2017年3月、国内6番目のAKB48姉妹グループとして誕生したSTU48。船上劇場というスタイルで瀬戸内エリアを本拠地として、「1つの海、7つの県」を中心に活動してきた。
先日4thシングルを発売し、ますます勢いが加速する彼女たちが今後目指す場所はどこなのか? 先日、岡田奈々からキャプテンの座を引き継いだ今村美月、4枚連続センターを務める瀧野由美子、アイドル性が爆発する岩田陽菜に話を聞いた。
──まず、STU48にとって約半年ぶりとなる4thシングル『無謀な夢は覚めることがない』が1月29日にリリース! コンスタントにリリースが続いていますね。

瀧野 はい、またシングルをリリースさせていただけることがすごくありがたいです! 去年初めてSTU48で年に2枚シングルを出させてもらって、さらに去年の年末に次のシングルリリースが決まったのがうれしかったですね。

──ただ今回、制作スケジュールはかなりタイトだったそうですね?

瀧野 リリース決定の発表が全国ツアーのファイナルの福岡公演(’19年12月14日)だったんですけど、MV撮影はその2日後からだったんですよ! 福岡公演が1日2公演で、翌日はSTU48号での「GO!GO! little SEABIRDS!!」(以下・ゴゴリバ)公演が2公演あり、その後すぐMV撮影に入るという超過密スケジュールでした。

岩田 4thシングルのリリース日が1月29日と聞いたときは「えっ、あと2カ月もないよ!? そんなスケジュールで本当に作れるの!?」ってびっくりしました(笑)。発表の次の日にはもう振り入れしてたよね?

瀧野 うん。
合間の時間でダンスを習って、メンバー同士で確認し合って。協力し合いながら作り上げていきました。

今村 しかも今回は、今までのSTU48の楽曲とはガラッと違った曲調なんです!

──優しく穏やかなイメージのあったSTU48ですが、今作はそれを覆すハードな楽曲です。

今村 曲調もだし、あと歌詞も“強い”んですよね。例えば『暗闇』(1stシングル)では自分自身に対する葛藤が歌詞になっていたんですけど、今回は「○○するな」とか相手に強く訴えかける言葉が出てきたりして。STU48の楽曲でここまで強い言葉が出てくるのは初めてなんじゃないかな? 私はこの歌詞を読んだとき、秋元(康)先生からSTU48へのメッセージのように感じて、STU48としてさらに上を目指したいと思いました。


岩田 分かる! 「夢に向かって、あきらめずに頑張れ!」と応援されているような気持ちになって、MV撮影中も感動していました。今回の制作期間で改めて「みんなで力を合わせて頑張ろう!」って思えたので、この曲をぜひたくさんの方に聴いてほしいという思いが大きいです!

──MVは香川県の父母ヶ浜と岡山県の牛窓オリーブ園で撮影。特に父母ヶ浜は「日本のウユニ塩湖」と呼ばれて美しさが話題になっているスポットですが、こちらでの撮影はいかがでしたか?

瀧野 父母ヶ浜はすごくきれいでした! 干潮になるのが早朝と夜だったので、その2つのタイミングでダンスシーンを撮影したんですけど、“時間との戦い”でした。早朝の撮影ではだんだん潮が満ちてくるから、全員浜で撮影し始めたはずなのに1回撮り終わったらもう誰かが海に浸かっちゃっていて。そのスピードの早さに「自然ってすごいな」と。また、夜は潮が引いてからの撮影だったので、さっきまで海だったところで裸足になるのはすごく寒かったんですけど、スタッフさんが足湯を用意してくださったのでみんなで温まりながら撮影しました。


岩田 裸足で撮影すると最初に聞いたときは、「この寒い12月の海で裸足だなんで、すごいことをおっしゃる方だな」と思いましたけどね(笑)。でもメンバーだけじゃなく、ダンスの先生も「みんなと同じ気持ちになる」と言って裸足になってくださって、さらにはスタッフさんたちまで「オレたちも裸足になるよ!」と言ってくださったんですよ。現場の一体感はすごかったですね!

──メンバー・スタッフ一丸となって作り上げた『無謀な夢は覚めることがない』のMVの見どころを教えてください。

岩田 歌詞の中に「夕焼けが美しいんだ」というフレーズがあるんですけど、MVの中にはメンバーが横一列に並んで夕焼けに照らされて、海が鏡のように私たちの姿を反射しているシーンがあって。それを見たときには「まさに歌詞のまんまだ!」と思ってグッときました! あれはぜひ見ていただきたい映像ですね。そして、みんなで息をそろえてパフォーマンスした“群舞ダンス”も見どころです!

今村 うん! AKB48グループのMVでは珍しいことだと思うんですけど、今回の撮影では大勢のダンサーさんにも参加していただきました。
勢いある楽曲だからこそ、ダンサーの皆さんが一緒に踊ってくださったことでさらに迫力も増したと思います。また、『風を待つ』(2ndシングル)で振り付けをしていただいた辻本知彦さんが今回も振り付けを担当してくださって、STU48にちなんだ振りも入っているので注目していただきたいです。全体的にリップシーンが少なめ、ダンスシーンが多めの構成になっていて、それが余計にこの曲のかっこよさを引き立てているなと思いました。

──また、MVの中では特徴的なアイテムとして“額縁”が登場しますが、この意味は?

今村 額縁の中に入っているのが今までの私たち、踊っているのがそこから解放された私たち、というテーマです。そしてMVの最後にはゆみりん(瀧野)が額縁を蹴り飛ばすんですけど、そのシーンがすごくかっこいいんですよ!!

瀧野 えへへ(笑)。いい意味で、今までのSTU48とはまた違った新しいSTU48になれたらいいなという気持ちを込めて蹴りました!

──そして1月11日、STU48の新公演「僕たちの恋の予感」が初日を迎えました。
前キャプテン・岡田奈々さんがセットリストを考案したプロデュース公演であり、岡田さんは「ファンの方もメンバー同士もキュンとするポイントの多い公演だと思う」と語っていました。

瀧野 そうですね、確かに今回はメンバー同士で絡み合う振りも多いですし。そこも含めて奈々さんのこだわりがいっぱい詰まった公演なので、観てくださるファンの方には恋の予感を味わっていただきたいし、またメンバー同士でも絆が深まったらいいなと思っています!

──セットリストの中には=LOVEの楽曲『手遅れcaution』が入っており、驚きを呼びました。

岩田 初日に披露した直後、ツイッターで『手遅れcaution』がトレンド入りしたんですよ! それくらい反響が大きくて。

瀧野 うん、「観てみたい! 公演に入りたい!」っていう声をたくさんいただきました!

岩田 私はこの曲をやるに当たってイコラブ(=LOVE)さんのMVやライブ映像を何度も観て研究したんですけど、めちゃめちゃかっこいいんですよね! 私、それまでイコラブさんに対しては可愛らしいイメージの方が強かったので「すごい!」と思ったし、可愛さとかっこよさの差を大きく付けることが大事なんだなと学びました。

──=LOVEのリーダー・山本杏奈さんと親しい間柄である今村さんはいかがですか?

今村 もともと杏ちゃん(山本)に『手遅れcaution』をやることは伝えていたんですけど、初日公演の映像を観てくれていたみたいで、公演直後に電話が掛かってきました! 杏ちゃんと(佐々木)舞香ちゃんが「『手遅れcaution』を公演でやってくれてうれしい」と言ってくれて、私もうれしかったですね。
舞香ちゃんには「STU48バージョンは、イコラブとは違ってサビの声がめっちゃ可愛い!」と言われました。

岩田 あ~確かに。イコラブさんは気迫がもっとすごいもんね!

今村 うん。そういう意味では、同じ楽曲だけどイコラブさんとはまた違った雰囲気の『手遅れcaution』を作り上げていけたらいいなと思っています。まぁ、回数を重ねていくうちに私たちもドロドロした感じに変わっていくかもしれないけど(笑)。

──さらには、昨年11~12月に行なった「STU48全国ツアー2019~船で行くわけではありません~」が大盛況で、追加公演を開催することも決定しています!

瀧野 去年の全国ツアーはほとんどの会場でチケットが完売して、すごくうれしかったです!

今村 北海道から九州までいろんな場所へ行けたのもうれしかったし、名古屋公演ではSKE48さんの曲を、大阪公演ではNMB48さんの曲を入れたり各地でセットリストを変えて臨んだので、その部分でメンバーみんな成長できたかなって思います。

岩田 このツアーでは新衣装が2着もありました。しかもいつものSTU48と比べるとアイドルっぽいと言うか華やかな感じだったので、ファンの方から「あの新衣装、好き! 可愛い!」とたくさん言ってもらえたのがうれしかったですね。あと、ユニット曲の衣装はAKB48さんなど本家さんからお借りしてパフォーマンスしました。お腹を出しちゃったり露出がちょっと多めだったので、その面でも反響が大きかったです(笑)。私がずっと着たかった『アボガドじゃね~し…』の衣装も着ることができて、テンションが上がりました!

──追加公演は1月からスタートし、2月24日に千葉、3月1日に福岡でのライブが控えています。

瀧野 千葉公演は、2期生も交えたSTU48全員でのステージになります。1期生・ドラフト3期生・2期生がすべてそろってライブをするのは恐らくここが初めてになると思うので、ぜひ千葉で新生STU48を観ていただけたらなと思います。

今村 追加公演も大成功させて、さらにいろんな場所でライブができるグループになりたいです!

──では最後に、改めてSTU48の2020年の意気込みを聞かせてください!

瀧野 今年は新公演が始まり、シングルのリリースもあり、全国ツアーの追加公演も始まって、1月からとても良いスタートが切れました! なので、この調子で良い1年を送れたらいいなと思います。そして、『無謀な夢は覚めることがない』というタイトル通り、STU48みんなで無謀な夢を追い続けたいですね。追い掛け続けて、いつか“無謀な夢”を“無謀じゃない夢”に変えたいです!

──なるほど! ちなみにSTU48が追い掛けるその“無謀な夢”とは具体的にどんなものでしょうか?

瀧野 私は、STU48として『NHK紅白歌合戦』に出場したいです。AKB48の一員として出させていただいたことはあるんですけど、近所の方などからの「観たよ」という反響が今までで一番大きかったんですよ。なので、それだけ影響力のある伝統的な歌番組にSTU48で出るというのが夢ですね。

岩田 私は大きな会場でコンサートがしてみたいです。それこそ乃木坂46さんはいろいろなドームでコンサートをされているし、日向坂46さんも東京ドーム公演が決定して、「いいなぁ~!!」って思ったんです。なので、私たちもいつかドームのような大きな会場のステージに立って、そこからの景色を見てみたいという夢があります!

今村 え~と……、めっちゃ無謀な夢なんですけどいいですか? 私は船で世界を回りたい! STU48号に乗ってワールドツアーがしたい!

岩田&瀧野 おお~っ!!

今村 せっかく船があるんだし、海でつながっている場所ならどこでも行けるよね? だったらブラジルとか、地球の裏側まで行ってライブがしたいです(笑)!

岡田奈々がプロデュースするSTU48の船上劇場公演「僕たちの恋の予感」が1月11日よりついにスタート。注目すべき5つのポイントを3人が伝授。
<POINT1.ペア>
メンバー同士で絡み合うシーンが多いのがこの公演の特徴で、しかもその組み合わせも普段から仲の良いメンバー同士でペアになることが多いんですよ。例えば私とみゆちゃん(門脇実優菜)は“たまぴよ”って言われていて仲良しなんですけど、『キスだって左利き』の最後にチューをするような振りがあって、そこで私たちはお互い顔を限界まで近付けています(笑)。私とみゆちゃん以外にも、みちゅ(今村)とこっこ(田中晧子)や沖舞(沖侑果と中村舞)といった仲良しコンビがペアやシンメのポジションになっているので、仲良しならではの絡みも見られると思います。「ここは楽屋かな?」って思うくらい普段の“素”がステージ上で出ていたりもしますよ(笑)。(岩田)

<POINT2.構成>
この公演は本編が前半/ユニットコーナー/後半の3つブロックに分かれているんですけど、それぞれ雰囲気が全然違うんです。前半は『チューしようぜ!』で始まり“いかにもアイドル!”っていう可愛い曲ばかりが続きます。そしてユニットコーナーが終わると、今度は一転してかっこいい感じに変わって。しかもかっこいいだけじゃなく、メンバー同士も前半ブロックでは仲良しだったのが、ここでは“ライバル”や“Slave”の関係性を表現していたりするので、その落差と言うか振れ幅の大きさは見どころの1つかなと思います。さらにアンコールもまた違った雰囲気だし、いろんなSTU48の表情が見られる公演だと思います。(瀧野)

<POINT3.ユニット>
中盤のユニットコーナーでは6曲披露するんですけど、すべてのユニットがSTU48のオリジナル衣装なんです! 本家の衣装をオマージュしつつ、そこにSTU48っぽさを取り入れた新衣装なので、ぜひ注目していただきたいです。(瀧野)

ユニットについては、『禁じられた2人』や『となりのバナナ』ではセリフが自由な部分があるので、そこも見どころですね。本人たちもいろいろ変えていきたいと言っていたので、その変化に注目すると面白いと思います! 公演全体を通してもペアでの振りはフリーの箇所が多くて、いろんなダンスが見られると思うので、『僕たちの恋の予感』公演は何回来ても楽しんでいただけるものになっているんじゃないかな、と。(今村)

<POINT4.証明>
初日公演の映像を観たときに気付いたんですけど、照明がすごいです! ゴゴリバ公演のときとは全然違っていて、「これ、本当にSTU48号(の劇場内)での映像なの!?」って思いましたから。特に後半のかっこいい曲が続くブロックは注目してほしいですね。『従順なSlave』では緑のライトが印象的だし、『手遅れcaution』ではサビの手を挙げるタイミングで真っ赤に染まったり、それぞれ楽曲にマッチした演出になっているんですよ。スタッフさんも「今まで以上に(照明に)力を入れた」とおっしゃっていたので、とてもありがたいと思いました。照明効果によってさらに迫力の増したステージパフォーマンスを皆さんにお届けできたらと思っています!(今村)

<POINT5.オリジナル曲>
アンコールの最後に歌う『奇跡という名のストーリー』という曲は、秋元先生が今回この公演のために書き下ろしてくださったオリジナル楽曲です。希望や夢に満ちた歌詞になっていて、私は「STU48のことを応援してくれているような歌詞だな」と思ったし、これを歌うことでファンの方も今後のSTU48にさらに期待を膨らませてくれるんじゃないかなって思いました。(岩田)

実はこの曲の振り付けは、奈々さんが振付師の方に「仲間感を出した振りにしてください」とオーダーして作られたんです。横一列に並んで波を作ったり、いろんなところで奈々さんのこだわりが詰まっているのでぜひ注目して観てください!(今村)

(取材・文/左藤豊)
▽今村美月(いまむら・みつき)
2000年2月19日生まれ、広島県出身。O型。1期生。STU48キャプテン。ニックネームは「みちゅ」。

▽岩田陽菜(いわた・ひな)
2003年2月21日生まれ、山口県出身。A型。1期生。ニックネームは「ひなちゃん」。

▽瀧野由美子(たきの・ゆみこ)
1997年9月24日生まれ、山口県出身。O型。1期生。ニックネームは「ゆみりん」。