レビュー
今の日本で漫画を知らない人はいないだろう。戦後から脈々と蓄積されてきた漫画は、今や押しも押されぬ日本の文化となった。
本書はキャラアート株式会社という企業の代表取締役会長が筆をとる。この人物は、教科書や参考書にほとんど頼らず、漫画を駆使して東京大学理科Ⅰ類に合格したという筋金入りの漫画好きだ。こうした漫画への情熱を組織論に昇華させ、今なお躍進を続けている。
漫画は地位の高いメディアとしては認められてこなかったが、先人たちが研鑽に研鑽を重ねたおかげで、日本の出版業界を席巻する一大メディアへと成長した。その技術と情報量の多さは目をみはるレベルだ。
我々は不透明感のある社会のうねりを模索しながら人生を渡る。そんな中、漫画という優れたメディアを取り入れた本書の思考法は、眼差しに透明感をもたらす光になるだろう。
本書の要点
・今でこそ輝かしい経歴を持つ著者ではあるが、そこまでは苦難の連続だった。そこで出会ったのが『寄生獣』だ。この出会いは後の人生を大きく左右する。
・漫画はその優れた表現技法で、さまざまなことを可能とする。情報密度の高さは他のメディアと比較しても非常に高い。漫画は学びに最適である。
・インテグラル理論によって、ある時代になぜその漫画が流行ったかが説明できる。そしてその主人公たちを分析することで、多様な個人の意識についてより深く知ることが可能となる。
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