女優の池田朱那が、8月4日より公開中の主演映画『17歳は止まらない』で長編映画初主演にして、青春ど真ん中の女子高生役を熱演している。「令和の野球少女」のキャッチコピーも持ち、さわやかなスター性を備えた池田が、学生時代の思い出や役作り、そして青春について目をキラキラさせながら語った。


【写真】映画では女子高生を演じた池田朱那 撮り下ろし写真【5点】

「瑠璃は、初めて脚本を読んだ時『なんて魅力的な子なんだ』と一目惚れしたくらい好きな役です。ここのところ、ちょっと暗い役もいただくことが多かったので、今回素直で天真爛漫な女の子を演じられたこと自体がすごくうれしくて、間違いなくベストの作品です。

10日で全場面を撮ったので、全力疾走気分でカメラが回っていなくても、瑠璃として居ることができたと思います。」

『17歳は止まらない』の主人公・瑠璃は、農業高校で畜産を学ぶ高校2年生。鶏や牛を育てる畜産科らしい日々も劇中で描かれている。自然豊かな環境で育った池田には動物と触れ合うのもたまらない楽しさがあったが、リアルな現実も映画の中で経験した。

「『ペットと家畜は違うんだよ』という瑠璃のセリフが劇中にもあって。
動物は好きですし、可愛く思えるのは今も変わっていないんですが、『命をいただいて食べ物にしている』感覚を実感して、『いただきます』の言葉もずっしり重くなりました。屠殺し解体してお肉にするまでの場面も演じさせていただいて、動物たちにも畜産に携わっている方々への感謝も忘れる訳にいきません」

瑠璃は年上の教師の森に惚れこみ、自宅を探して押しかけるほど強引な行動に走る一方で、同い年の男子のマサルの攻勢には素っ気ない態度を取り続けるが、2人との関係は終盤にどんでん返しが待っている。

「年頃の女の子にとって、学校の先生というのはすごく格好よくて頼り甲斐のある存在に見えるんですね。むしろ同世代は男子も女子も子どもっぽく見えて、大人への憧れが強くあると思います。瑠璃は母子家庭育ちなので、余計に森先生に大人の包容力ややさしさを求めているように感じました。

私も10代の頃は友達のそういった感覚を聞いていたので、瑠璃としての役作りのために思い出していました。
そして森先生役の中島さんがクールで格好いいものだから、どんでん返しは余計にショックですね。中島さんは『この役楽しいんだよ』と面白がって演じていらっしゃいましたが(笑)」

瑠璃とマサルの甘酸っぱい関係については、こう感じたという。

「マサルは瑠璃ほど内面の感情を見せない性格ですが優しくて愛の深い男の子なんだなって思いますし、瑠璃に何を言われてもついていくのも、17歳の大人になりきれない感じがあって可愛いですね。

瑠璃にも言えますが、17歳という大人でも子どもでもない年齢だからこその言動が愛おしいですね。もう大人になった私にはとてもできないです(笑)」

大人になるとどうしても周囲に遠慮したり余計なことを考えてしまう。そんな煩わしさとは無縁な、10代ならではの青くさいヒロインを演じきったことは、人生でも大切な思い出になると確信している彼女だ。


「令和の野球少女」も、この2023年で22歳を迎える。きりりとしたイメージは変わっていないが、大河ドラマ『青天を衝け』(2022)阪谷琴子役では和服も着こなし、スポーティーな少女にとどまらない引き出しは着実に増えている。

「好きな俳優さんに安藤サクラさんがいます。シリアスな役もヤンキーっぽい役やギャルも、抱きしめたくなるような可愛い役も様になる人だなって目標にしています。私も何もかもが別人のような役を、立て続けでも違和感なく演じ続けていける役者になりたいですね」

今演じてみたい役、にはこんな答えも。

「女子高生もまだまだできるし今しかできないと思うので(笑)、縁があればもっと経験したいです。
あとは気が強くて感情を強烈にぶつけあう人物になってみたいですね。あるいは私のこの声を使わない役など…自分にない性格、ないものを持っている人を演じていきたいです」

俳優業や人間の性格への好奇心が、そのままキラキラのまなざしに活きている。芝居の追求に、止まる暇はない。

「大好きな映画になりましたが、観る方それぞれの17歳の青春を思い出したりしながら自由に感想を持っていただければいいなと。私自身のことも、野球や女子高生の活発なイメージでも、これから経験するかもしれない何かシリアスな役でも、どんな切り口からでも覚えていただけたらうれしいです!」

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▽池田朱那(いけだ・あかな)
2001年10月31日生まれ、群馬県出身。2019年ゲーム「八月のシンデレラナイン」CM出演で注目され、映画「かぐや姫は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」(19年)、「彼女が好きなものは」(20年)、NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリンピック噺~」(19年)、「青天を衝け」(21年)などに次々出演。
2022年は舞台「群盗」ではヒロインを務め、ドラマ「ふたりの背番号」では初主演を果たした。2023年、初の主演映画「17歳はとまらない」が8月4日より公開中。