【写真】シャー・ルク・カーン4年ぶりの主演作『PATHAAN/パターン』場面写真
〇ストーリー
2019年、パキスタンの将軍カーディルはインド政府がJK州の自治権を無効化したことを知り、インドへの攻撃を計画。未知の集団Xというテロ組織を率いるジムに連絡をする。実はジムはかつて、インドの諜報機関RAW所属の最強のエージェントだった。しかし、ある事件で国から裏切られ、妊娠中の妻を殺され自らも瀕死の重傷を負ったのだ。生き残ったジムは母国インドに憎しみを抱き国家を破滅させるためにテロ組織を作っていた。そしてカーディルとジムは、共に憎むインドへ対するテロ計画を企てる。2020年、RAWに所属するエージェント、パターンはミャンマーで作戦中に負傷し大けがを負った。しかし、脅威の回復力で現場復帰を果たすと共に、負傷や心身に傷を負い一線を退いた元エージェントたちを呼び集め、JOCRというRAWの内部組織を立ち上げる……。
〇おすすめポイント
『バンバン!』(2014)や『WAR ウォー!!』(2019)など、世界に通用するインドの娯楽アクション監督シッダールト・アーナンドの新作にして、自宅が観光名所にもなっている”キング・オブ・ボリウッド”ことシャー・ルク・カーン4年ぶりの主演作となる『PATHAAN/パターン』がついに日本上陸!
共演には第95回アカデミー賞ではプレゼンターを務め、アン・ハサウェイ、ロバート・デニーロ主演作『マイ・インターン』(2015)のヒンディーリメイク『ザ・インターン』にも出演予定と、出演作が多数待機中のディーピカー・パードゥコーン。
また、自信の代表作のひとつでもある「Satyameva Jayate」シリーズやスーパーソルジャー役を演じた『Attack』(2022)を彷彿とさせるパンチを繰り出してくるジョン・エイブラハムに注目するのは当然のことながら、クリストファー・ノーラン監督作『TENET テネット』(2020)にも出演し、話題の新ドラマシリーズ「Saas, Bahu Aur Flamingo」でも主演を務めるインドの名女優ディンプル・カパディア、『WAR ウォー!!』に続いてルトラ大佐を演じるアシュトーシュ・ラーナーに加え、元子役でスタンドアップコメディアンとしても活躍するアリトロ・リュドラニール・バナルジーなど、脇を固める出演者たちもかなり個性豊かだ。
長年計画してきた、世界観を共有する「スパイ・ユニバース」が本格始動となり、今後『タイガー3』、『パターンVSタイガー』、そして『RRR』のNTRジュニアの出演も予定されている『WAR ウォー!!2』、さらに女性キャラクターのスピンオフなど複数の企画が進行中。パターンは「スパイ・ユニバース」にとって、アベンジャーズにおけるキャプテン・アメリカ的立ち位置となるキャラクターということもあって、今作をチェックしておかなければ、今後の展開に乗り遅れてしまうだろう。
名前だけ何度か出てくる、リティク・ローシャン演じる『WAR ウォー!!』の主人公カビールの登場は作品のバランス的問題で次回に見送られてしまったものの、さっそく「タイガー」シリーズから、サルマン・カーン演じるタイガーがゲスト出演を果たした。
2大カーンが顔を合わせただけでもインドでは大歓喜状態だが、コロナ禍でボリウッド大作の公開延期が続いていたこともあって、この共演は、その後の大作ラッシュのスタートを切るに相応しいものとなった。
映画公開に先駆けてYouTubeで公開された、シッダールト作品ではお馴染みのヴィシャール・シェカール、シルパ・ラオらによる作中曲「Besharam Rang」のミュージックビデオは、2週間で視聴回数1億回を超えたことも話題となった。
これは第95回アカデミー賞歌曲賞を受賞した『RRR』(2022)の「ナートゥ・ナートゥ」が5か月かけて達成した再生回数。YouTubeの世界のミュージックビデオ・ランキングではマイリー・サイラスやシャキーラ、BTSなどと並び、常に上位に位置し続けていたほど。
それだけではなく、次に公開された「Jhoome Jo Pathaan」では、ニューヨークでのライブ経験もあるボリウッドのプレイバックンガー(吹替え歌手)であり、アーティストでもあるスークリティ・カッカーが参加して、こちらも驚異的な再生回数を叩き出した。
また冒頭で使用されているフルイングリッシュ楽曲「Pathaan’s Theme」には、イギリスのゴスペルシンガーとして知られるマグダレナ・スペルが参加しているほか、アヌバ・カウルやグウェン・フェルナンデス、カマクシ・カンナといった若手アーティストたちがコーラスとしているなど、世界で活躍する様々な世代のアーティストが参加している極めて音楽の重要性が高い作品ともなっている。
そしてアクションにおいては、『トップガン マーヴェリック』(2022)、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2023)とハリウッドの最前線でアクション監督として活躍し、自信も「ミッション・インポッシブル」などでスタントを務めてきたケイシー・オニールが参加していることもあって、ダイナミックで一流のアクションシーンが実現!!それでいて「ミッション・インポッシブル」シリーズにある、ちょっと「おバカ」味もちゃんと引き継いでいる。
トム・クルーズ主演アクション映画をリスペクトしてきたシッダールトにとって、”本物”の参加は大きな意味があるといえるだろう。
〇作品情報
監督:シッダールト・アーナンド『バンバン!』『WAR ウォー!!』
出演:シャー・ルク・カーン『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』
ディーピカー・パードゥコーン『トリプルX:再起動』
ジョン・エイブラハム『ディシューム』
配給:ツイン
9月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
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