【写真】母・めぐみの“変化”『舞いあがれ!』場面写真【5点】
「お母さん、めぐみさんの描き方はだいぶ意識したところなんです。それまでずっとお父さんの浩太さんを支えてきた存在で、お父さんが亡くなったときにどういう決断をするのか。長い間、家族を支える側として一生懸命頑張ってきて、それはそれで幸せな人生だったんですよね。
でも、そこで大きな転機を迎えたときに泣き崩れているんじゃなくて、自分で立ち上がって社長になってIWAKURAという会社を率いていく。その中では、すごく辛い決断もしないといけない。決してすべてが正しい選択をしているわけでもないですし、その時点でどうすれば正解なのかは誰もわからないわけですよ。それを、いままで支える立場だっためぐみさんが自らやっていく。その姿を、ヒロインの舞が見て共有して学んでいくという、そういう展開ですね」
『舞いあがれ!』の主人公は、あくまでも福原遥演じる岩倉舞だ。
「何しろ舞はまだ学校を出ただけで、社会人経験もないヒロインなワケですからね。それでヒロインがぜんぶを解決してしまっては非常にウソっぽい(笑)。むしろ、母と娘でタッグを組んで、娘としてできることを探して一生懸命やる。
でも会社として決断していくのはめぐみなんです。そのめぐみさんのつらさを舞が共有する中で成長していく。人生の向かい風に立ち向かっていくめぐみさんをみて、ヒロインに大きな影響を与えていくそういうステップアップの仕方をヒロインにさせたいなというのがあったんです」
そして熊野チーフプロデューサーが力を込めて語るのが、めぐみを演じた永作博美のお芝居の素晴らしさ。長年支えてきた夫を失い打ちひしがれるところから、少しずつ“社長”として変わっていく。そのグラーデションのある変化を、ものの見事に演じきった。
「決めるのは自分だというその覚悟が、めぐみさんの中にどんどん出てくる中で、顔つきも話し方も変わってくる。
岩倉家のあゆみが大きなテーマになっている『舞いあがれ!』。ただの幸せな家族ではなく、さまざまなことを乗り越えていくということが、ヒロインの成長につながっている。それが、この作品の核になっているのだろう。
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