今年1月にテレビ朝日のバラエティ番組『ロンドンハーツ』のドッキリ企画に出演した安倍乙(あべおと)。番組からの数々のムチャブリに懸命に取り組む姿が「純粋すぎて可愛い」と話題を呼んだ。

その純粋さのルーツを探るべく、学生時代の話から女優を目指したきっかけ、そして所属する「劇団4ドル50セント」の話を聞いた。(3回連載の2回目)

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──安倍さんは2017年から「劇団4ドル50セント」で女優として活躍されていますが、女優を志した時から舞台にこだわっていたんですか?

安倍 最初は舞台だけでなく映像も興味がありました。劇団だったら、いろいろ挑戦できるかなと思ってオーディションを受けました。

──女優になりたいと思ったのは幾つの時ですか?

安倍 決断したのは中学2年生の頃です。お姉ちゃんが大阪芸術大学の舞台芸術学科に通っていたんですよ。それでお姉ちゃんが舞台に出ているのを観て、すごく生き生きしているから、私も輝かしい世界に入ってみたいなと思ったんです。その前から映画やドラマを観るのは好きだったので、興味があったのは舞台よりも映像だったんですけどね。

──劇団4ドル50セントに入る前からオーディションは受けていたんですか?

安倍 中2から、東京にある事務所のオーディションを片っ端から受けてました。ただ、ことごとく落ち続けました。いいところまで残ったけど最終的に落ちることが多くて……。

──振り返ってみて、どうして落ち続けたと自己分析します?

安倍 演技経験者が多かったので、皆さん自己アピールができるんですよ。でも私は演技経験もなく、自信もなくて、緊張しいだったので、ダメだったのかなと思います。
いろいろオーディションを経験してからの劇団4ドル50セントだったので、多少は場慣れもしていたのかな。

──それまで、よく心が折れなかったですね。

安倍 そうですね。でも高校卒業後の進路もあったので、劇団4ドル50セントのオーディションで最後にしようって気持ちで受けました。

──学校では目立つのが好きだったんですか?

安倍 全然です。かなり消極的でした。文化祭なんかでも裏方に回っていましたし。中学時代からの友達には女優を目指しているって言ってなかったから、今の活動をしていることに驚かれます。

──高校生の頃には、明確に女優になろうと考えていたんですか?

安倍 五分五分でした。英語が得意だったので、高校は英語に特化した学校に通っていたんです。だから英語を活かした仕事に就きたいという気持ちもありました。でも一方で女優さんになりたい気持ちもあって、劇団4ドル50セントのオーディションに引っかかったらラッキーだな、くらいの感じでした。


──オーディションに受かった時点で進学はしなかったんですか?

安倍 実は大学に進学したんですけど2年の途中で辞めました。舞台の稽古って朝から晩までやりますし、前日に急な仕事が入ったりするので、あんまり出席できなくなったんです。単位も危なくなってきて、親からも辞めた方がいいんじゃないかと言われて、芸能界1本で行こうと決断しました。

──両親は芸能界1本で行くことに賛成だったんですか?

安倍 お父さんは「卒業してほしい」って大反対でしたけど、お母さんが1本に絞った方がいいという意見だったんです。私はお母さんに背中を押されて何かをすると成功することが多かったので、言われた通り辞めようと。

──占い師みたいなお母さんですね(笑)。

安倍 お母さんの助言に従うと必ず良い方向に向かうんですよ。私にとってはマザーテレサのような存在です(笑)。芸名もお母さんが付けてくれたんですよ。安倍晴明から“安倍”を取って、“乙”は語呂がいいのと、画数診断をしたら大吉だったんです。

──センスの良い芸名ですよね。

安倍 覚えやすいって言ってもらえることが多いですね。


──そもそも高校在学中から劇団の活動を始めていたのに、どうして進学をしようと思ったんですか?

安倍 当時は劇団の中でもあまり目立たなくて、最初はユニットみたいなものがあったんですけど、それにも選ばれなかったんです。そのユニットが大々的に活動すると聞いていたので、自分は後ろのポジションだから、そんなに仕事もないのかなと思っちゃって。それで1本でやるにはリスクがあるなと思って進学しました。

──ユニットに選ばれなかった時は相当悔しかったですか?

安倍 悔しかったですね。泣きましたもん。その後も、ユニットメンバーは楽屋が別だったり、優先的にスタイリストさんやメイクさんがついいたりされる日がありました。

──その悔しさが原動力になったんじゃないですか。

安倍 それはありました。ただユニットの活動がなくなって、それぞれが舞台に出たりだとか、音楽活動をする子もいたりだとか。私だったらグラビアとか、個々で居場所を見つけるようになったんです。私自身、『オオカミくん』(※AbemaTVの恋愛リアリティショー『オオカミくんには騙されない シーズン3』)に出たことで、劇団の中で1番フォロワー数が多くなって、それまで悔しい思いをしていたから、「よっしゃ!」と思いました(笑)。

──それで安倍さんの劇団内での居心地も変化しましたか?

安倍 だいぶ変わりました。


──劇団内の雰囲気は徐々に変わっていったんですか?

安倍 そうですね。あと女性だけの劇団じゃなくて良かったなと思います。女性同士だとねちっこい関係性みたいなイメージですけど、男女いることで派閥とかもないですし、お互いの意見も言い合えますし、団結力があるんですよね。

▽安倍乙
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※インタビューの3回目は23日(月)午前6時公開予定です。
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