開幕から例年にも増して熱戦が繰り広げられている2023明治安田生命J2リーグ。2024年度からJ1、J2、J3ともに各20クラブで統一されることが発表され、それに伴い今シーズンは臨時的に、J2からJ1に昇格できるクラブは通例より1枠多い3クラブとなっている(上位2クラブ+昇格プレーオフ優勝1クラブ)。

冬に積極的な補強を行った町田ゼルビアが、好調なスタートを切って現在首位。一方、前評判の高かった清水エスパルスや、同じくJ1経験のある徳島ヴォルティス、ジェフユナイテッド市原・千葉といったクラブが苦しい序盤戦を過ごしている。

そんなJ2において、多くのクラブで共通して言えるのが「新加入選手の活躍が目立つ」ということだ。ここでは、2023シーズンから完全移籍でJ2クラブに加わった選手のうち、特に活躍が目立つ5名の選手をランキング形式で紹介していく。

J2の舞台で目立つ新加入選手トップ5【J2リーグ2023】

第5位:MF郷家友太(ベガルタ仙台

2018年からの5シーズン、J1でも屈指のタレント軍団であるヴィッセル神戸に所属し揉まれ続けてきたMF郷家友太。今2023シーズンは地元である宮城県のベガルタ仙台に活躍の場を移し、J2第14節終了時点でリーグ戦13試合に出場し4ゴールを挙げている。出場機会が限られ、プロになり初めて無得点のまま終わった昨シーズンの鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりだ。

本来、中盤よりも前のポジションはどこでもこなせる器用さが売りの郷家。神戸時代も両サイドや最前線、ボランチでの起用もあり、いずれのポジションでも高いパフォーマンスを発揮してきた。仙台ではトップ下や右サイドの位置に入ることが多く、J1で複数ポジションを経験した成果もあってか気の利いたポジショニングでボール回しに加わり、自身の得点につなげるシーンも作っている。また、結果的に出場は叶わなかったものの、東京五輪の候補としても名前が挙がっていた。地元仙台で、是非ともそのポテンシャルの高さを見せつけて欲しい。

J2の舞台で目立つ新加入選手トップ5【J2リーグ2023】

第4位:FWピーター・ウタカ(ヴァンフォーレ甲府

4シーズンぶりにヴァンフォーレ甲府へ復帰したFWピーター・ウタカ。39歳の大ベテランとも言える年齢に達しているが、2023シーズン開幕からJ2第14節終了のここまで全試合にスタメン出場。

5ゴール3アシストと早くもチームにフィットし、起用にしっかりと数字で応えている。甲府は昨シーズン、天皇杯( JFA全日本サッカー選手権大会)制覇という偉業を成し遂げたが、リーグ戦では18位と大苦戦。一昨年は3位に入り「今度こそJ1復帰!」と意気込んだだけに、今季に掛ける思いは一層強いものだろう。

そんな中、エリア内ではJ1で見せた姿と変わらぬ怖さを出し続け、エリア外でも身体の強さを生かしたポストプレーなど攻撃作りの部分でも貢献しているウタカ。昨年はチームから2桁得点者が出ず、リーグ全体でも得点数が下位に沈んだ甲府において、明確な得点源として、またプレーエリアを前に設定する起点として、ウタカへの開幕前からの期待が大きかったことは当然と言える。ここまでの14試合、その大きな期待には間違いなく応えているだけに、残りのシーズンどこまで自身の得点数を伸ばせるか。そして久し振りに甲府をJ1の舞台へと導くことができるのか。その活躍から目が離せない。

J2の舞台で目立つ新加入選手トップ5【J2リーグ2023】

第3位:FWエリキ(町田ゼルビア)

2023シーズン、3年ぶりにJリーグに帰ってきたFWエリキ。冬に大型補強を敢行し、監督やコーチなどのスタッフ陣も一新した町田ゼルビアで、早くも主力としてチームに順応し活躍している。エリキと言えば、横浜F・マリノス時代にJ1でシーズン2桁ゴールもマークしており、その得点能力の高さに注目されがちだ。しかし、今季の町田では攻撃面だけでなく、前からのスピード感あふれるプレスも数多く見られ、守備での貢献度も高い。現時点で首位を走る町田の原動力となっているのは間違いない。

開幕から7試合は失点わずか「1」で走っていた町田。最近は失点する試合も増え、勝ち星を挙げているものの新体制のチームはここにきてJ2の洗礼を受けていると言えよう。だが、攻撃陣は変わらず好調で、ここまでの14試合で得点できなかったのはわずか3試合のみ。エリキは全試合にスタメン出場、うち4試合で得点を記録しており、町田の攻撃を牽引する存在となっているのは明確だ。J1でも多くの得点を挙げてきたことが他クラブの脅威であることもまた事実。まだまだ長いリーグ戦で、町田を好調のまま引っ張っていくことができるのか。引き続き目が離せない選手だ。

J2の舞台で目立つ新加入選手トップ5【J2リーグ2023】

第2位:FW石川大地(ロアッソ熊本

昨2022シーズンはJ3からJ2へ復帰を果たし、いきなり4位へと躍進してリーグを盛り上げたロアッソ熊本。しかし、好成績を上げたこともあってか多くの主力選手が他クラブへ流出。戦力ダウンが心配される中迎えた2023シーズンだが、J2第14節終了時点では5勝5分4敗と大きな崩れなく中位につけている。そんな熊本の新たな点取り屋として頭角を現しているのが、J3ガイナーレ鳥取から新加入したFW石川大地だ。

石川は昨シーズン15ゴールを挙げ、鳥取の攻撃を牽引。J3全体でも得点ランキング3位に入るなど注目を集めていた。

FC岐阜(当時J2)に所属していた2018、2019シーズン以来久々のJ2参戦となったが、ここまでに早くも6ゴールをマーク。戦力流出による熊本の攻撃力低下を食い止めることに一役買っている。昨季はJ1昇格プレーオフに惜しくも敗れ、期待されたJ1への初昇格を逃した熊本。前評判を覆し、今季再び昇格争いに加わるためにも、石川には「得点」という目に見える結果がさらに求められることだろう。

J2の舞台で目立つ新加入選手トップ5【J2リーグ2023】

第1位:FWフアンマ・デルガド(V・ファーレン長崎

2017年にV・ファーレン長崎でJリーグデビューしたFWフアンマ・デルガド。大宮アルディージャアビスパ福岡を経て2023シーズン5年ぶりに長崎に帰ってきた。開幕からここまで13試合にスタメン出場しチームの中核として存在感を発揮している。直近J1での2シーズンは、出場機会こそ得ていたが得点は満足に奪えていなかったが、今季は早くも第6節モンテディオ山形戦でのハットトリックを含む8ゴールをマーク。J1、J2というカテゴリーの違いはあれど、すでに昨季のゴール数を超えている。

J2では、長崎に所属していた2017年と大宮アルディージャ所属の2019年に2桁ゴールを記録しており、残りのシーズンもさらに得点を重ねてくれることは十分に期待できる。MF増山朝陽やMF澤田崇といった、以前も同じチームでプレーしていた選手がバックについているのも好材料。まだまだ長いリーグ戦で、フアンマがどこまで得点を重ねられるのか。

長崎がJ1復帰を果たすためにも、帰ってきたエースの活躍が必要不可欠だ。

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