透明感のあるルックスと、均整の取れたスレンダーボディーを活かしたコスプレに定評のある人気コスプレイヤーの紅羽りお。キャラクターコスプレ、オリジナルコスプレ、制服、競泳水着など、様々な衣装を見事に着こなし、Xのフォロワー数は23万人を超える。
“女子大生コスプレイヤー”から保育士を経て、現在はマンガ誌のグラビアを飾るなど、着実に活動の場を広げている彼女の軌跡に迫る。(前後編の前編)

【写真】スレンダーなスタイルでグラビアでも活躍、紅羽りおの撮り下ろしカット【12点】

コスプレとの出会いは中学3年生の冬。きっかけは“偶然”だった。

「昔からアニメが大好きで、『黒子のバスケ』のグッズが欲しくて、一人でアニメイト池袋本店に行ったんです。ネットで検索しながら行ったら、着いたのは旧本店で、何も知らずに中に入ったら、『ACOS』というアニメイト系列のコスプレのお店に替わっていました。そのときに初めてコスプレの存在を知ったんです。

すごく人見知りで、一人で行動するのも苦手だったので、誰にも話しかけることができず、すぐにお店は出ました。その後、無事にアニメイト池袋本店に辿り着いて、お買い物はしたんですけど、コスプレの衣装が気になって、家に帰って調べました」

かわいい女の子が好きで、女性キャラクターのフィギュア収集が趣味だった。ACOSで衝撃を受けて、コスプレについて調べていくうちに、かわいい女の子を愛でるだけではなく、自分自身もアニメのキャラクターになりたいと思った。

「ちょうど誕生日が近かったので、お母さんにACOSで見たコスプレ衣装について報告して、私もやってみたいと誕生日プレゼントはコスプレの衣装とウィッグを買ってもらいました。お母さんは私のために、『このアニメが好きそうだから』とお願いしていないのにアニメを録画してくれるぐらい理解があって。それがきっかけに深夜アニメにもハマりました。
だからコスプレ衣装とウィッグも買ってくれましたし、カラコンの入れ方も教えてくれました」

買ってもらった衣装は『境界の彼方』の栗山未来。初コスプレだったが、ただ着るだけでは満足できず、それまで一人行動が苦手だった自分からは想像もつかない行動に出る。

「コスプレについて調べているうちに、コミケにはコスプレイヤーさんたちがたくさんいて、それを撮ってくれる人たちがいるというのを知りました。自分も参加してみようと思って、一人でコミケに行ったんです。コスプレしているお姉さま方に付いて行って、今はないんですけど『庭園』というエリアに行き着いて。ここで合っているんだろうかと不安になりながらも、コスプレのお姉さんたちを観察して、見よう見まねで空いている場所に立たせてもらいました。

誰にも話しかけることができなかったんですけど、カメラマンさんから『撮ってもいいですか?』と声をかけられて、『初めてのコスプレで分からないので教えてください』と言いながら撮っていただきました。それまでメイクすらしたことがなかったので、ノーメイクでカラコンを入れただけという不細工な姿だったんですけど、並んでくださる方がいらっしゃって、すごく楽しかったんです。

そのときの写真をTwitterに載せてくださる方もいらっしゃって、カメラマンさんと交流ができたし、何より自分の好きなキャラクターをコスプレしている人たちがたくさんいるのに感動して、他のキャラクターもやりたいと思いました。それにしても我ながら初コミケで初コスプレ、しかも一人で参加って、よくやったと思います。他に聞いたことがありません(笑)」

中学・高校と演劇部に所属して、校内の舞台に立っていたので、もともと演じることは好きだった。いろいろなキャラクターになり切ることのできるコスプレも性に合った。


「高校時代、『あんさんぶるスターズ!』というゲームが流行って、私もハマったのをきっかけに男装も始めました。『アコスタ』というコスプレイベントに行きたかったんですが、一人で行くのは怖いから、『コスプレアーカイブ』というサイトを調べていたら、併せの募集がたくさんあって。その中に『あんさんぶるスターズ!』の併せがあったので、思い切って『アコスタ』に一人で飛び込んだんです。そこで男装していた二十代のお姉さんたちに拾ってもらって、コスプレだけじゃなく、ご飯にも行くようになって、一気に十数人のレイヤーさんと知り合いになりました」

コスプレイベントに参加するようになって、意外と一人で行動しているコスプレイヤーが多いことに気づいた。一人で会場に立って、いろんな人と交流をしている先輩コスプレイヤーの姿がかっこよく見えた。

「当時は交流メインで男装をたくさんして、身内だけで遊んでいるような感じでした。ただ私は『To LOVEる -とらぶる-』や『化物語』などの“物語”シリーズなど男性ファンも多いアニメも好きだったので、そういうコスプレもしていたら、男装以外のレイヤーさんともお知り合いになって。いろんなところに顔を出していくうちに、どんどん交友関係は広がっていきました」

子どもが好きだったので、高校卒業後は保育系の大学に通った。大学生になってからもコスプレ熱は高まる一方で、バイトで稼いだお金の大半はコスプレ衣装に費やした。

「コスプレイベントに行ったり、友達とスタジオに行って自撮りしたりと大学生になってからも変わらずコスプレを楽しんでいたんですが、そのあたりからえなこさん、伊織もえさん、桃月なしこさんなど、レイヤーさんがグラビアにも進出するようになって。レイヤーさんきっかけで私もグラビアが好きになり、コンビニでグラビアが載った雑誌を買うようになりました」

大学生になったのを機に、キャラクターだけではなくオリジナルのコスプレ写真もSNSに載せるようになった。

「高校時代は男装メインでやっていて、18歳になってからは水着などの自撮りをSNSに上げるようになって。
一応、お母さんに相談したら、『そういう格好ができるのも若いうちだから好きにしなさい』と言ってくれました。そのうち撮影会などにも出させてもらって、最初はキャラクターコスプレだったんですが、部と部の間でメイクもウィッグも変えるのが、すごく大変だったんです。これでは体がもたないと思って、途中からメイド服など、ずっと着てみたかった衣装に変化していきました」

撮影会の他にも年に1、2回程度、企業案件も舞い込んだが、コスプレやグラビアで生活していこうとは思わなかった。

「たまに撮影会以外のお仕事もいただきましたが、どれも単発で。仕事関係で相談できる人が一人もいなかったので手探りで、よく分からないままに活動していました。一度、コスプレ系の事務所からお話しをいただいて所属した時期もあったんですが、これといったお仕事もなくて、いつの間にか解散していました。でも学生時代はかわいく撮ってもらえて、ついでにお金ももらえるなんてラッキーみたいな感覚で、かわいい服が着られるだけで満足でした」

【後編はこちらから】保育士から転身、紅羽りお「グラビアを通してコンプレックスだったウエストが好きに」
編集部おすすめ