デビュー当時、“岡山の奇跡”と称され、数多くのCMに出演。瞬く間にお茶の間の人気者となった桜井日奈子
2016年に俳優デビューを果たすと、数多くのドラマや映画で主演を務め、2023年も数々の作品に出演している。6月16日(金)より公開の最新作『魔女の香水』で、香水の力で懸命に未来を切り開いていく女性を力強く演じた彼女に、これまでのキャリアや、本作の出演で得たものなどを語ってもらった。

【写真】、“岡山の奇跡”と称される桜井日奈子 撮り下ろし写真【6点】

──桜井さん自身、普段は香水を使いますか?

桜井 この作品に出会うまでは全然つけてなかったです。恵麻が香水屋さんに行って、どういうふうに作られているのか、こういう香りがあるんだみたいなことをノートにまとめるシーンがあるんですけど、私も恵麻と同じように勉強しました。あと、平岡祐太さんが演じてらっしゃる横山社長が金木犀の香りをつけているんですけど、横山社長は恵麻が憧れる男性なので、私も金木犀の香りをつけてお芝居をしました。

──香水をつけると気分も変わりますか?

桜井 だいぶ変わりますね。香りから引き出されるものってあるんですよね。劇中に「香りは記憶を呼び覚ます力がある」というセリフがあるんですけど、恵麻が金木犀の香りをまとうことによって、横山社長への思いを表現できたというか、気持ちが湧いて出てくるみたいなところがありました。

──恵麻の運命を変える“魔女さん”こと香水商・白石弥生を演じた黒木瞳さんの印象はいかがでしたか?

桜井 黒木さんとは前にもご一緒しているんですけど、今回のようにしっかりと共演させて頂くようなシーンはなかったので、改めてオーラがすごいなと……。黒木さんと同じシーンの撮影は、ドライ(※カメラなしの通しのリハーサル)の段階から本気で、ずっと集中しているから、とにかく体力を使うんです。恵麻にとっての弥生さんって、私の母と重なる部分があって。黒木さんからも、そういう母性みたいなものを現場で感じるんですよ。
「私は今、本当にすごい方とお芝居をしているんだぞ」っていう緊張感がすごかったですし、黒木さんだからこそ引き出してもらえる感情や表現もたくさんありました。

──黒木さんから、どんなことを学びましたか?

桜井 黒木さんのお芝居って、このセリフの時には、ここにいて、顔はこういう向きでみたいな感じで、すごく繊細なんです。シーンを一つひとつ丁寧に作り上げているところがプロフェッショナルだし、なかなか間近で見られるものじゃないから、私も盗もうと思って見ていました(笑)。わりと私は現場での自然な流れや、役者さん同士の掛け合いで引き出されるものを大切にしていたんですけど、黒木さんのように細かく作り上げるのは、とても体力が必要で。このレベルに達するまで、私はあと何年何十年かかるんだろうって思いました。

──魔女さんの香水店はセットなんですか?

桜井 セットです。あの幻想的な空間にいると、本当に魔法にかかってる気分にさせられるというか。あまりにも素敵なセットだから、本物のお店だと思ってお客さんが入ろうとしたこともありました。

──今回、映画初出演の川崎鷹也さんは、初演技と思えないような自然さでした。

桜井 すごく朗らかな方で、「実はすごく緊張してるんです」と毎日仰っていて、「できて当たり前だから」という感じではなくて、カットがかかるたびに「おっしゃ! できた!」って喜んでらっしゃる姿が素敵でした。常に現場を楽しませてくださる方だったので、ご一緒してとても気持ちが良かったです。

──現場の雰囲気自体はどうでしたか。


桜井 ベテランの方がたくさん出てらっしゃる現場だったので、常に緊張はありました。ただ宮武由衣監督が常に「良かったです」と褒めてくださるんです。平岡祐太さんは過去にも宮武監督の作品に出演されているんですけど、「本当に良くないと宮武監督って褒めないんだよ。前回、僕は褒められなかった」と仰っていて(笑)。大人な恵麻を演じるのに不安もあったんですけど、すごく自信になりました。監督ってどちらかというと我が強い方が多いイメージだったんですけど、宮武監督は思ってることがあっても、とりあえず周りの意見を聞くんです。言われたことに柔軟に対応している感じが素敵で、ついていきたくなる監督さんだなって思いました。

──桜井さん自身、恵麻のように大きな壁にぶつかった時、誰かに相談はしますか?

桜井 よっぽど困ったら母親に連絡しますけど、昔から一人で抱え込むタイプなので、最近はないですね。十代の時に「もう辞めたい!」ってなった時に、泣きながら母親に連絡したら、「辞めちゃう? 岡山に帰ってきていいよ」と言われて、逆に「じゃあ頑張る!」となって。母親は私の性格が分かっているから、そう言ったのかもしれないですね。

──改めて『魔女の香水』を、どんなふうに楽しんで観てほしいですか?

桜井 恵麻にとって、自分を高めるもの、未来に導いてくれるものは香水ですけど、ご覧になる方を導いてくれるものは何なのか、そして自分にとっての魔女さんは誰なのかを考えながら観てくださるとうれしいですね。あと壁にぶつかった時に、辛い気持ちをふっと軽くしてくれるような言葉がたくさん詰め込まれた素敵な作品なので、たくさんパワーをもらってください!

【あわせて読む】桜井日奈子が振り返る“岡山の奇跡”が女優になるまで「厳しいマネージャーさんに救われた」

▽『魔女の香水』
6 月 16 日(金) TOHO シネマズ 日比谷 他
全国ロードショー
配給:アークエンタテインメント
編集部おすすめ