以下は、2024年1月10日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された【TOPIX】2023年の振り返りと24年の見通しです。
TOPIX2023年相場の振り返り、2024年の相場見通しを、フィスコ マーケットレポーター高井ひろえが紹介、2回に分けてします。


皆さん、こんにちは。フィスコ・マーケットレポーターの高井ひろえです。本日は、2023年のTOPIXの振り返りと、24年の見通し、ミニTOPIX先物についてお話させて頂きます。

まずは2023年のTOPIXの動向について解説させて頂きます。23年11月末現在TOPIXは年初の水準からは27.1%程度高い水準にあります。4月に米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が12年ぶりに来日し日本の5大商社株を買い増し、その後も海外投資家の買いが続きました。
海外投資家は10月までに現物ベースで日本株を3兆4800億円強買い越しており、これはアベノミクス相場に沸いた2013年の15兆円に次ぐ水準です。

この上昇率は世界主要国の同期間株価パフォーマンスと比較しても最も高い水準です。
この期間の米国S&P500の上昇率は19.4%、ドイツDAX株価指数の上昇率は15.3%、英国FTSE100は1.3%の下落で、香港ハンセン指数は15.4%の下落となります。背景には、日本経済は長年デフレに苦しめられてきましたが、ようやく本格的なデフレ克服が視野に入ってきたことがあげられます。また東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するよう要請し、企業がこれまでに増して増配や自社株買いなどの株主還元を積極化させ、また資本コストやROEを意識した経営を進めていることがあげられます。更に米中対立により欧米の投資家は中国市場への投資を減らしており、この資金を日本市場に振り向けている可能性があります。


次に2024年のTOPIXを予想する上でのポイントを話したいと思います。2024年の最大のイベントはやはり米国の大統領選挙と思われます。超大国アメリカの政治・経済の動向は日本経済にも多大な影響をおよぼします。これまでの米大統領選挙の年のTOPIXパフォーマンスを振り返ります。2000年以降ではこれまでに大統領選挙は、2000年、2004年、2008年、2012年、2016年、2020年に行われてきました。合計6回で、平均の年間騰落率は-6%です。
この値は2000年から2022年までのTOPIXの年平均騰落率+3%と比較するとかなり低いです。ただし、この大統領選挙があった6年のうち1回は2008年の金融危機の年であり、この年を除くと大統領選挙年の平均騰落率は+1.1%になります。6回の大統領選挙年のうち、最もパフォーマンスが良かったのは2012年です。この年はNYダウの上昇率7.3%に対し、TOPIXは+18.0%になり大幅にアウトパフォームしました。11月14日の党首討論で当時の野田首相が衆議院を解散することを明言し、第二次安倍政権の誕生期待から年末にかけてTOPIXは大幅上昇を示しました。

そして2013年にはアベノミクスラリーによりTOPIXは50%以上上昇しました。
この6回の大統領選挙の年でNYダウの年間上昇率が最も高かったのはトランプ前大統領が選挙に勝利した2016年で、その上昇率は13.4%になりましたが、この年のTOPIX騰落率は-1.9%でした。トランプ政権の誕生により、米国が保護主義的な貿易政策に動き、自動車やエレクトロニクス関連など輸出株の業績への影響が懸念されたためです。また安全保障の面でもトランプ氏は同盟国との関係を軽視する向きがあり地政学リスクの増大が懸念されました。

来年2024年の大統領選挙においてもトランプ氏が再選する可能性があり、日本株市場では2016年同様にこれらの懸念が株価にマイナスの影響を与えるかもしれません。

—【TOPIX】2023年の振り返りと24年の見通し~vol.2に続く—