──ソロセカンドシングルに中森明菜さんの『少女A』(82年発表)を選んだ理由は何ですか?
新井 デビューシングルで、太田貴子さんの『デリケートに好きして』(アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』のオープニングソング。83年発表)のカバーを発売させていただいてから、80年代のアイドル楽曲を聴くことが増えたんです。それで次のシングルはどうしようと考えていたときに、ライブでは、うしろゆびさされ組さんの『渚の『・・・・・・』』(86年発表)をカバーさせていただいていて。どちらも明るくて、楽しくて、みんなで掛け合いのできる曲なので、次は路線を変えて意外性を出そうと。それでギャップを感じてほしいなと思っていたときに、中森明菜さんの『少女A』を聴いたら、今まで歌っていた2曲とはガラリと変わって、低音を聴かせる歌だなと。もともと私は低音の楽曲が好きですし、自分から「歌いたいです!」とスタッフの方に提案しました。
──中森明菜さんには数多くのヒット曲がありますが、その中で『少女A』を選曲した理由は?
新井 当時17歳で『少女A』を歌っていた頃の中森明菜さんの歌声だったり、表情だったりが魅力的だったんですよね。中森明菜さんとは違った形で、今の新井ひとみで『少女A』を表現したらどうなるのかなと思って選びました。
──具体的に新井さんなりの表現方法とはどのようなものでしょうか?
新井 私にしかできないことって何だろうなと考えたときに、ライブでできるだけ息継ぎをしないようにしようと思いました。歌うだけなら難しいことではないんですけど、ライブでは動きもあるので、後半はきつくなるんです。そうやって自分を追い込むことで、切迫感を出して歌っています。
──かなり細かく自己プロデュースしているんですね。前から自分の意見は言える方だったんですか?
新井 ソロでやらせていただくようになって、経験や考えも豊富になって、言えることが増えてきたのかなと思います。
──当時の中森明菜さんの映像もチェックしたんですか?
新井 『ザ・ベストテン』(TBS系)や『ザ・トップテン』(日本テレビ系)などの映像をいくつも観させていただいたんですけど、毎回セットが豪華で演出も違うから楽しいんですよね。私もライブでは毎回違う楽しさを表現してみたいなと思いました。中森明菜さんに負けないようなカッコ良いパフォーマンスをしたいという刺激も受けましたね。
──中森明菜さんのどこに他のアイドルと違う魅力を感じますか?
新井 どこから声を出しているんだろうと疑問に思うぐらいの、力強くて鋭い歌声ですね。あとパフォーマンス中はキメキメなんですけど、曲が終わると「うふふ」って年相応の幼さもあって、そのギャップが可愛いです。
──ソロ活動を始めて約4カ月が経ちましたが、ソロになって改めて感じたグループの良さは何ですか?
新井 東京女子流の4人だからこそ分かちあえるものがありますし、メンバーが支えてくれるありがたみが、ソロをやっているとひしひしと感じます。それに、みんな応援してくれるんですよね。
──山邊さんが衣装を作るときは、新井さんからデザインの意向を伝えたんですか?
新井 お任せでした。東京女子流で10年間、一緒に活動しているので、言わなくても私が好きなもの理解してくれているんですよね。
──今回の『少女A』の衣装のコンセプトは?
新井 松田聖子さんの可愛らしいイメージと、中森明菜さんのカッコ良いイメージをミックスしたデザインと色使いで、新井ひとみらしさを出しました。
──ウィッグも前回と違いますね。
新井 前回よりも長髪なんですけど、毛先を内側にクルンって巻かないとヤンキーみたいになってしまうんですよ(笑)。そのせいでアクシデントもあって、『少女A』のMV撮影で、前髪にヘアアイロンを当て過ぎて焦がしてしまいました。
>>(2)に続く
(取材・文/猪口貴裕)
▽新井ひとみ(あらい・ひとみ)
4月10日生まれ、宮城県出身。2010年5月5日、東京女子流のメンバーとしてシングル『キラリ☆』でデビュー。2019年11月27日、シングル『デリケートに好きして』でソロデビュー。