日本サッカー協会(JFA)は10月3日、FIFAワールドカップ26(北中米W杯)アジア最終予選に臨むメンバー27名を発表した。JリーグからはGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)らお馴染みの選手が選出される中、前回と同様にDF望月ヘンリー海輝(町田ゼルビア)とDF高井幸大(川崎フロンターレ)も選出された。
残念ながら高井は負傷により不参加となったが、代わりにDF関根大輝(柏レイソル)が初招集となり、パリ五輪に出場した選手たちも徐々にA代表へとステップアップを果たしている。

昨今の代表メンバー選出にあたっては、その大半を海外で活躍する選手たちが占める。もちろん、個々に所属クラブでの活躍あっての招集だが、Jリーグファンにとっては国内組が代表でどんな活躍ができるのか見てみたいと思うこともまた必然と言えよう。ここでは、10月シリーズで選外となった国内組から、代表でも活躍が期待できる選手23名をポジション別に紹介していく(※代表発表ではMFとFWは1つとして扱われているが、ここでは分けて紹介)。

【日本代表】10月シリーズで選外となった国内組から選ぶ、今後招集に期待の23名

GK(ゴールキーパー)

今回も国内組からは大迫敬介と谷晃生(町田ゼルビア)が選出されたGK。Jリーグで優勝争いを繰り広げるクラブの正守護神なだけに、誰もが納得する招集と言えよう。また、彼らの次点で名の挙がる選手としては同じく優勝争い中のヴィッセル神戸の守護神であり、森保ジャパンでも招集歴のある前川黛也もいる。しかし、その他の国内組にも十分に代表に値する選手は多い。

その中でも筆頭候補と言えるのは、AFCアジアカップ2023でも招集されたパリ世代の野澤大志ブランドンだ。パリ五輪本大会では、現在ベルギーリーグのシント=トロイデンVVで活躍する小久保玲央ブライアンに正守護神の座を譲ったが、今季のリーグ戦では特に後半戦に入り好セーブを連発。チームのピンチを幾度となく救っている。

一方、これまで未招集の選手からは早川友基と一森純を挙げたい。両者ともにJリーグ上位勢のクラブで正守護神を務める選手だ。
早川は足元の技術にも優れ、高精度のフィードやパントキックからのチャンスメイクも可能。一森は今季相手の決定機で高いセービング力を発揮し続けており、リーグトップタイとなる失点の少なさを誇るG大阪で最後の壁として君臨している。

【日本代表】10月シリーズで選外となった国内組から選ぶ、今後招集に期待の23名

DF(ディフェンダー)

  • 中野就斗(サンフレッチェ広島)
  • 荒木隼人(サンフレッチェ広島)
  • 関川郁万(鹿島アントラーズ)
  • 中谷進之介(ガンバ大阪)
  • 初瀬亮(ヴィッセル神戸)
  • 大畑歩夢(浦和レッズ
  • 畑大雅(湘南ベルマーレ
  • 福田心之助(京都サンガ)
9月シリーズに引き続き、望月ヘンリー海輝と高井幸大が選出され、怪我で不参加となった高井に代わって招集されたのも関根大輝と国内組にも多くチャンスが回ってきている守備陣。それだけに、今後もJリーグ各クラブで活躍する選手の招集に期待が膨らむ。

その中でも、特にA代表に近い存在と言えるのが中野就斗だ。今季はここまで33試合すべてに出場しており、チーム内で最も多くスタメン出場を果たしていることからも存在の重要性がうかがえる。守備だけでなく機を見た攻撃参加も魅力で、多くのチャンスを生み出していることも代表で早く見てみたいと思える要素だ。また、過去に招集歴のある選手では荒木隼人と中谷進之介を挙げたい。ともに上位クラブを支える守備の要であり、特に対人のスキルや空中戦で存在感を見せている。同じく強さという面では関川郁万も十分代表に値すると言えよう。屈強なフィジカルで日本代表経験もある植田直通と2人で鹿島の守備を支え、縦パスやフィードでチャンスを作れる点も魅力だ。

サイドバックでは、パリ世代から畑大雅と大畑歩夢の2名を推したい。畑は残念ながら五輪出場は叶わなかったが、クラブでは負傷離脱した時期を除き主力として活躍。
縦への突破や繊細なパスやシュートで攻撃を活性化させている。一方で五輪出場を果たした大畑は、小柄ながらも対人に強く豊富な運動量でチームへの貢献度も高い。運動量という面では、大卒2年目の福田心之助も将来が楽しみな選手。ゲーム終盤でも惜しみない上下動で攻守に存在感を示し、精度の高いクロスや強烈なミドルシュートで相手ゴールを脅かす働きが魅力だ。もう1人、昨年の神戸優勝における立役者の1人でもある初瀬亮も挙げたい。質の高いキックはクロスやセットプレーの場面で大いにその真価を発揮しており、今季もここまで7つのアシストでチームの武器となっている。また、残念ながら今月頭に負傷が発表された鹿島アントラーズの大卒ルーキー濃野公人も今後代表に名を連ねてほしい選手の1人であることを言い添えておきたい。

【日本代表】10月シリーズで選外となった国内組から選ぶ、今後招集に期待の23名

MF(ミッドフィルダー)

  • 川辺駿(サンフレッチェ広島)
  • 河原創(川崎フロンターレ)
  • 秋山裕紀(アルビレックス新潟
  • 脇坂泰斗(川崎フロンターレ)
  • 東俊希(サンフレッチェ広島)
  • 佐々木大樹(ヴィッセル神戸)
  • 名古新太郎(鹿島アントラーズ)
  • 山田楓喜(東京ヴェルディ
  • 荒木遼太郎(FC東京)
現在A代表の中盤は、欧州の各クラブで主力を務める選手がずらりと並ぶ。そのため、国内組の付け入る隙は皆無と言っても過言ではない。それでも、ゆくゆくは海外移籍も十分視野に入るであろう選手は数多くいる。その上で、今季のJリーグで活躍する選手から候補として主に9名を挙げたい。

中盤下がり目の位置では、今夏海外から広島へと帰還した川辺駿が筆頭だろう。Jリーグ復帰後はチームの好調も相まって出場したゲームは負けなし。
前線からのプレスや中盤のボール回しで抜群の安定感をもたらしている。同じく中盤の底で言えば、河原創と秋山裕紀が挙げられる。河原は今夏サガン鳥栖から川崎へと移籍。パスの技術もさることながら、ピッチ上に何人も居るかと思わせるほどの豊富な運動量で移籍後も即主力となっている。秋山はアルビレックス新潟においてボールの循環を司るまさにチームの心臓。ゴールやアシストといった表立った数字では目立たないものの、ビルドアップに安定をもたらしチャンスも数多く演出している。また、中盤の万能タイプ脇坂泰斗も当然候補に入る。確かなパス技術で局面を打開でき、強力なミドルシュートや丁寧なラストパスなどゴール付近で決定的な仕事も可能。チームに1人いてほしいと思わせるほど、今季も高い能力を誇っている。

攻撃的なポジションでは、まず現在首位に立つ広島から東俊希を推したい。正確無比な左足でセットプレーやクロスからチャンスを作り、現在チーム内でトップのアシスト数を挙げチームの好調要因の1つとなっている。同じくキックの精度で言えば、パリ世代から山田楓喜の存在も忘れてはならない。
今季は開幕戦から美しいフリーキックでゴールをもたらし、その後も現時点で直接フリーキックから計3ゴールをマーク。5月のU-23アジアカップ決勝でもゴールを決めるなど、日本の優勝に大きく貢献しており大舞台に強い面も魅力だ。

得点力の高い選手では、佐々木大樹、名古新太郎、荒木遼太郎の3選手を挙げたい。佐々木はFW大迫勇也やFW武藤嘉紀といった代表経験者の働きに目が行くチームにあって、自身も今季5ゴールをマーク。自己最多となるゴール数を挙げた昨年に迫る勢いを見せている。名古も同じく今季は5ゴールをマークしており、現時点で自己最多を更新中。さらにアシストでは現在9つを挙げてリーグ2位となっており、前線で大きな存在感を放っている。荒木は10ゴールを挙げる活躍を見せた2021シーズン以降、負傷の影響もあってかなかなかゲームに絡めないシーズンが続いた。しかし、今季期限付き移籍したFC東京では開幕戦から2ゴールをマーク。水を得た魚のように活躍を続けパリ五輪へも出場を果たした。まだまだ伸び盛りの年齢も含め、今後もA代表に絡む活躍に期待したい。

【日本代表】10月シリーズで選外となった国内組から選ぶ、今後招集に期待の23名

FW(フォワード)

  • 宮代大聖(ヴィッセル神戸)
  • 山田新(川崎フロンターレ)
  • 原大智(京都サンガ)
最前線では、前回も招集された上田綺世(フェイエノールト)と小川航基(NECナイメヘン)に加え、今夏広島から海外移籍を果たした大橋祐紀(ブラックバーン・ローバーズ)が初選出された。
より得点力アップが期待されるメンバーとなっているが、国内にも高い得点力や前線でのチャンスメイクに長けた選手は多くいる。

まずは今季よりリーグ連覇を狙う神戸へ移籍し、現時点で9ゴールを挙げている宮代大聖。途中怪我での離脱があった上でこの数字をマークしており、万全の状態が続いていたならすでにチームトップスコアラーとなっていても不思議はなかった。また、2021シーズン以降は毎年所属チームが変わった中でも多くのゴールを奪っていることから、順応性の高さも証明している。次に現在日本人選手の中でリーグトップタイとなる15ゴールをマークしている山田新も代表で見てみたい選手の1人だ。前半戦は連勝もなく勝ち点の伸び悩んだ川崎だが、後半戦に入り山田がスタメンでの出場機会を増やすと3連勝などで復調の兆しが見えた。山田自身も第20節以降に怒涛の勢いでゴールを重ね、後半戦だけで既に10ゴールを挙げている。まだ24歳という将来性も含め、招集に期待のかかる選手だ。

最後に下位に沈む京都を支える原大智も十分候補になり得る。長身を活かした安定感のあるポストプレーはもちろん、高いシュート技術や背後への抜け出しなど武器は多彩。周囲を活かしつつ自身も活きるプレーができることは、前線に強力なアタッカーの多い今の代表との親和性も高いに違いない。
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