1. 2025年3月期第3四半期累計の業績概要
2025年3月期第3四半期累計の業績は、売上高が69,700百万円(前年同期比4.9%減)、営業損益が463百万円の損失(前年同期は210百万円の損失)、経常損益が431百万円の損失(同328百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,658百万円(同972百万円の損失)と、減収及び営業損失拡大となった。
国別で見ると、日本国内は売上高が28,420百万円(前年同期比6.2%減)、営業損益が832百万円の損失(前年同期は399百万円の損失)となった。
製品別では、シート関係が第3四半期累計で、売上高が55,632百万円(前年同期比3,494百万円減)、セグメント利益が829百万円の損失(同89百万円の損失拡大)となった。同社は北米・アジア・中国において、主に本田技研工業<7267>(ホンダ)、三菱自動車工業<7211>、日産自動車<7201>各社の現地生産向けに製品納入しているが、中国向けが落ち込んだ。電子部品については、売上高が10,697百万円(同156百万円減)、セグメント利益が329百万円(同220百万円減)となった。主にマツダ向けに納入しているが、減益の主因は新製品の開発費が先行していることによる。その他製品では、売上高は3,370百万円と前年同期並みだったが、セグメント利益は工作機械向けハーネスの受注増により前年同期の損失から36百万円の黒字化となった。
2. 財務状況
財務面では、総資産が75,989百万円(前期末比5,192百万円の減少)となった。このうち流動資産は、現金及び預金の増加(2,885百万円)、受取手形及び売掛金の減少(2,860百万円)などから51,245百万円(前期末比775百万円の増加)となり、固定資産は、投資その他の資産の減少(5,280百万円)などにより、24,743百万円(前期末比5,967百万円の減少)となった、負債は、25,513百万円(同4,398百万円の減少)と短期借入金の減少(2,845百万円)などから20,689百万円(同2,949百万円の減少)となった。純資産は、50,475百万円(同794百万円の減少)で、第3四半期末における自己資本比率は66.0%となっている。
3. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は、第3四半期までは中国向けの不振が収益に影響を及ぼし苦戦したものの、足元では持ち直してきた。
中国向けについては、日本車販売の不振により3~4割減少しており、増加に転じるのが難しい状況にあると同社は見ていた。そのため、縮小した市場に合わせて現地で希望退職を実施したが、その体質強化策の効果が業績面で現れ始めた。一方、北米に関しても、テネシー工場を2024年末に閉鎖、北米のシートアジャスタ生産をオハイオ工場へ集約、一拠点化して効率を高めることに成功し、原価率の低減を図ったことなどがプラスに寄与した。さらに、円安・ドル高の効果も収益を押し上げる要因となった。
このように構造改革を進めたことで利益率が向上し、業績の上方修正につながった。しばらく業績面で苦戦が続いたものの、利益を生み出す体質に転換したと言えよう。今後も利益を生み出す施策を進める考えだ。日本国内ではシート関連製品は頭打ちと見ているが、一方で電子事業は順調に拡大しておりさらに強化する。アジア地域では中国以外の地域、具体的にはインドにおいて日系メーカー主体で受注が増えているが、中国から他の地域への拡充が急がれる。北米に関しては、米国でトランプ大統領が就任して以降ビジネス環境の不透明感が増しているが、テイ・エス テックとの連携などにより米国自動車メーカーへの営業を強化する考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)