【写真】ドラマファン待望のドラマ『海のはじまり』
第2話は、水季が海に「あなたには夏という名前のパパがいるんだよ」と伝える回想シーンから始まる。母親との二人暮らしで、ずっと父親の存在を知らずにいた海。「夏くんのパパ、いつ始まるの?」というセリフは、自分を大切に想ってくれるであろう人に対しての、至極当たり前の問いかけだったのだろう。
だがもちろん夏は事態を受け止めきれない。そして、事情を知らない恋人の弥生(有村架純)が彼のアパートに遊びにやってくる。海の迎えが来るあいだ、遊び相手をする弥生。そんな彼女たちを複雑な表情で見つめる海。
やがて彼は意を決して、弥生に事情を打ち明ける。普通に考えたら、この告白シーンは最もエモーションが高揚するシーンになるはず。第2話の最大の見せ場になるはずだろう。だがこのドラマは、あえてその“告白”を映さない。告白前と告白後を繋げることで、静かに物語を紡いでいく。
むしろ今回の第2話では、「夏に子供がいた」ことよりも、「水季が妊娠していることを夏は知っていた」、「水季に説得されて中絶することを了承した」という事実を弥生が知ることに、ドラマのウェイトが置かれているように思われる。当時の後悔を口にする夏に対し、努めて冷静な対応をとる弥生は、駆け込んだトイレで思わず倒れ込む。弥生は、過去に中絶を経験していたのだ。
彼女は夏の告白に動揺し、当時の記憶が蘇る。納骨堂のシーンがインサートされていたのは、夏が思わず口にした「(我が子を)殺してしまった」という言葉に強く反応し、我が子供の“死”に正対した記憶がフラッシュバックしてしまったからだろう。彼女の悲しい過去を、我々は夏よりも先に知ることになる。
やがて弥生は、「もし月岡くんがお父さんやるってなったら、私がお母さんをやれたりするのかな。
雄弁でないのは、夏も一緒。彼はひとつひとつ言葉を選ぶように喋り、本当の想いは心の奥にしまってしまう。印象的なのは、夏の父・和哉(林泰文)と母・ゆき子(西田尚美)の、こんな会話。
「夏、大丈夫?葬式のこと、なんか言ってきた?」
「言わないよ。言わない子だもん」
「そうだよね」
「言葉にするのが苦手な子だから」
言葉にするのが苦手な主人公が、これからどんな風に我が子と向き合い、どんな言葉を投げかけるのか。ゆったりとしたテンポで、このドラマは第3話以降も描かれていくことだろう。
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