでおすすめだ。さらに、さいたまスーパーアリーナ周辺の飲食エリアは入場無料となっており、過去には、そこでもライブを楽しむことが出来たので、チケットが無くてもフェスの雰囲気を味わうことが出来る。

そんな『VIVA LA ROCK』の一番の目玉企画は、VIVA LA J-ROCK ANTHEMSだと言ってもいいだろう。ベース兼バンドマスター・亀田誠治、ギター・加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)、ドラム・ピエール中野(凛として時雨)、キーボード・伊澤一葉(東京事変)という強力なミュージシャンが集結したスペシャルバンドに、1曲ごとにボーカリストが加わり、「J-ROCK ANTHEM」、つまり、誰もが知る邦楽ロックの大名曲をカバーするという企画である。毎年この企画を楽しみにして、VIVA LA J-ROCK ANTHEMSが出演する日を選んで参加しているというフェスファンもいるくらいだ。

過去には、藤井 風が、久保田利伸の『LA・LA・LA LOVE SONG』を、BiSHのアイナ・ジ・エンドが椎名林檎の『本能』を、King Gnuの常田大希と井口理がDragon Ashの『FANTASISTA』を、SHISHAMOの宮崎朝子がaikoの『カブトムシ』を、クリープハイプの尾崎世界観が尾崎豊の『I LOVE YOU』を歌っている。
想像しただけでもワクワクするようなラインナップではないだろうか。

意外なところでは、Dragon AshのKjがCoccoの『強く儚い者たち』を、スガ シカオが宇多田ヒカルの『traveling』を、マキシマム ザ ホルモンのナヲが(禰豆子のコスプレで)LiSAの『紅蓮華』を歌った年もあった。さらに、昨年は、亀田とも親交があるという和田アキ子が登場し、カバーではなく、本人曲『あの鐘を鳴らすのはあなた』を熱唱し、ロックフェスの会場全体に多幸感が溢れるといった名シーンも生まれた。

ちなみに、この企画のポイントは、モニターに歌詞が表示されること。つまりは、シンガロング出来るということだ。コロナ禍で、ここ数年は叶わなかったが、もしかしたら、今年は会場全体で大合唱するような一体感を味わえるかも知れない。邦楽フェスの大発明だと言ってもいいVIVA LA J-ROCK ANTHEMS。今年の出演日は、5月4日だ。いったい、今年は誰がどんな曲を歌うのか?例えば、同日出演のVaundyが1曲歌ったり…?など妄想を膨らませながら、続報を楽しみにしていて欲しい。

この他にも、4月29日30日に、宮城県では『ARABAKI ROCK FEST.』が行われる。こちらは桜と共に楽しめる東北の一大フェスだ。また、5月13日14日、埼玉県秩父市で開催される『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN』は大人な雰囲気のジャズフェス。逆に、5月20日21日に、静岡県御殿場市では行われる『ACO CHiLL CAMP』は、キッズ向けのコンテンツなども充実した親子で楽しめるフェスである。このようにフェスの特徴も様々。各地でフェスが本格再スタートする今年、是非お気に入りのフェスを見つけて参加してみて欲しい。

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