【写真】Kaedeのアーティスト写真
NegiccoのKaedeが結婚を発表した。
お相手は学生時代の同級生の一般男性で、2021年1月に入籍することを、いち早くファンに向けて公表したのだが、この発表により、アイドルの歴史が大きく塗り替えられることとなった。
昨年4月にリーダーのNao☆が結婚、そして、今年6月にはMeguも結婚を発表。つまり、Negiccoはメンバー3人全員がアイドルのまま結婚する、という前代未聞のグループになったのだ!
女性アイドルのファンは、どうしても男性がメイン層となる。
そうなると推しメンの結婚という事実には、心から祝福したい反面、やっぱり複雑な想いだって抱くはず。だから、結婚後もアイドルを続けていく人は非常に少ない(というか、ほとんどがアイドルを辞めてから結婚する)。
このあたりはNegiccoが所属するEHクリエイターズの社長で、メンバーにとって父親的な存在である「熊さん」こと熊倉維仁氏も「アイドルというジャンルは疑似恋愛に似たところがあるから、離れる人は離れちゃうんだろうな、なんて心配してしまいますね」と結婚報告時の公式コメントで触れている。
社長がそんなことを言ってしまうのもすごい話だが、それでもアイドルとしての活動を今後も続けていくのだから、もはやNegiccoはアイドルの概念をぶっ壊しながら前進していく、といっても過言ではない。
Nao☆とMeguの結婚発表時には当サイト、エンタメNEXTで記事<現役アイドルのまま結婚、そして…Negiccoの今を追う「入籍後、初めてのお見送りでファンは…」>、<アイドルのまま結婚を発表したNegicco・Meguが語る「今のキモチと、3年後の夢」>をアップしているので、ぜひとも、そちらも参照していただきたいのだが、メンバーのあいだでは「結婚してもNegiccoを続けていく」ということが共通認識となっており、それはKaedeも変わらない。
ちなみにKaedeは昨年4月から本格的なソロ活動をスタート。ちょうどNao☆の結婚発表とタイミングが重なったので、もし、Nao☆がこのあと一時的に休むことがあっても、こうやってソロ活動を展開していくことで、Negiccoは止まることなく進んでいけるんだな、と安堵したことをおぼえている。
そして、Kaedeがはじめて東京で開催したソロライブでは、ある異変も目撃している。
それは女性客の急増だった。
あらかじめ「女性専用エリア」が設けられていたのだが、そこが鈴なりの女性ファンでいっぱいになっていたのだ。
アイドルのライブで「女性専用エリア」が設けられることは、もはや珍しいことでもないのだが、そんなにお客さんがいなくて、ある意味、快適なスペースになっていることもまた珍しい光景ではない。
そんな現状を知っているだけに、あの日の女性エリアの盛況ぶりは衝撃的だったし、メンバー結婚後の活動という意味でも、ものすごく明るい未来を見たような気がした。
このときには、まさか翌年に全員が結婚を発表することになるとは思ってもいなかったが、近い将来、そうなっていくんだろうな、ということはファンも含めて、みんな、なんとなくはわかっていた。
一番年下でグループ内では妹的ポジションのKaedeだったが、実際のところは一番冷静で落ち着いていた。
メンバーの夢だった日本武道館公演に向けて、スタッフも含めてみんなが熱くなっていたときにも「無理に武道館に到達しても、そのあとが大変だと思う」と、その状況を俯瞰で眺めていたし、いまとなってはその見方はめちゃくちゃ的確だった。
Kaede は、Negiccoとして活動しながら、新潟大学工学部に入学。
これは自分の経験則ではあるが、文系の大学であれば、とりあえず入学さえしてしまえば、あとはそんなに勉学で苦労することはない。しかし、彼女はバリバリの理系である。卒業が近づいてきたころ、ちょうどNegiccoの人気に火がつき、アイドルとしての活動も忙しくなってきた。よく取材現場に「このままでは実験が終わらない……」と不安気な表情でやってくるKaedeの姿を目撃して、本当に大変な両立をこなしているんだな、と感心したものだ。
そういう意味では、Kaedeはふたつの人生をがっつりと経験してことになる。
アイドルとして17年。グループ活動だけでなく、ソロデビューも果たした。
その裏で高校、大学と進学し、今回、結婚を発表……こんなにも濃密で充実した人生、なかなかあるものではない。
新潟は首都圏と比べると新型コロナウイルスの感染状況も緩やかだったので、2020年の夏にはライブなどが開催できるかも、という期待感もうっすらあったのだが、結局、恒例となっている『NEGiFES』や周年公演も有観客でおこなうことはできず、オンライン配信となってしまった。
逆にいえば、こうやって配信でのライブ活動がメインとなってくると、もはや東京を拠点にしているアイドルと、地方在住のローカルアイドルとのあいだにある「差」はあまりなくなってくる。新しい生活様式の中で、全員が既婚者となったNegiccoがアイドルの新たな可能性を見せてくれることに期待したい。
コロナ禍もあって、僕もメンバーとはリモートで取材したことはあっても、ずっと会えていない。次に会うときには全員が「奥様」になっている、と考えると、本当に不思議な感覚しかないのだが、彼女たちを取材しはじめてから10年近く経っても、みんな、なんにも変わらないことを想えば、きっと、これからも変わらないんだろうな、と。それはひと足早く結婚したNao☆がすでに証明してくれているし、ファンもさほど心配していないはずだ。
2年前、15周年を迎えたNegiccoは「20周年には野音でコンサートをしたい」と誓った。そのときは冗談めかして「みんな結婚しているかも」「赤ちゃんが客席で見ているメンバーもいるかも」と話していたが、前者はすでにクリアしているし、後者もそれこそ3人の赤ちゃんが客席で並んでみている、という光景も夢物語ではなくなってきた。
20周年を迎えるのは、2023年7月。
さすがにそのころにはコロナとの長く苦しい闘いもひと息ついていて、野音にたくさんのファンを集めてのコンサートが開催できるようになっていることを信じたいし、実質、その日まで2年半しかないことを思えば、この先のNegiccoの活動には、これまで以上に注視したい、とも思う。
「メンバー全員結婚」のニュースでアイドルの概念を変えたNegiccoは、さらなる未踏の地を3人で歩み続ける。