2023年に開催された第五回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にてMVPを獲得した大谷翔平選手。その後もメジャーリーグでの活躍が報道されており注目を集めている。
大谷選手といえば「二刀流」と言われるほど投打で活躍を見せている。彼のように投打に活躍する選手は、マンガの世界でも珍しい。本記事では、甲子園で高校球児が躍動するこの季節に、投打で躍動する選手が登場する野球マンガを4本紹介する。

【画像】元祖・大谷翔平は? 二刀流の選手が活躍する野球マンガ

 まず1本目は1994年から2010年まで週刊少年サンデーで連載されていた『MAJOR』だ。プロ野球選手の父を持つ主人公・茂野吾郎が、メジャーリーガーになる夢を追いかける物語。吾郎の子供のころから、大人になるまで描かれていることもあり、国民的野球漫画との声もあがる。投手としてのイメージの強い吾郎だが、打撃面でも活躍するシーンが描かれている。

 通っていた海堂高校を辞めた吾郎は、野球部の無い聖秀高校で再スタート。野球未経験の生徒も含めてなんとか部員を集め、野球部を新設した吾郎は、投打に活躍を見せて神奈川県予選を勝ち抜いていく。その後の吾郎はメジャーリーグを経て、日本球界に打者として復帰。投手だけでなく打者としてもプロ契約を勝ち取るわけなので、投打ともに高い能力を持った選手であることはあきらかだ。

 次に、投打で活躍を見せた選手は1992年から週刊少年サンデーで連載された『H2』の主人公の1人・国見比呂だ。
中学時代にエースとして活躍していたが、右ひじの負傷のため野球を断念。ただ、その診断は誤っていたため、野球を再開し進学した高校で野球部を立ち上げる。主に投手として活躍を見せるが、3番バッターを任されるほどの打撃力。特に、サヨナラの場面になると好成績を残すなど勝負強いバッティングを誇る。甲子園で活躍したあとの姿は描かれてないが、もし描かれていたらプロの世界でも大活躍をしたのではないだろうか。

 また、週刊少年ジャンプで1986年から連載されていた『県立海空高校野球部員山下たろ~くん』の主人公・山下たろーも投打で活躍を見せた選手だ。彼は当初は史上最低の野球部員と言われていたが持ち前の努力で実力を高めていく。投手としては右投げで、打者としては左打ちというスタイルは、偶然にも大谷選手と共通している。甲子園決勝でもエースで4番を勤めており、彼の活躍ぶりは名実ともにチームの要となっていた。

 最後に紹介するのは、大谷選手と同様にメジャーリーグで二刀流として活躍した『なんと孫六』の主人公・甲斐孫六だ。1981年から月刊少年マガジンで連載開始された本作は、33年にも渡り物語がつづられ、高校野球、プロ野球、メジャー・リーグ、日本代表と彼の活躍の場を変えていく。孫六は野球の実力こそ大谷選手のように活躍を見せるが性格は全く異なる。
甲子園で準優勝するほどの実力を持っていたが、不良集団と抗争を起こした結果、高野連から追放されてしまう。

 孫六はそんなことでめげるような人間ではなく、策略を巡らせてプロ野球の道へ。ただ、プロ野球選手になっても喧嘩早いのは変わらず、喧嘩が原因で無期限出場停止に。その後、メジャーリーグ球団へ移籍を遂げるが、持ち前の負けん気の強さで、投打で活躍する。今回紹介したキャラのなかでは、最もメジャーリーグで成功した選手といえるでしょう。

 ここまで4本の野球マンガを紹介したが、長い野球マンガの歴史のなかでも大谷選手のほどの活躍を見せた選手はいない。まさにフィクションを超えてしまったわけだが、大谷選手の活躍によって、今後、大谷選手を超えるような選手が描かれる可能性もある。フィクションの世界にも影響を与えるその凄さこそが場外ホームラン級と言えるのかもしれない。

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