かつて俳優「成宮寛貴」として多くのファンを魅了し、現在は本名名義でアパレル関連の商品プロデュースなどを行っている平宮博重氏。今年の始めには、テレビ朝日開局65周年を記念する元日スペシャルとして放送された『相棒 season22』の第10話で、過去の回想として「成宮寛貴」の登場シーンが流されたことが大きな話題を呼んだ。


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平宮氏が自身のインスタグラム上で投稿しているスタイリッシュな写真にも、度々注目が集まっているが、やはりファンのあいだでよく上がっているのは、彼の“俳優復帰”を望む声だ。それほどまでに「成宮寛貴」は、俳優として魅力的だったということなのだろう。

芸能界の引退という電撃ニュースが報じられたのは、平宮氏が人気絶頂期にある2016年のことだった。当時はさまざまな報道があったものの、それでも尚多くの人々に惜しまれながらの引退だったという印象が強い。あれから7年以上が経っているが、『相棒 season22』の過去回想シーンにちらっと映っただけで俳優業復帰説を唱えられるのだから、今でもカリスマ的な俳優として間違いなく“求められている”と言えるだろう。

「成宮寛貴」として活動していた頃の魅力を振り返ると、野性味と繊細さを同時に感じさせるルックスは唯一無二のものだった。
そしてただ見た目が良いだけでなく、俳優としての演技力にも定評があり、映画では『逆転裁判』や『ドロップ』、ドラマでは『ヤンキー君とメガネちゃん』(TBS系)、『オレンジデイズ』(TBS系)、『ごくせん』(日本テレビ系)など、数々の作品で爪痕を残している。

あえて陳腐な言い方をするなら、いわゆる“イケメン俳優”というカテゴリーになるだろうが、一口にイケメンといってもさまざまなタイプがある。俳優としての平宮氏の場合には、やや悪そうな“影がある男”がハマリ役だった印象だ。「ヤンキー君とメガネちゃん」のヤンキー君もそうだが、治安が悪そうなイケメンを演じさせれば彼の右に出る者はいない。

そんな「成宮寛貴」が演じてきた治安が悪い系男子で、とくに印象的だったのは、なんといってもドラマ『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)で演じた「J」と名乗る男性だ。何を考えているかわからない危険なテロリストの首謀者を、狂気的とも言える怪演で表現していた。
リボルバーを自身の口に咥えて何度も引き金を引き、部屋中に笑い声を響かせるあのシーンを、今も鮮明に覚えているというファンは多いのではないだろうか。

一方で平宮氏はダークな役柄だけでなく、『相棒』シリーズの甲斐享のような、どちらかと言えば光属性な好青年も演じていた。演技の幅が広く、器用なところも強みだと言えるが、その裏にはストイックな役作りがあったという。

たとえば2016年放送のドラマ『大奥』(フジテレビ系)に出演した際は、壮年期と青年期の両方の徳川家斉を演じるために、1週間で約7kgもの減量を行ったのだとか。またイケメン俳優として活躍していたにもかかわらず、テレビ朝日系のスペシャルドラマ『妻と飛んだ特攻兵』では坊主になることも厭わなかった。さらにドラマ『イノセント・ラヴ』(フジテレビ系)では、繊細な男性である瀬川昴を演じるために、普段の洋服や下着から変えていったという逸話も。
その甘いマスクとは裏腹に、役を演じるためなら泥臭い努力も怠らない俳優だった。

そんな平宮氏も現在は41歳であり、俳優であれば渋い役どころも回ってくる年齢に差し掛かっている。もし役者業に復帰したら、どんな演技を見せてくれるのか……。「成宮寛貴」が見せてくれる夢は、今でも決して色褪せていない。

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