全敗したら「岸田おろし」の号砲が鳴る──と囁かれる衆院補欠選挙(28日投開票)が、来週16日に告示される。選挙が行われるのは東京15区、島根1区、長崎3区の3選挙区だ。


 そのうち東京15区にガ然、注目が集まっている。候補者が乱立し、このまま選挙戦に突入したら、どの候補も当選に必要な「法定得票数」に届かず、異例の「再選挙」になる可能性が高まっているからだ。現在、立候補を予定しているのは8人。すでに多くの候補者が活動を開始していて、降りる雰囲気がない。


「この週末(6日)には、花見客が集まる地元の木場公園に日本保守党の候補予定者や、出馬を表明している須藤元気さんが顔を出して、パンフレットを配ったり、花見客と一緒に写真を撮っていました。維新の宣伝カーも走っているし、自民党議員だった秋元司氏も各戸にチラシをポスティングしています。

もう、みな選挙モードです」(地元住民)



東京15区が再選挙なら3敗回避?

 衆院選(小選挙区)の「法定得票数」は、有効投票総数の6分の1と定められている。「再選挙」は40日以内に行われる。最初の選挙の候補者でなくても立候補は可能だ。「再選挙」を実施しても、誰も法定得票数に届かない場合は「再々選挙」となる。


「再選挙」が懸念されているのは、候補者が乱立しそうなうえ、自民党が独自候補の擁立を断念したこともあり、圧倒的に強い候補が存在しないからだ。しかも、候補者それぞれが、そこそこの票を奪いそうなのだ。

当初、小池都知事が率いる「ファーストの会」が擁立し、自民党が推薦を検討している作家の乙武洋匡氏が強いのでは、という見方もあったが、公明党が支援に難色を示したことで、混戦模様に拍車がかかっている。


 自民党にとって「再選挙」は、悪い話じゃないらしい。


「トリプル補選のうち、自民党は東京15区と、長崎3区は候補者の擁立を諦め、すでに“2敗”が確定しています。唯一、擁立する島根1区も苦戦必至。最悪、補選3連敗になってしまう。でも、東京15区が再選挙になれば、3敗を避けられます。

ダメージが違います」(政界関係者)


 投票率が低くなると、「再選挙」の可能性が高くなるとみられている。