レビュー

「人手不足」と言われて久しい。特に中小企業においては、「募集をかけても正社員もパート従業員も集まらない」「新卒なんてもう何年も採用できていない」という声も耳にする。

市場縮小、グローバル化など外部環境の変化の速さもあり、次の一手をどのように打つべきか迷ううちに時間ばかり過ぎているという経営者も多いだろう。
本書は、そのような諦めにも似た“採用への思い込み”を覆すような驚きの超攻撃的戦略を授けてくれる。それが、「採用ファースト経営」だ。すなわち「新卒大量採用」「早期育成」「定着化」を3本柱とした成長戦略である。人財戦略と中期経営計画などの事業戦略を両輪で動かすという発想は、まるで空いた穴が塞がらないかのように「人が来ない」と嘆く経営者の覚悟を問うているようだ。
すべての企業にこの戦略が当てはまるわけではないと、本書には断り書きがなされている。
あくまで成長を目指すことが前提だからだ。成長志向の中小企業にとって、会社の成長は社員一人ひとりの成長と貢献にかかっている。だからこそ10年後を見据えたローリスク・ハイリターン投資として、本書に書かれている戦略は悩める経営者に大きなヒントを与えてくれるだろう。
とはいえ、「中小企業に新卒が来てくれるわけがない」と思い込んでいる方も多いだろう。そんな方にこそ、ぜひ本書を読んでほしい。新卒採用のバイブルといってもいいほど、具体的で、すぐに実行に移せる戦略が紹介されている一冊である。

本書の要点

・採用ファースト経営とは、「新卒大量採用」「早期育成」「定着化」を3本の柱とした、企業の業績を圧倒的なスピードで上げていくための成長モデルだ。
・採用ファースト経営を実現するには、企業ミッションと中期経営計画の見直し、中期経営計画に基づく人員計画の策定、即戦力化を可能にする業務改革・ビジネスモデル改革、採用体制の整備、評価制度の見直し、自社の魅力を高める改革を行う必要がある。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に1,500タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。