毎年、ゴールデンウィークの風物詩となっている劇場版『名探偵コナン』。2023年4月14日に公開された最新作『黒鉄の魚影(サブマリン)』は、シリーズ初の興行収入100億円を突破するなど、今まで以上に大きな注目を集めている。


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そんな劇場版シリーズといえば毎回豪華なゲスト声優が出演し、映画を盛り上げてくれるのがお決まり。今作には俳優の沢村一樹が出演中だ。

そこで今回は歴代作品を振り返り、ひと際存在感を放っていた3人のゲスト声優に注目したい。

■『名探偵コナン 絶海の探偵』柴咲コウ
2013年公開の『絶海の探偵(プライベート・アイ)』は、海上自衛隊によるイージス護衛艦「ほたか」の艦上で巻き起こる事件を巡る物語。同作のキーパーソンである謎の女性自衛官・藤井七海を演じたのが、女優の柴咲コウだ。

ミステリアスな女性軍人という難しい役柄を演じた彼女だが、その背景には“最初から最後まで撮り終えた後、もう一度全部撮り直した”という逸話がある。2016年に放送された劇場版『名探偵コナン』の公開記念特番にて語られた話で、柴咲は「そのくらいに気持ちを込めて、それを声に伝えるように努めた覚えがあります」と当時を振り返っていた。

そんな苦労の甲斐もあって、2013年4月に掲載された「シネマトゥデイ」の単独インタビューでは、原作者の青山剛昌が「違和感がなかった!」と彼女の演技をベタ褒め。さらには「声優さんにはいないような声だったから、何かいいなと思っていました。かっこよかったです」となおも称賛が止まらなかった。

ちなみに同作への出演が縁になったのか、柴咲は翌年公開された『異次元の狙撃手(スナイパー)』で主題歌を担当している。役者と歌手、双方で活躍する彼女ならではのアプローチは、確実に作品を盛り上げてくれた。


■『名探偵コナン 純黒の悪夢』天海祐希
劇場版シリーズ20周年記念作品となった『純黒の悪夢(ナイトメア)』には、女優の天海祐希がゲスト出演している。

彼女が担当したキュラソーは、記憶を失った謎の女性という役どころ。のちに自身の正体を思い出すのだが、その前後で天海の演じ方が異なる。声のトーンや話すスピードなどを絶妙に変えて、「記憶を失ったキュラソー」と「記憶を取り戻したキュラソー」を見事に演じ分けているのだ。

ただ本人いわく、声だけですべてを表現する声優の演じ方に相当苦労したようで、2016年3月に行われた公開アフレコイベントで、ものすごい数のNGを連発したことを告白。「画ができているところに声を当てていくのは、自分が思っている以上に表現しないと色が出ない」と、アフレコの苦労を覗かせていた。

また劇中屈指の名言とされる「止まれー!」という台詞にも、ちょっとした裏話が隠されている。

2021年10月24日に、TBS系列で放送された『日曜日の初耳学』(当時は林先生の初耳学)の対談企画「インタビュアー林修」で天海が語ったところによると、もともと台本上では「止まって」という台詞だったそう。

それを彼女自らアドリブで「止まれー!」に変え、のちに青山から「あれは『止まれ』で正解」と褒められたことを明かしていた。つまり名女優ならではの決断が、クライマックスの緊迫感を際立たせていたのだ。

■『名探偵コナン ゼロの執行人』上戸彩
劇場版シリーズ第22弾『ゼロの執行人』では女優の上戸彩が、容疑者となってしまった毛利小五郎を担当する弁護士・橘境子を演じていた。

弁護士という役柄であるため、劇中では専門用語が多数含まれる長台詞がチラホラ見受けられる。
それでも2018年3月に行われた公開アフレコイベントでは、一度も詰まることなくアフレコをこなしていた。

しかも同年4月に掲載された「WEBザテレビジョン」のインタビューによれば、収録にかかった時間はおよそ2時間。あまりのスムーズさに、スタッフも驚いていたそうだ。

上戸といえば、ディズニー映画『マレフィセント』でオーロラ姫、『ズートピア』では主人公・ジュディの日本語吹き替えを担当した経歴がある。持ち前の演技力に加え、数々のアフレコ体験が『名探偵コナン』にも活きたのだろう。

ところで上戸が同作に関わるのは、これで2度目。実は2006年に本人役としてTVアニメ版に出演しており、『ゼロの執行人』は約12年ぶりの抜擢となった。

毎作、劇場版シリーズを彩っている豪華なゲスト声優たち。そのたしかな存在感は、作品を大いに盛り上げる一助となっているに違いない。

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