今週の新興市場では、マザーズ指数の下落が続いた。週末の1月14日には終値ベースで2020年5月15日以来の安値を付けている。
週半ばにかけて米長期金利が伸び悩み、グロース(成長)株の反発に伴いマザーズ指数も800pt台後半で下げ渋る場面があった。しかし、週後半になると米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの警戒感から再びグロース株が売られ、マザーズ指数は一段安の展開となった。時価総額上位の主力IT株の下落が大きく、マザーズ指数を下押しした。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.2%であったのに対して、マザーズ指数は-4.3%、日経ジャスダック平均は-1.0%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で9.4%安、ビジョナルが同10.8%安、フリーが同13.0%安と軒並み大きく下落。売買代金上位ではFRONTEOが売りに押され、好需給で賑わっていた11~12月上場のエフ・コードやサイエンスアーツはきつい下げとなった。
また、やはり12月上場のアジアクエストが週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、Green Earth Instituteやアスタリスクは押し目買いが入り大幅に上昇。アーキテクツ・スタジオ・ジャパンなどが上昇率上位に顔を出した。ジャスダック主力では日本マクドナルドHDが同2.8%安、ワークマンが同5.6%安、東映アニメーションが同9.2%安と軟調。売買代金上位ではフェローテックHDや出前館が売り優勢だった。また、ウエストHDは決算が嫌気され、週間のジャスダック下落率トップとなった。
一方、ハーモニック・ドライブ・システムズは同6.6%高と堅調。シーズメンなどは大幅高となり、RIZAPグループによるスクイーズアウト(株式の強制買い取り)を発表したREXTは上昇率トップとなった。

来週の新興市場では、新興IT株中心のマザーズにとって厳しい環境が続きそうだ。今週末の米国市場ではハイテク株に押し目買いが入る一方、金利は幅広い年限で上昇した。FRBがインフレ抑制のため金融引き締めへ傾く姿勢を鮮明にしているだけに、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の上昇は続くとみられる。これは新興IT株のような高バリュエーション銘柄の割高感を強めるだけでなく、信用買い残の多いマザーズ銘柄ではレバレッジ縮小によるマイナス影響も大きいだろう。


市場環境こそ厳しいが業績好調な新興企業は少なくなく、今週末発表された決算でもEnjinやグッドパッチが好感されているようだ。しかし、決算に対する新興株の反応を見ると、高バリュエーションが許容されるためのハードルは非常に高い印象を受ける。今月下旬からの10-12月期決算発表でも注意する必要がありそうだ。また、12月上場のHYUGA PRIMARY CAREは早々に一部証券会社の投資判断付与が観測されている。

IPO関連では、Recovery Internationalを皮切りに2月上旬の上場案件が順次ブックビルディング(BB)期間に入る。件数こそ多くないが、新興株への逆風が強まっているさなかとあって、仮条件の水準や需給状況を注視しておきたい。
なお、今週はエッジテクノロジー(2月17日、マザーズ)の新規上場が発表されている。