今シーズンのガンバ大阪は何かが違う。第9節時点勝ち点19で川崎フロンターレについで堂々の2位。

過去2、3シーズンでは考えられないような立ち上がりにファンも興奮冷めやらないことだろう。

昨シーズン第9節時点で勝ち点7だったことからも確実にチームのパフォーマンスが向上していることは明白だ。もちろん今シーズンを挑むにあたり、様々な側面において昨シーズンとは異なる変化点をもたらしていると考える。ここからは今シーズンのガンバが昨シーズンと比較してどう変化したのかをご紹介したい。

2020シーズンのガンバ大阪が躍進している4つの理由

1. 抜本的な戦術変更

レヴィー・クルピ監督の不振に代わり宮本恒靖監督がガンバを率いて早2年。就任から昨シーズンまで一貫していたことは、リトリート型の守備とカウンターと言えるだろう。3バックと両ウイングバックの5人で最終ラインを形成して守り、奪ったボールをアデミウソンやファン・ウィジョの2トップに預けてカウンターを狙う戦術が印象的だった。

しかし、今はかつてのやり方とは異なる新たなスタイルを浸透させた。変化点は「ボールを奪おうとする位置」だ。自陣深いエリアからより相手ゴールに近いエリアへ奪いどころを高く設定していると分析する。前線からも高い位置からプレッシャーを与えて相手を混乱させ、高めで奪ってショートカウンターするなど新たな戦い方で挑んでいる。開幕節の横浜Fマリノス戦や大分トリニータ戦では前線のプレッシャーによってゴールに結び付け勝利を収めるなど効果が発揮されている。

2020シーズンのガンバ大阪が躍進している4つの理由

2. 新戦力の順応

昨シーズンのガンバは最も選手の出入りの激しかったクラブだったが、シーズン半ばの構造改革が今シーズン実を結んでいる。特にかつてガンバで偉大な功績を挙げたプレイヤーたちが再び輝きを取り戻した印象だ。

パトリックは前線で攻撃起点となるプレーでゴールに迫ることができる。第9節の横浜FC戦ではラストプレーで貴重な決勝ゴールを決めた。さらに宇佐美貴史の活躍ぶりは昨シーズン以上で、FWでの起用ながらも状況を見ながら中盤の位置に降りる動きもあり、ガンバの攻撃にしなやかさを与えている。井手口陽介も欠かせない。ルーズボールへの対応が非常に早く持ち味のハードワークと掛け合わせて、相手の攻撃の起点を潰すことができている。第9節終了時点の彼のタックル数28回はリーグ最多となる。

最後に今シーズンから加入した小野裕二の献身的も決して見逃してはならない。中盤での起用で積極的な攻撃参加と守備対応は今のガンバに欠けてはならない役割であると考える。また彼の気持ちを全面に出したプレーは今のガンバにはなかった要素であり、チームもそれに鼓舞されているはずだ。

2020シーズンのガンバ大阪が躍進している4つの理由

3. 3バックのアップグレード

昨シーズンから徐々に頭角を現したガンバの3バック。そのクオリティが今シーズンは格段に上昇している。昨シーズン高尾瑠、三浦弦太、キム・ヨングォンから形成された3バックには高尾の裏を相手チームに狙われ、失点につながるシーンが散見されたが、攻撃志向の高い高尾の守備対応も一定水準に達し今シーズンは安定感がもたらされている。

さらに、今シーズン加入した昌子源が戦列に名を連ねたことから、昨シーズン以上に守備に関して飛躍的な向上が見込めるだろう。

もし高尾の右ウイングバック起用が叶えば、小野瀬康介をより攻撃に集中させることができるメリットが生まれる。

2020シーズンのガンバ大阪が躍進している4つの理由

4. おもしろいほど当たるシュートブロック

組織的な守備が完成形に近づいているもう1つの理由として、シュートブロックの精度が高まっていることも挙げられる。今シーズン、何度も攻め込まれるシーンがあっても、三浦弦太とキム・ヨングォンのシュートブロックによってピンチを回避でき、仮にブロックを破ったとしても、限られた狭いコースから放たれたシュートは守護神東口順昭の前に簡単に阻まれてしまう。

プレミアリーグの一角であるバーンリーのベン・ミー、ジェームズ・ターコウスキー、そしてニック・ポープの関係性を彷彿させる。クリーンシートこそ少ないが第9節終了時点でわずか9失点(リーグ5番目の少なさ)。前年同時期は19失点だったことを考えても胸を張れる結果だ。

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