10月12日、明治安田生命J1リーグ第25節、第27節の延期分5試合が行われた。それをもってJ1の全18チームは、清水エスパルスとジュビロ磐田を除き、2022シーズン全34試合中32試合消化で並んでいる。
優勝争い、残留争いともに熾烈を極めるなか、特筆すべき例年との違いが1つある。得点ランキングトップの得点数が少ないのだ。2022シーズンのJ1得点ランキングの特徴と、J1得点王に最も近い選手、また歴代J1得点王の得点数を比較してみよう。

2022シーズン得点ランキングの特徴
2022シーズン現時点でのJ1得点ランキングトップは、12得点のチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)である。現時点17位で残留を争う清水において、攻撃陣を引っ張る万能型ストライカーだ。
2位タイは、11得点の家長昭博(川崎フロンターレ)とレオ・セアラ(横浜F・マリノス)。元日本代表で技術に優れた家長は、36歳にして自己最多得点数に並んでいる。レオ・セアラは負傷離脱した期間もあり、得点ランキング上位選手のなかで出場時間は最も少ない1295分にとどまるが、攻守両面に貢献しながら効率的に得点を重ねている。
4位タイは、10得点のアダイウトン(FC東京)、マルシーニョ(川崎フロンターレ)、町野修斗(湘南ベルマーレ)、そして夏の移籍市場でサークル・ブルッヘ(ベルギー)へと移籍した上田綺世。
得点王に輝く可能性が高いのは、上田を除いた以上の6人となる。僅差の得点王争いとなっているが、全体として過去の得点王と比べてかなり得点数が少ないのが実情だ。歴代のJ1得点王は多くの場合20得点以上を挙げており、20得点を下回ったのは過去29年のうち5回のみ。

J1得点王に最も近いのは
単純な数字面で、2022シーズン最もJ1得点王に近いのは清水のcだろう。現在トップであることに加え、得点ランキング上位者のなかで唯一3試合を残している。第30節のアビスパ福岡戦でも得点を挙げるなど、ペースも安定している。
2位タイである川崎の家長も、第31節の北海道コンサドーレ札幌戦で得点を挙げており、またチームが優勝を争うなかここからも多くの得点を奪う可能性がある。一方、家長と同位ながら、横浜FMレオ・セアラはやや厳しいか。直近10試合で1得点、かつ途中出場が多くなっているためだ。直近の試合で得点を挙げている川崎のマルシーニョ、湘南の町野もコンディションは良さそうだ。

J1歴代得点王の得点数
では改めて、1998年から2021年までの歴代のJ1得点王の試合数と得点数を見てみよう。
- 2021年:レアンドロ・ダミアン(川崎F)35試合23得点、前田大然(横浜FM)36試合23得点
- 2020年:オルンガ(柏)32試合28得点
- 2019年:仲川輝人(横浜FM)33試合15得点
- 2018年:ジョー(名古屋)33試合24得点
- 2017年:小林悠(川崎F)34試合23得点
- 2016年:レアンドロ(神戸)31試合19得点、ピーター・ウタカ(広島)33試合19得点
- 2015年:大久保嘉人(川崎F)32試合23得点
- 2014年:大久保嘉人(川崎F)32試合18得点
- 2013年:大久保嘉人(川崎F)33試合26得点
- 2012年:佐藤寿人(広島)34試合22得点
- 2011年:ケネディ(名古屋)31試合19得点
- 2010年:前田遼一(磐田)33試合17得点、ケネディ(名古屋)31試合17得点
- 2009年:前田遼一(磐田)34試合20得点
- 2008年:マルキーニョス(鹿島)30試合21得点
- 2007年:ジュニーニョ(川崎F)31試合22得点
- 2006年:ワシントン(浦和)26試合26得点、マグノ・アウベス(G大阪)31試合26得点
- 2005年:アラウージョ(G大阪)33試合33得点
- 2004年:エメルソン(浦和)26試合27得点
- 2003年:ウェズレイ(名古屋)27試合22得点
- 2002年:高原直泰(磐田)27試合26得点
- 2001年:ウィル(札幌)26試合24得点
- 2000年:中山雅史(磐田)29試合20得点
- 1999年:黄善洪(C大阪)25試合24得点
- 1998年:中山雅史(磐田)27試合36得点
- 1997年:エムボマ(G大阪)28試合25得点
- 1996年:三浦知良(V川崎)27試合23得点
- 1995年:福田正博(浦和)50試合32得点
- 1994年:オッツェ(市原)40試合30得点
- 1993年:ディアス(横浜M)32試合28得点
比較してやはり、2022シーズンの得点ランキング上位者の得点数は少ない。要因としては、トップを走っていた上田綺世が移籍したこと、またJリーグ創成期を比べ格段に組織的な守備がリーグ全体に浸透したことが挙げられる。とはいえ、現時点のトップ12得点は、やや寂しさを覚える数字だろう。残りわずかな試合数でどこまで伸ばすことができるのか、またこの少なさは今季だけの偶発的なものなのか、今後も注目は尽きない。