【写真5点】Huluオリジナルストーリーに登場する久間田琳加ほか女性陣キャスト
2022年だけに限っても、『キングダム2 遥かなる大地へ』、『さかなのこ』、『沈黙のパレード』など話題の映画に連続して出演。地上波ドラマでも『同期のサクラ』、『最愛』、『ミステリと言う勿れ』などで主要キャストの一人を演じている岡山。
そして、今クールで出演しているドラマ『こっち向いてよ向井くん』では、主人公・向井くんの妹・麻美(藤原さくら)の夫、武田元気を演じている。元気は、これまで岡山天音が演じてきた役とは少々異なる味わいを見せてくれている。
岡山がこれまで演じてきたのは『キングダム』での尾平や『同期のサクラ』での土井蓮太郎に代表されるような、いわゆるヘタレキャラ、もしくは『ミステリと言う勿れ』での下戸陸太のようなどこか影のある役どころが多かった。
しかし、今回の元気という役はこれまでとは対照的に、陰と陽であれば、「陽」タイプの人間だ。
確かに、前述のようななよっとした“ヘタレ要素”はあるかもしれないが、妻である麻美をどんな状況でも想い続けている。夫として成長し、変わっていこうとする元気が嫌で麻美は離婚を決意するのだが、それも元気が何よりも麻美を大事に思うからこそだった。妻の思いが理解できない元気はちょっとお馬鹿だが、それ以上にまっすぐで愛おしく感じられる。
そんな元気は岡山だからこそ成り立った。軽薄でデリカシーはないのだが、どこか憎めない。屈託のない笑顔とパートナーへの素直な思い、おまけにおしゃれなロン毛まで、今までとは一味違う岡山によって元気という魅力的なキャラクターの輪郭はくっきりと浮かび上がった。
6日放送の9話ではセリフ、表情でも魅せてくれた。妻に変わっていっていることを怒られた元気は「……無理だよ、そんなの。だって俺、知っちゃったんだもん。まみんが隣にいる幸せ」とこぼす。さらに、関係が修復された際には、「俺はさ、まみんをずっと好きでいればいいんでしょ?」と破顔する。
これまで妻の言っていることが理解できず、悩んできた元気。その苦しみを真剣な表情で吐露したかと思えば、愛する麻美と再び一緒にいられることに歓喜する。人によってはもしかすると苛立ちを感じてしまうかもしれないキャラクターだが、岡山のチャーミングさによって元気を魅力的な人間に仕上げた。
もちろん、岡山と見事な“バディ”を組んだ藤原さくらにも賛辞を送りたい。クールで、冷たいとさえ言える麻美を、リアルに演じきった。彼女自身が持つハスキーボイスもあいまってか本当にこういう人間なのではないかと思えるほどのはまり役で、だからこそ9話の最後にようやく見せてくれた笑顔は印象的だった。
今作品を通して新たな魅力を視聴者に提供してくれた岡山天音。
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