レビュー

4年ごとにおこなわれるアメリカ大統領選挙。立候補した各党のリーダーたちは自信にあふれている。

雄弁かつ弁舌さわやかに、国のあるべき姿を説き、聴衆たちを鼓舞する。この堂々たる姿こそが、アメリカ人の理想とするリーダー像・人間像とされてきたことは想像に難くない。
日本でも教育やビジネスの現場で、グループワークやプレゼンテーションに重点が置かれるようになり、社交的で自己アピールが上手な外向型のタイプに評価が集まる傾向にある。内気でシャイな内向型の人が密かに劣等感を抱くことも少なくないだろう。
本書によると、内向型・外向型は生まれつきによる部分が大きいのだという。性格は成長過程の経験や本人の努力によっても多少変化するが、その範囲は持って生まれ持った気質を超えることはない。
また、外向型国家のアメリカにおいても、実は三分の一から二分の一の人が内向型なのだという。彼らは社会が求める姿に向けて、がんばって外向型のふりをしているのだと。
本書はアメリカでミリオンセラーとなり、36の言語に翻訳され世界中で話題になった一冊だ。内向型の人間は、私たちが思う以上に多いようだ。本書を読めば、内向型への偏見が薄れるとともに、その素晴らしい特性を知ることができるだろう。内向型の優秀なリーダーや創造性を発揮してきた人物の事例は勇気づけられるものばかりだ。
多くの方に、内向型の秘めたる「すごい力」を実感していただきたい。

本書の要点

・偉大なアイデアや美術や発明の一部は、物静かで思索的な人々によるものである。
・外向型国家のアメリカでは、リーダーは自信家で雄弁であるべきと考えられているが、雄弁さと洞察力の深さの相関関係は確認されていない。むしろ、多くの有能なリーダーは内向型であるという事実がある。
・内向型・外向型を決めるのは遺伝や脳神経系の影響が大きい。生まれ持った気質を努力で変えることは難しいが、自分にとって最適な刺激レベルを知り、その環境に身を置くことで生き生きとした人生を送ることができる。



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