香りと人間の関係を明らかにする研究を行っている財満信宏氏が、香とはなんなのか、なぜ香りを吸うと心と体が整うのか、気になる症状に効くのはどの香りなのかを徹底解説した書籍『香りをかぐという最強の健康法』(アスコム)から一部を抜粋してご紹介。今回のテーマは『血の巡りは血管の状態に左右される』。

○血の巡りは血管の状態に左右される

香りの存在理由を考えると、β-カリオフィレンという香気成分が血管に働き、身体を整えるという研究結果も、私たちの身体に備わった命の仕組みで説明がつけられることがわかります。

成人の身体の中にある血管を全てつなぎ合わせると、約10万キロメートルの長さになるといわれています。

参考までに、地球一周分の距離は約4万キロメートル。東京都の道路全長が、約2万4700キロメートルになるそうです。

都内の道路の全長よりも、地球一周分よりもはるかに長い血管が、私たちの全身にびっしりと張り巡らされているというわけです。

なんだか不思議な感じがしますね。

道路を車で走っていると、工事や事故が起きたりして、渋滞に巻き込まれることがよくあります。

その4倍もの長さになる血管ではなおさらのこと、必ずどこかで問題が起きていて、血液の渋滞が発生しています。

その問題の一つが、動脈硬化です。

名は体を表すとよくいいますが、動脈硬化というのは、その名の通り、動脈が硬くなってしまうこと。

簡単にいうと、余分なコレステロールが血管の壁にひっつくことにより、かさぶたのようなコブができてしまっている状態です。

コブができれば血管が狭くなり、血液がうまく流れなくなってしまう。
これによって、様々な病気を引き起こしてしまうのが、動脈硬化という症状です。

血管は様々な理由で硬くなってしまうリスクを持ち合わせています。

その代表的な原因が、加齢です。

年を取ると身体が硬くなっていくように、血管もまた、細胞が衰えていくことによって、しなやかさが失われていきます。

これは動脈に限らず、身体を駆け巡るあらゆる血管で、加齢とともに血管の柔軟性が失われていってしまうのです。

このとき重要なポイントになるのが、血管にある弾性線維。

弾性線維は、伸びたり縮んだりすることで血圧を調整し、血流を全身に行き渡らせる重要な役割を担っています。

心身の状態で刻一刻と変わる血液量を、必要な分だけ各器官に届けるサポートをしているのです。

一方で、弾性線維は、加齢や偏った食生活、ホルモンバランスの変化、喫煙などによって形が変わってしまうと、血流を全身に行き渡らせる働きが低下することがわかっています。

それを食い止める救世主こそ、β-カリオフィレン。定期的に摂取して、血管をしなやかに保つのが重要なのは、こうした理由によるものなのです。

 

○『香りをかぐという最強の健康法』(財満信宏/アスコム)

本書『香りをかぐという最強の健康法』は、「香り」が人体に及ぼす驚くべき作用を、最先端の科学的知見から解き明かした一冊。
クローブや黒胡椒に含まれる香り成分「β‐カリオフィレン(BCP)」の吸入によって血管を保護する効果を発見し、国際誌『Biomedicine & Pharmacotherapy』にも掲載された著者が、その研究成果をわかりやすく解説している。本書では、症状別に有効とされる香りや、日常生活に無理なく取り入れる方法まで具体的に紹介。運動や食事と違い、「手軽で続けやすい健康習慣」としての“香り”の可能性を提示している。
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