HKT48の田島芽瑠が、Web会議アプリのZoomを使って演劇を生配信した劇団ノーミーツの演劇長編作品『門外不出モラトリアム』に出演し、その好演が話題になった。自粛期間中の新しい試みにどんな手応えを感じたのか、また厳しい状況が続く今、現役アイドルとして何を思うのか…。
リモートインタビューで「今の気持ち」をたっぷりと語ってもらった。

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【写真】HKT48田島芽瑠が出演したリモート公演『劇団ノーミーツ』

劇場に行かずに自宅で演劇を観る、という新しい行為。ここ何カ月かでZoomを使っての会議や会話がすっかり「日常」のものとなっていたからか、思っていた以上に物語に没入できたのは見る側にとっても新しい発見。田島芽瑠は「新しいジャンルができた」と語る。

「なにが違うって、すべての人が『一番前の列の真ん中の席』で観られることだと思うんですよ。周囲のお客さんが気になることもないし、自分の部屋のリラックスできる空間で視聴できるのに『一番前の列の真ん中の席』なんですから。あと劇場では当たり前ですけど、ケータイは禁止じゃないですか? でも、リモート演劇なら、そのあたりも自由なんです。マイは裏設定として『インスタグラマー』にしていたんですけど、公演中にインスタを更新するシーンがあると、実際に私のインスタのストーリーが更新されるんです。劇場だったらスマホを出すわけにはいかないけれど、リモート演劇だったら、お客さんもインスタをその場でチェックできる。そういう面白さや可能性はまだまだ広がっていくと思います」(田島)

たしかにスマホで観劇している人もいるリモート演劇だから「スマホ禁止」にはできるはずもない。ちなみに今回の舞台とは関係ないが、最近、田島芽瑠がSNSで公開したコスプレ姿がネットニュースで取り上げられる機会がものすごく増えた。

「アイドルって『明るい未来』をお見せするのが使命だと私は思ってるんです。
でも、いまは歌ったり踊ったりして、笑顔にすることができないので、なんとかお家にいながらでもできることはないかなって。それを最大限にやっているだけなんですけど、最近はそんなに自信がない投稿もネットニュースで大きく取り上げてくださっていて、ちょっとびっくりすることもあります(笑)。

たしかに厳しい状況が続きますけど、今、起きていることって、将来、絶対に教科書に載ると思うんです。『この時期、呼びかけられたのは〇密である』みたいな穴埋め問題もテストに出るんじゃないかなって。そういう時代に生きていて、今回、リモート演劇という新しいジャンルに挑戦させていただいて、これってすごいことだなって思ったんです。誰もやったことのない領域に踏み出した劇団のみなさんの先駆者としての行動力は人を動かす力があるし、だからこそ、本当にたくさんの方々に見ていただけたんだと思います。

ひょっとしたら、もう以前のような日常が戻ってくることはないかもしれない。でも、今、エンタメの力を見せることで、これから変わっていく未来がよりよい方向になっていってくれたらなって。あのとき、こういうことをやってきたから、その部分では自粛前よりも、さらにいい時代になったよね、と振り返れるようなことをどんどんしていきたいですね。悪いことばっかりではなかったよね、と言える日が来ればいいな」(田島)

本来であれば、いまごろはHKT48の新劇場がオープンしていたはずなのだが、現状ではいつになるのかわからない。来年11月には結成から10周年を迎える、というとても大事な時期を迎えているがしばらくは暗中模索と試行錯誤の繰り返しになりそうだ。

「私は今、センターでもないし、グループのためにどうしたらいいんだろう、と考えていたんですけど、今回のリモート演劇のような外での仕事を経験することで、もっとたくさんの方がHKT48に興味を持っていただけたらいいな、と。
だから私はHKT48の入り口に立っているような人になりたいです。私をきっかけでHKT48を知ってもらえたら。そのあとはもう他のメンバーにどんどん興味を持ってもらってもいいので。あと、次回の劇団ノーミーツさんの公演も是非出てみたいです!」(田島)

2020年の田島芽瑠の活動は、新しい時代の「アイドルの在り方」の指針になるかもしれない。そして、それはHKT48の糧となる。こんな時代でも……いや、こんな時代だからこそ、エンターテインメントの底力で世界中に笑顔を!

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