福岡県出身の女優・原愛音が、5月26日(金)より全国にて順次公開する映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』に出演する。
原といえば、2022年8月よりJR東日本の駅中コンビニ・NewDaysのイメージキャラクターとして、駅や電車内の広告で見掛ける機会も多い。同広告の都会的な印象とはまた違う、富山の素朴なヒロイン・花凛を演じる“僕ラー”の見どころや撮影の思い出などを聞くと共に、彼女の内面や将来の展望について語ってもらった。

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──原さんが注目を集めたのは「NewDays」のイメージキャラクターが大きなきっかけでした。お仕事が決まったのはいつ頃だったのでしょうか?

原 上京するくらいのタイミングでオーディションを受けていて、上京してすぐのお仕事になりました。実をいうと、「NewDays」は福岡にはないのであまり馴染みはなかったんです。でも東京でJRに乗ると本当にどこにでもあるので、「こんなに展開されているんだ」と驚きましたし、起用していただけたのは本当にすごいことだったんだなと改めて実感しました。


──街で声を掛けられたりもしますか?

原 それがまだないんですよ。今回、映画の撮影で富山に新幹線で行ったんですけど、ホームにあるモニターで、私の映像がバンバン流れていたんです。だから「ちょっとマスク外してみようかな」と自分からバレにいってみたんですけど、まったく声は掛けられませんでした(笑)。

──それはちょっと寂しかったですね(笑)。CM撮影はどんな雰囲気でしたか?

原 2日かけて撮影したんですけど、駅の構内だけでなくオフィスで撮影したりもして、割りとハードなスケジュールだったことを覚えています。でも1人でこれだけ大きなお仕事というのはなかなかないので、緊張しながら必死に頑張りました。
改めて考えてみてもありがたい経験でしたね。Instagramでたくさん反応してくださったり、久しぶりの方から「めっちゃ見るよ」と連絡をもらったりもしましたし、フォロワーも少し増えました!

──先ほど上京のお話がありましたが、原さんが上京されたのはいつ頃だったのでしょうか?

原 去年の6月に上京してきて、もうすぐ1年になります。大学に進学するかどうか少し迷っていたんですけど、「1人でやっていかないといけない」と覚悟を決めて進学せずに上京しました。もちろん最初は「大丈夫かな」という不安もありましたけどね。今もまだまだ東京の街には全然詳しくないですし、人の多さにずっと圧倒されています(笑)。でも1人暮らしはだいぶ慣れてきました。


──自炊もされるんですか?

原 最初は少し頑張っていたんですけど、今はサボり気味です……(笑)。頑張らなきゃなとは思いつつも、今は夕方にスーパーのお総菜を買って、ご飯だけ炊いているというような感じです。

──高校を卒業するタイミングで上京することは、ずっと思い描いていたのでしょうか?

原 中学1年生の頃から芸能のお仕事はしているのですが、それまでは「いつか上京できたらいいな」というくらいの気持ちだったんです。でも、高校3年生の夏ごろに事務所のマネージャーと「本格的に頑張ろう」という話になってエンジンが掛かりました。両親は上京を心配するというよりも、むしろ「行くなら結果を残してこい」という勢いで後押ししてくれて、そこはありがたいです。中学生の弟と妹は、実家の私の部屋が使えるようになるので「はよ出てって」と言っているくらいでちょっと寂しいですけど(笑)。


──ご両親と3人きょうだいでの暮らしから1人暮らしとなると、静かになりますね。

原 そうですね、初めてお盆に帰省した後、東京に戻ってきたらホームシックになりました。最初に出てきた時はそこまでじゃなかったんですけど、一度家族や地元の友達に会うと恋しさが増してしまって、何もしなくても涙が出てくるみたいな状況にもなりました。

──上京して以降、ご自身の変化は実感しますか?

原 今までは親に「これをやったら?」「あれをやったら?」と言われて動くことが多かったんですけど、1人になってからは自分で考えて行動しないと何も起こらないので、それができるようになってきました。たとえば、将来はアクションをやってみたいなと思っているので、自分でアクションを学べるジムに申し込みをして通ってみたりとか。

──アクション作品に関心があるんですね。


原 ずっと目標にしているのは『キングダム』の清野菜名さんや、『MOZU』の真木よう子さんのような、女性が前に立って戦うような役です。すごく格好良いなと憧れています。

──改めて、映画『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』への出演が決まったときの心境を聞かせてください。

原 脚本を読んだ瞬間から、本多繁勝監督の富山県に対する愛情の深さがすごく伝わってきたんです。私自身は富山に行ったことはなかったんですけど、脚本を読んで「こんなに魅力がある町なんだ」と知って、出演できることがうれしく、撮影をすごく楽しみにしていました。
撮影をした射水市もすごく落ち着く町並みで、2週間の撮影ですごく大好きになりました! 第2の故郷と呼びたいくらい素敵な場所でしたね。

──原さんが演じた花凛は、どんな人物ですか?

原 将来は憧れの東京に出ようかなと悩みながら、射水市にずっと住んでいる女の子です。私自身も、福岡出身で東京にずっと憧れがあったので、リンクする部分があって、そういう部分をうまく取り入れながら役を作ることができたんじゃないかなと思います。

──現場の雰囲気はいかがでしたか?

原 男子3人(酒井大地、宮川元和、長徳章司)が実際に高校生で、同い年なんです。私は少し年上でしたが、ちょっと空き時間があった時には、4人でサイクリングに行って釣りをしたり、一緒にTikTokを撮ったりとみんなでずっとわちゃわちゃしていました(笑)。本多監督も「その雰囲気のままやってくれ」と言ってくださったので、自然に演技することができました。実際の町の皆さんも本当に温かくて、「みんなで一緒に頑張ろう」という熱意を感じる、すごく雰囲気の良い現場でした。

──共演された泉谷しげるさんの印象はいかがでしたか?

原 最初、泉谷さんの見た目やテレビなどのイメージから「怖い人なのかな」と緊張していたんですが、現場ではすごくフランクに話しかけてくださいました。暑かったらうちわで扇いだり、泉谷さんのマネージャーみたいなこともさせていただいたりしたんですよ(笑)。そうやって密に接してくださったことは、現場のいやすさにも繋がりましたし、現場での振る舞い方の勉強にもなりました。すごく優しい方だなと思いましたね。

──今作の現場で、女優として得た新たな学びがあれば教えてください。

原 演者ではありつつも裏方のようなお仕事も少し手伝わせていただいたことで、スタッフの方々への感謝を忘れちゃいけないなと再確認しました。一度カチンコを打たせてもらったんですけど、打ち方にもやっぱりコツがあるんですよね。

──そうなんですか?

原 アップで撮影している時には、人の近くでカチンコを鳴らすことになるので、あまり大きな音で鳴らすと耳がキーンってしてしまうんですよ。だからちょっと抑えめにするとか、鳴らすタイミングなんかも教えてもらいました!

──女優さんとしても、スタッフのお仕事をさらに間近で見られるというのは勉強になるんですね。

原 撮られる側と撮る側だと見ている部分が違うので、そこは今後のお芝居の中で生かされるんじゃないかなと思います。すごく良い経験をさせてもらいました。

──最後に、今後の展望を聞かせてください。

原 まだまだお芝居の経験が少ないので、ドラマや映画にもっと出たいなと思っています。今年で20歳になるので、より多くの方々に見ていただく機会を増やしていきたいです。アクションもそうですが、普通の人生だったら経験しないような役にも挑戦できることもお芝居の楽しさだと思うので、ぜひやってみたいです!

(取材・文/山田健史)
▽原愛音(はら・あいね)
2003年8月8日生まれ、福岡県出身。166センチ。
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