*16:21JST コネクシオ Research Memo(1):2020年3月期は、販売台数減だが営業利益は9期連続の増益
■要約

コネクシオは、伊藤忠商事系の大手携帯電話販売代理店で、総販売台数で業界第2位、NTTドコモではNo.1の代理店である。携帯電話端末の販売にとどまらず、法人向けにスマートフォンを利用したモバイル端末管理運用サービスの提供やコンビニエンスストアへのプリペイドカード販売などに加えて、IoTゲートウェイ端末など同社独自の製品・商品、IoTソリューションの提供も手掛けている。


1. 2020年3月期の販売台数は19.8%減ながら営業利益は9期連続の増益
2020年3月期の業績は、売上高が前期比20.8%減の209,005百万円、営業利益が同0.5%増の10,330百万円、経常利益が同0.2%減の10,515百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の7,000百万円となった。販売台数は、2019年6月からのNTTドコモの分離プラン移行、同年10月からの改正「電気通信事業法」の施行や消費税増税、期末にかけての新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響などにより前期比19.8%減の201.8万台となったが、端末価格が比較的安定したこと、販売台数に連動しない手数料収入の増加やスマートフォン向け周辺商材の販売を強化したこと、法人向けモバイルヘルプデスクの導入社数の伸長と採算性の改善等により売上総利益率は25.0%(前期19.7%)へ改善した。その結果、大幅減収にもかかわらず売上総利益額は52,245百万円(同0.7%増)となり、加えて販管費を前期比0.7%増の41,914百万円に抑制したことから、営業利益は9期連続の増益を達成した。

2. 現時点での2021年3月期の業績予想の開示はなし
今後のコロナの影響が見極められないことから、進行中の2021年3月期の通期業績予想は現時点では開示されていない。同社では、「今後の状況変化を見極めつつ、一定の整理ができ次第、速やかに開示する」としている。同社では「コロナの影響」に対して適切な情報開示を行っており、この点について東京証券取引所から「新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示の好事例」の1社に選ばれた。


3. 配当性向40%は維持。中期経営計画も粛々と推進
同社は、配当性向40%を目途として安定的な配当を継続して行えるよう業績の向上に努めることを利益配分に関する基本方針としており、これに沿って2019年3月期は年間配当60.0円(配当性向38.8%)、2020年3月期も同60.0円(同38.3%)を実施した。2021年3月期の配当金額については、現在までのところ金額は未定であるが、同社は「配当性向40%は維持する方針だ」と述べている。一方で、以前からの中期経営計画「コネクシオプラン2020」は粛々と推進する計画だ。

■Key Points
・大手携帯電話販売代理店、NTTドコモでNo.1
・2020年3月期は、逆風により販売台数減ながら利益率改善で営業利益は9期連続の増益を達成
・今期以降の業績・配当は未定ながら計画どおりの戦略を推進する

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)





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