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──どうもどうも上坂さん。今月も始まりましたよ、服飾ペレストロイカ。今回は基本に戻ってKICKS(キックス)、もといスニーカーに挑戦いただいたの巻です。この連載、特にストリート系のアイテムに絞っている訳ではないのですが、担当編集者がストリートおじさんゆえ、自然とそういう流れになってしまってサーセン!
上坂 ちょっと待ってください。え、KICKSとは? この連載でパーカーをフーディー、ジャージをトラックスーツと呼んでいたように、昨今はスニーカーですらおしゃれネームがあるんですか?
──そうですね。本場のおしゃれ人たちはスニーカーをKICKSって言うそうですよ。
上坂 なんと……ズックじゃ通じないんですね……。あまりに言い慣れないので、スニーカーで通させていただきますけど、私、スニーカーは私服では一足も持っていないんです。たいていは黒くて革でできている厚底の靴を愛用しているので、そもそも底の薄い靴を履く機会がほとんどなくって。「スニーカーを履く=ダンスレッスン」くらいのイメージです。
──そんな上坂さんのために、今日はスタイリストさんにお願いして、とっておきのスニーカーを用意しましたよ。まずは「NIKE AIR JORDAN 1 RETRO HOMAGE TO HOME」はいかがでしたか?
上坂 ん? おっしゃっていることの全てが耳慣れない単語ばかりで、どこまでがスニーカーの名前なのか不明なのですが、赤と白のスニーカーのことですよね。えーと、まずこういったブーツのように足首ががっちりとガードされていると安心感がありますね。ところでジョーダンっていうのは?
──マイケル・ジョーダンです!
上坂 ほうほう、いくら運動全般にめっぽう疎い私でも、そのお名前は聞いたことがありますよ。バスケットボールの選手ですよね。ということはこれはバスケ用のシューズなんですね。なるほどなるほど、だから足首をガードしているんですね。では、これを履けば私もハチムラ選手のように華麗なドリブルを……。
──スポーツのイメージがなさすぎて、上坂さんの口から八村塁選手の名前が出てくること自体がすごく新鮮です(笑)。

──ちなみに上坂さん、バスケットボールのルールはご存知で?
上坂 も、もちろんです。ドリブルしてシュートを決める、とてもよく理解しております。そして私は団体で行う球技がとても苦手で、学生時代も暗黒の思い出しかございません……。
──上坂さんからこの話題にはそれ以上触れてくれるなというオーラを感じたので次に進めますね(笑)。ジョーダンに合わせてスタイリングもストリートっぽさ全開ですね。
上坂 腕にはめた黒いロゴ入りのサポーターも、本来はバスケ選手がするためのものだと伺って、こんなおしゃれなロゴ入りの肘を守るための装具があるんだなと思いました。そしてこの連載では度々話題に上がっているSupreme製品だと伺って、「これが、あの」と思いました。あと、実際に履いてはないのですが、隣にあった水色のスニーカー(「THE TEN NIKE AIR JORDAN 1 PREPARED FOR TAKEOFF」)もなかなか手に入らない相当レアなものだそうで、お値段を聞いてびっくりしてしまいました。何に価値を感じるか、何に課金をするかは人それぞれですが、同じ金額を課金するのであれば、私だったら今とてもハマっている『美味しんぼ』Blu-rayボックス全巻を買い占めたりしてしまいそうです。
──『美味しんぼ』についてのアツいトークも聞きたいのですが、あくまでこちらはファッション連載なので、いつか当連載で山岡士郎のスタイリングについて研究するチャンスが訪れるまでのお楽しみに取っておきましょうか。では、2コーデ目で履いたスニーカーはいかがでした?
上坂 このスニーカーは、正直とてもかわいかったです! ガーリーな服装を好む私にはスニーカーは履きこなせないイメージを持っていたのですが、これはちょっと過剰なくらいたっぷりのフリルが付いていて、だけどスッキリと履けそうなシルエットが素敵です。それに、ちょっと厚底なところと、紐が付いていないところもスポーティーになり過ぎずお気に入りです。大変申し訳ないのですが、この連載で着させてもらうお洋服はどれもハイレベル過ぎて、写真で見るとスタイリッシュだなとは思うものの、実際に自分の手元にやってきたらどうすれば良いのかわからないアイテムばかりだったので、どこか現実味がなかったんです。でも今回、初めて欲しいなと思いました。

──あれ、なんだか目の前が霞んで来たのはなぜだろう……。うれしいっす、上坂さん、感動です。これは「PUMA×SOPHIA WEBSTER」というコラボモデルです。
上坂 なるほど、プーマは知っておりますよ。このスニーカーもコラボということは、今のスニーカー業界はコラボが全盛なんですかね? そう考えると私も9月に開催されたアニサマで愛しの内田真礼さんとコラボして『魔女になりたい姫と姫になりたい魔女のラプソディー』をさいたまスーパーアリーナで披露させていただいたんです。その上、最後にステージでハグまでしていただいて大変幸せだったので、コラボというのは人々の心をくすぐる何かがありそうですね。
──そうです。その通りです! 素晴らしいものと素晴らしいものがコラボして、より素晴らしいものが生み出される。同じくアニサマで披露された内田真礼さんと小倉唯さんによる『とっとこハム太郎』コラボも最高だったじゃないですか! それがコラボの醍醐味です!
上坂 ちょ……ちょっとあまりの勢いに気圧されてきましたが、今回はお気に入りのスニーカーに出会うことができたのはうれしかったです。革命の第一歩という感じがしてきました。
──感涙です! 次回も革命を起こして行きましょう!

▽上坂すみれ
公式サイト(http://king-cr.jp/artist/uesakasumire/)
公式Twitter(@uesaka_official)

▽『OVERTURE』020号 発売中
上坂すみれの連載が掲載