カリフォルニアが世界に誇るグッドウェーブ、マリブが開発と汚染により消失の危機にさらされていた時代、愛する波を守ろうとサーファーのグループが立ち上がり組織化されたのが国際環境NGO「サーフライダーファウンデーション」だ。
ここでいう“環境NGO”とは環境問題の解決に取り組む民間非営利の組織・団体のこと。
同活動を日本で展開する「サーフライダーファウンデーションジャパン(SFJ)」代表の中川淳さんによれば、「海を守る行動はサーファーの使命」だという。そして近年は“海を大切にしよう”という機運の高まりを感じるとも。
海やビーチを公共財と捉える動きはカリフォルニアほど多くはないが、海で過ごす時間を心地良く思ったり、ビーチをきれいにしたい気持ちからか、ごみを拾って帰る人が増えてきたというのだ。

「先日も海岸行政に関する意見を求められ衆議院議員会館を訪れました。国会議員がサーファーの声に耳を傾けるようになったのだなと、時代の変化を感じます」。
海はみんなのもの。だから利用方法の決定に際してステークホルダーは多岐にわたり、地域住民にとっての安全な暮らし、漁師にとっての良質な漁場、サーファーにとっての波というように、それぞれに優先したい利益がある。

もし、波を失いたくないなら、素晴らしきビーチ環境を整備したいなら。積極的にはそう思っていない人たちの理解を得ることが重要だ。
「だから対話が必要なんです」と中川さん。「東京オリンピックでのメダル獲得もあり、多くの人にサーファーの声が届く時代になったのだと感じています」。

「サーフライダーファウンデーションジャパン」
【設立年】1993年
【設立国】日本(母体はアメリカ)
【理念】日本の海岸環境の保護
草間智博(TENT)=写真 小山内 隆、増山直樹=文
