※インタビュー前編「急に主張の強い女になりました」はこちらから
【写真】シャンパンゴールドのドレスを着てスタイル抜群の秋元才加
──今回、レディ・デスことユキ・ミフネ役での出演ですが、役作り的にはどんなことをしたんですか。
秋元 イメージ的に、主役のブランドン・ベケットがクイックに動く“動”のアメリカっぽい動きだとしたら、ユキ・ミフネは日本人としてどっしり構える、侍、武士、忍者みたいなあまり余計な動きはしない“静”の動きで演じようと思いました。特に私のキャラクターって、アメコミ的なキャラクターなのか? リアルな人間なのか? ちょっと曖昧な線引きなんです。『山猫』シリーズに、今まで私みたいなキャラって出たことなくて。
──確かに、レディ・デスはファンタジー寄りですよね。
秋元 そもそも『山猫』シリーズは、国や軍の問題の話だったじゃないですか。そこに急にマーベルみたいなキャラクターが出てくるって、これはどういう風に見えるんだろう?って自分の中で線引きが難しかったんです。今回の『山猫8』のカーレ・アンドリュース監督は、それこそマーベルの漫画家でもあるんですよ。きっとそういうエッセンスを入れて、長寿シリーズに新しい風を吹かせて行こうとしてるんだろうなって感じたんです。挑戦的ですごいなと思いつつ、それと同時に今まで『山猫』を見てきた人はどう思うんだろう?という不安もあって。
──作風が大きく変わるわけですもんね。
秋元 なので役作りとしては、心情とかよりも、動きから作っていきました。“レディ・デス”ユキ・ミフネならあまりぴょこぴょこ動かないな、目線もあまり動かさないな、厳かで鉄みたいな空気感が出る方がいいなとか。画面に収まったときに存在感が軽くならないように、重さというのをすごく意識しましたね。
──変にキャラ化しすぎると、さすがに違うってなりますしね。
秋元 そうです。ポップになりすぎると違和感だし、映画の中で浮くじゃないですか。ただ最初は、自分にとって初めての海外作品で映画の中でひとり全然違うキャラクターだし、しかもアジア人がひとりだけで分からないことがありすぎたんですよ。自分の中で判断材料がなさすぎて、分からないままお芝居をするって感じだったんです。だから、完成した作品を見ると、このときめちゃめちゃ迷ってるな~っていうのが自分では分かるんです(笑)。日本では少しずつ映像のお仕事も増えてきて、自分の思ってるお芝居が具現化できる打率が増えてきたなと思ってたんですけど、いきなりゼロに戻ったみたいな感覚がありました(笑)。
──研究生に戻っちゃったみたいな(笑)。
秋元 そうです(笑)。
──目力を全開で発揮したと。
秋元 これが秋元才加の個性なんだって気持ちでした(笑)。そうした海外の方が見る私の個性というのが、すごく新鮮ではありましたね。例えばですけど、日本での朝ドラのすごく優しい妊婦のお母さん役と『山猫』の写真を1枚ずつ並べたいと思うくらい、振り切っていけたなって(笑)。
──それは演者としての幅が膨らんだってことですね。
秋元 そうです。『山猫』をやったことで、日本でのお芝居の幅も出てきたかなって思います。
──『山猫は眠らない』に出演したことへの、AKB48時代の同期メンバーの反応はいかがでしたか?
秋元 “海外で何の撮影してるの?”って言われて、顔に赤いラインの入ったタンクトップの画像を送ったら“何してるの?”って言われました(笑)。
──(笑)。海外での仕事という部分で、相談とか話をされることもありますか?
秋元 ハイ。海外を視野に入れてるメンバーもいるので。特に(大島)優子とは“こういうオーディションがあったみたいだよ”とか、海外の話をシェアしたりしてるのですが、“才加の個性はこういうところで活きるんだね”とか言ってくれたりすると、私ももっと頑張ろうって思いますね。
──AKB48を卒業された同期のみなさんもいろんな場所で活躍されてますが、お互いの存在が刺激になるのでは?
秋元 それはもちろんあります。優子は優子でドラマや映画で素晴らしい演技してるし、野呂佳代ちゃんはバラエティで活躍してるし、(宮澤)佐江ちゃんも舞台などで頑張ってるし、私は海外や日本で面白いお仕事をやらせてもらってる。ほんと、みんながそれぞれ違う場所で活躍しているのが刺激になります。同期のみんなで集まって、それぞれ違う場所で頑張ってここまで広げてきてるよって仕事の話をする会を定期的にしてるんですよ。
──そんな会があるんですね。
秋元 ハイ。
──なるほど。では、今回『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』に出演して、自分にとって大きなプラスになったことは何だったと思いますか?
秋元 すごく大きな経験だったし学んだ時間でした。先ほどお話しした、自分の意見を持つってこともそうだし、目力も自分の大きな個性なんだって分かったりしたし(笑)。あと、みなさんが思っているほど世界は遠くないんだなってことも思いました。意外と近いし、英語もネイティブな発音じゃなくてもチャンスはあるんだなって。たぶん、向こうの方は日本語訛りを求めているんですよね。なので、“変に上手くなられても困る”ってことも結構言われたんです。
──あえて日本語訛りの発音でいいと。
秋元 そうです。ロシア訛り、ラテン訛りの英語ってあるじゃないですか。それと同じように、日本人が日本語訛りの英語を恥じることはなくて、日本人は日本人の訛りでいいんだって言われてから結構肩の荷が降りたんです。
──母国語訛りというのは、その人のアイデンティティーを印象付けてる場面でもありますからね。人それぞれの個性を反映する、今の時代的なものを感じますね。
秋元 そうですね。そんな海外の体験をしたら、海外の方がたくさんDMをくれるようになったんです。
──海外ファンが増えましたか。
秋元 ハイ、急に増えて“バッドアスだったぜ!”とか感想を送ってくださるんですよ(笑)。そうしたところからも、遠いと思ってた世界は意外に近いんだなと思えたんです。そこから、私ももっと英語を勉強したいと思ったし、いろんな相乗効果が得られたなって思います。
──では最後に、映画『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』を観てくれる人へのメッセージをいただけますか。
秋元 なかなか女性はこういう作品を観る機会がないと思うんですが、今回は私が出てるということで、女性の方にもちょっと興味持っていただけたらうれしいですね。あと、このコロナ禍でみんな鬱々した気持ちになりがちだと思うんです。そういうときに、アクションシーンやガンアクションがあるこの映画がいいと思うんです。特にスナイパーシーンは緊張感があって、演じてても撃ったあとすごくスカッとする爽快感があったんです(笑)。そんな映画ならではの爽快感を、ぜひ味わっていただけたらいいなと思います。そして、ずっと『山猫は眠らない』シリーズを観てきた方にも、今回新しい『山猫』になると思うのでどういう感想を抱いてくれるのかなって興味もありますし。そうした私の初めてのハリウッド作品になる、『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』をぜひ観ていただけたらうれしいです。
▽あきもと・さやか
1988年7月26日生まれ。千葉県出身。2006年2月にAKB48の2期生として加入。13年8月にグループを卒業して以降、女優として映画、ドラマ、舞台に出演する傍ら、テレビ番組のMCを務めるなど幅広く活躍している。
▽『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』
ストーリー:外交官が何者かに暗殺された事件。狙撃兵ブランドン・ベケット(チャド・マイケル・コリンズ)は容疑者として疑われてしまう。CIAと、彼の命を狙う集団から追われる身となったブランドン。逃げまどい向かった先は、狙撃兵を引退した父・トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)が生活する山小屋。ブランドンはトーマスにこれまでの顛末を打ち明けて、事件解決のため協力を求めるが、そこに謎の暗殺者(秋元才加)が現れて……。
公開日:8月14日(金)
出演:チャド・マイケル・コリンズ、秋元才加、トム・ベレンジャーほか
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.sniper8.jp/
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ヘアメイク:中畑 薫 スタイリスト:加藤万紀子