15日の米株式市場でNYダウは続伸し、305ドル高となった。初めて34000ドル台に乗せ、S&P500指数も過去最高値を更新。予想を上回る企業決算や3月小売売上高の大幅な伸び、週間の新規失業保険申請件数の減少が好感された。一方で長期金利が低下したことからハイテク株も買われ、ナスダック総合指数は1.3%の上昇。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで146円高からスタートした。ただ、国内での新型コロナウイルス感染拡大への懸念などから寄り付きを高値に失速すると、度々マイナスに転じる場面もあり、前日までと同様に上値の重い展開となった。
個別では、エムスリーが2%超上昇しているほか、レーザーテック、任天堂、ファーストリテ、東エレクなどがまずまずしっかり。中小型株では紀文食品やベイカレントが連日で賑わいを見せている。一部メディアで複数の買い手候補が関心を示していると報じられたスクエニHDは商いを伴って14%近い大幅上昇。また、決算が好感された日置電はストップ高水準で前場を折り返している。一方、英ファンドの買取提案に反対する方向と伝わった東芝は5%超の下落。郵船も下げが目立ち、ソフトバンクG、ソニーG、トヨタ自などは小安い。
セクターでは、鉱業、精密機器、不動産業などが上昇率上位。一方、海運業、鉄鋼、非鉄金属などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の43%、対して値下がり銘柄は51%となっている。
前日の米市場では良好な経済指標や企業決算が相次ぎ、NYダウやS&P500指数が最高値を更新。日経平均はこうした流れから3ケタの上昇でスタートしたものの、かねてからの当欄の見立てどおり上値の重さが払しょくできずにいる。
高値更新中の米国株に対し、日本株の伸び悩みは鮮明だ。新型コロナワクチンの普及遅れや感染再拡大などが要因として挙げられるが、そもそも先の経済協力開発機構(OECD)による経済見通し修正を考慮すれば、日本株のアンダーパフォームは予想できただろう。以前述べたとおり、大型経済対策やワクチン普及を追い風に米経済の改善幅は大きく、他の地域を圧倒している。
その米国では3月小売売上高が前月比9.8%増と市場予想(6%程度の増加)を大幅に上回ったが、その持続性を疑問視する声もある。内訳としては経済活動の再開に伴ってバーやレストラン、スポーツ用品、衣服・アクセサリーなどの伸びが大きい。一方、自動車や建材、給油、食品を除いたコア小売売上高は同6.9%増となり、2月の3.4%減からプラス転換したものの予想(7%程度の増加)には届かなかった。
株式需給的にも、一段の買い戻し余地が減っている可能性があるのは前日までに解説したとおり。また、日本取引所グループが15日発表した4月第1週(5~9日)の投資主体別売買動向も見ておきたい。現物株・株価指数先物の合計で外国人投資家は6770億円の買い越し、一方で信託銀行が4194億円の売り越しとなった。
ただ、高齢化の進展と年金受給者の増加でリスク資産の比率を高めるのにも限度はあるだろう。それに、やはり昨年の株価急落時に見られた「リバランス(資産配分の調整)買い」は強烈だった感があり、多少の保有比率引き上げで昨年のような規模の買いが期待できるとは考えづらい。
さて、目先は今晩の米国で開催される日米首脳会談の内容を見極めたいところだろう。
(小林大純)