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主に『オトナプリキュア』で活躍するのは、『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア5GoGo!』(いずれもテレビ朝日系)の主人公・夢原のぞみとその仲間たち。当時どこにでもいる普通の中学生だったのぞみは、ある時プリキュアの力を授かり、希望のプリキュア・キュアドリームとして、仲間と力を合わせて戦ってきた。
そんな彼女たちの活躍を描いた『プリキュア5』シリーズからおよそ十数年後。「なんとかなるなるー!」が口癖だったのぞみはすっかり大人となり、念願だった「教師」になる夢を叶え、そして……。“なんとかならない壁”に直面していた――。
たとえば彼女の教え子の一人に、ダンスの全国大会で優勝するという夢を持つ女の子がいる。しかし家庭の事情で田舎の祖母の家に引っ越さなくてはならなくなり、ダンス部のない学校に転校するしかないという。“私、もう踊れないんです”と意気消沈する彼女のために、のぞみは転校しなくても済むよう奨学金のような支援制度を作れないかと校長に直談判するのだが、現実はそう甘くはなく……。
それでも諦めず、今度は生徒の父親を説得しに行くのはさすがの行動力だろう。だがそこでも厳しい現実を叩きつけられ、しまいには「じゃあアンタ、俺の会社助けてくれるのか?」「借金を返してくれるのか?」「取引先を探してくれるのか!?」と相手を怒らせてしまう。
そんなのぞみを幼なじみの夏木りんは「いくら先生でも、できることには限界があるって」と慰めてくれるが、のぞみは「プリキュアだった時って、できないことなんてないと思ってた」「頑張ればどんなことだってできるし、不可能はない……そう信じてたな」と、無敵だったかつての自分を回顧するのだった。
恐らく同エピソードの中でのぞみやりんが口にした“プリキュア”は、子ども特有の全能感の象徴なのだろう。しかし大人になるにつれて、自分ではどうにもできない壁に直面して現実を知っていくことは、元プリキュアの彼女たちに限らず、多くの人が経験することだ。
そんな大人ならではの苦悩を「なんとかなるなるー!」が口癖だったのぞみが語るシーンは、かつて『プリキュア5』を視聴し、今や大人になった視聴者の胸にこそグサッとくるものがある。
ちなみに厳しい現実に直面しているのは、のぞみだけではない。彼女のことを慰めてくれたりんもまた、仕事がなかなか上手くいかず、「頑張ってもそれが報われるとは限らないんだよね……」とこぼしていた。
また他のプリキュアメンバーに関しても、どれだけ頑張っても評価してもらえない春日野うらら、上司からパワハラ&サービス残業を強いられる美々野くるみ、メンバーの中で唯一夢を叶えられていない秋元こまちなど、それぞれが何かしらの悩みを抱えている。
大人になれば誰もが直面する悩みや現実の厳しさを等身大に描いた『オトナプリキュア』は、まさに“大人のため”のプリキュアだろう。
自分ではどうしようもない壁に直面した時、頑張っても頑張ってもその努力がなかなか報われない時、周りと自分を比べて自己嫌悪に陥ってしまった時、彼女たちはそれらの問題をどう乗り越えていくのか……。
“大人になってもなんとかなるなるー!” かつてみんなの希望を守るために戦ってきたプリキュアたちは、大人たちの背中を押してくれる“希望”となるかもしれない。
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