*12:45JST 後場に注目すべき3つのポイント~目先の株安一服も当面は神経質な相場展開
8日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

日経平均は大幅反落、目先の株安一服も当面は神経質な相場展開
・ドル・円は下げ渋り、イランの米軍施設攻撃後は買戻し
・値下がり寄与トップはファーストリテ、同2位はファナック

■日経平均は大幅反落、目先の株安一服も当面は神経質な相場展開

日経平均は大幅反落。
461.08円安の23114.64円(出来高概算7億9000万株)で前場の取引を終えている。

7日の米株式市場でNYダウは反落し、119ドル安となった。米軍によるイラン革命防衛隊司令官の殺害を受け、イランが米国への報復を示唆。中東情勢悪化への警戒感が相場の重しとなった。また、朝方にはイランが弾道ミサイルで駐イラク米軍基地を攻撃したことが伝わり、本日の日経平均は358円安からスタート。原油先物相場が急伸し、円相場が一時1ドル=107円台後半まで上昇するとともに、日経平均は22951.18円(624.54円安)まで下落する場面があった。
ただ、前場中ごろを過ぎるとやや下げ渋り、23100円近辺まで戻して前場を折り返した。東証1部の値下がり銘柄は全体の9割超と全面安の展開になっている。

個別では、ソフトバンクGや日立が2%超、村田製が3%超下落しているほか、任天堂、ファーストリテ、トヨタ自などその他売買代金上位も全般軟調。ただ、前日賑わったソニーは本日も小幅安にとどまっている。一昨日と同様に海運株が大きく売られ、川崎船は6%近い下落。また、堅調な決算ながら材料出尽くし感が広がったネクステージは東証1部下落率トップとなっている。
一方、売買代金上位ではNECが逆行高。原油高を受けて国際帝石や石油資源も買われた。また、防衛関連の石川製や豊和工はストップ高を付けた。セクターでは、海運業、ガラス・土石製品、精密機器などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは鉱業のみだった。

イランによる駐イラク米軍基地攻撃を受けて中東情勢を巡る緊張が一気に高まり、本日の日経平均は一時600円超下落し、節目の23000円を取引時間中としてはおよそ1カ月半ぶりに割り込む場面があった。
ただ、前場中ごろを過ぎると株安・円高とも一服しつつある。米軍は被害状況を確認中だが、現時点で死者は出ていないもようで、トランプ米大統領は予定していた演説を取り止めたとの情報がある。また、イラン側も米国が報復しなければ更なる攻撃を取り止めるとの考えを示しているようだ。いずれも未確認の情報だが、「ここまで状況はまだ米イラン双方のコントロール下にある」との見方が短期筋の買い戻しにつながっているものとみられる。

しかし、日経平均は大発会から大幅な下落と上昇を繰り返しており、中東での偶発的な衝突発生や世界的なテロ拡散などのリスクを考慮しても、積極的な買いは入れづらいところだろう。新興市場でもマザーズ指数が一時3%超の下落。
一般的に外部環境の影響を受けにくいとされる中小型株だが、やはり個人投資家は地政学リスクに敏感だ。当面は関連ニュースに大きく振らされる、神経質な相場展開が続きそうだ。なお、本日はABCマートやウエルシアHDの決算、米国では2019年12月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)全米雇用リポートなどの発表が予定されている。


■ドル・円は下げ渋り、イランの米軍施設攻撃後は買戻し

7日午前の東京市場でドル・円は下げ渋り。イラクにある米軍の駐留基地がイランから弾道ミサイルの砲撃を受けたことでリスク回避的な円買いが優勢となり、一時107円台まで下落。ただ、イラン側が米国との戦争を望まないとの見解を示し、ドルは急激に買い戻された。


ここまでの取引レンジは、ドル・円は107円65銭から108円52銭、ユーロ・円は120円17銭から120円99銭、ユーロ・ドルは1.1145ドルから1.1168ドル。


■後場のチェック銘柄

・神田通信機、石川製作所など、11銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値下がり寄与トップはファーストリテ、同2位はファナック


■経済指標・要人発言

【要人発言】
・トランプ米大統領
「イランからイラクにある2カ所の基地にミサイルが発射された」
「最も強力で備えのある軍が世界中にある」
「明日の朝に声明を発表する」
・ザリーフ・イラン外相
「イランの措置は完了。戦争を求めてはいない」

【経済指標】
・日・11月毎月勤労統計・現金給与総額:-0.2%(前年比予想:-0.1%、10月:0.0%)


<国内>
特になし

<海外>
・16:00 独・11月製造業受注(前月比予想:+0.2%、10月:-0.4%)




《HH》