現在放送中のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』(総合・月曜~土曜8時ほか)。歌手・笠置シヅ子をモデルに、趣里演じる福来スズ子の人生が描かれている。
物語は1940年代まで進み、これまで『ラッパと娘』『センチメンタル・ダイナ』などの名曲が登場。趣里の歌唱シーンは毎回話題となり、視聴者を楽しませている。

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そして視聴者が今から”ズキズキワクワク”しているのが、12月31日(日)放送の「NHK紅白歌合戦」でのパフォーマンスだろう。紅白では、毎年朝ドラコーナーが設けられており、主題歌の歌唱や名場面の振り返りが行われる。紅白で趣里がどの楽曲を披露し、どのようなパフォーマンスが繰り広げられるのか、笠置シヅ子の名曲を振り返りながら予想してみよう。

まず、確定と言っていいのが主題歌である『ハッピー☆ブギ』だろう。趣里、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)、シンガーソングライターのさかいゆうが奏でる力強い歌声に、朝から活力をもらっている人も多いはずだ。作詞作曲を手掛けているのは、草彅剛演じる羽鳥善一のモデルとなった音楽家、服部良一の孫・服部隆之(服部隆之の「隆」は旧字が正式)。”羽鳥良一イズム”を引き継いだキャッチ―な歌詞とメロディで、今年一年を艶やかに締めくくりたい。

1950年に発売された、笠置シヅ子の『買い物ブギ―』も候補曲としてピックアップしておこう。「わてほんまによう言わんわ」というワードが繰り返されるこの曲は、大阪弁と軽快なリズムが特徴だ。まだ劇中では登場していないが、こてこての大阪弁にすっかり親しみを感じている視聴者も多いはず。
司会の有吉弘行橋本環奈浜辺美波も巻き込んで舞台を走り回る趣里の姿が想像できるほど、紅白という華やかな舞台にピッタリな一曲だ。

大穴として候補に挙げておきたいのは、USK時代、東京行きが決まったスズ子と秋山美月(伊原六花)の最終公演で披露された『桜咲く国』。この曲は今も、モデルとなったOSK日本歌劇団で歌い継がれており、観客も桜パラソルと呼ばれるピンク色のミニパラソルを振って舞台を盛り上げる。もし『桜咲く国』が紅白で披露されれば、会場がピンクに染まり、客席や審査員席でもパラソルが回り…と何とも美しい舞台になるに違いない。その際には、ぜひ橘アオイを演じた翼和希を始め、現役のOSKメンバーも一緒にパフォーマンスしてほしいものだ。

そして、歌唱曲の最有力候補は、何と言っても『東京ブギウギ』だろう。ブギの女王と呼ばれた笠置シヅ子の代表曲であり、ビールのCMにも起用されるなど、誰もが一度は耳にしたことがあるはずだ。劇中では、第1回の冒頭でスズ子が披露していたが、実際にこの曲が発売されたのは『センチメンタル・ダイナ』が発売された7年後の1947年。降伏という形で太平洋戦争を終えた日本を元気づけた一曲である。

実は、1953年に第4回の紅白歌合戦で笠置本人が披露しており、もし今年の紅白で披露されれば、幻のステージの復活に話題沸騰となるだろう。草彅剛演じる羽鳥善一の「スリー、トゥー、ワン、ゼロ」の掛け声と共に、コロナ渦を駆け抜けてきた日本を元気づけてほしいものだ。

他にも、これまで劇中で披露された『ラッパと娘』『センチメンタル・ダイナ』も、期待を込めて候補に挙げておきたい。
スズ子が羽鳥の前で何度も練習し、やっと”バドジズ”できたあの日から、我々視聴者の耳にすっかり馴染んだこの2曲。フルでの披露は難しくても、何とかメドレーで差し込んでくれたら…と願っている。

こうして楽曲を振り返ってみると、『ブギウギ』という一つの作品の中にこんなにも「聞きたい」と思える曲があることに驚かされた。もちろん、笠置シヅ子という秀才な歌手をモデルにしているという前提はあるが、それだけではなく、趣里演じる”福来スズ子”が物語にピタっとはまり、圧倒的なパフォーマンス力を放っているからだろう。はな湯で歌っていた鈴子がUSKの舞台に立ち、一人で東京の舞台に立ち、そして紅白の舞台へ…どの楽曲が披露されても、涙なしには見られないステージとなるに違いない。

ちなみに、今年の紅白には趣里の母・伊藤蘭も46年ぶりの出場が決定している。もしかすると親子共演が見られるかも?とそちらも楽しみにしたいところだ。また、『ブギウギ』出演者が並ぶであろう審査員席も見逃せない。趣里のパフォーマンスを見守る、伊原六花、水川あさみ蒼井優…?など、想像するだけで胸が熱くなる。大晦日は、いち『ブギウギ』ファンとして、心してパフォーマンスを見届けたい。

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