落語家の立川晴の輔(51)が、3月いっぱいで卒業した林家木久扇(86)に代わり、7日放送の「笑点」(日本テレビ系)で大喜利の新メンバーとして初登場した。


 55年間にわたり出演した木久扇に連れられて登場した晴の輔は、いささか緊張した面持ちで座布団の上へ。

その後は、無事に大喜利に加わった。


 晴の輔は、兵庫県神戸市生まれ。東京農大卒業後、1997年に立川志の輔に入門。2003年、二つ目昇進。13年に真打ちに昇進した。


 立川流の元顧問で演芸評論家の吉川潮氏はこう話す。


立川談志師匠の孫弟子にあたりますが、明るい落語で、お客さんを喜ばせる才能にあふれ、人柄も抜群にいい。彼は志の輔の一番弟子だったんですが、志の輔の運転手もしていて、前座時代から非常に厳しく教育されてきたんです」


 真打ち昇進の際も、立川流にはかつて“真打ちトライアル”という、独演会を師匠に見せて真打ちに昇進させるべきか否かを判定してもらう制度があったそうで、そこでは落語以外にもスーツで漫談や一人芝居をすることも課され、志の輔には相当厳しく指導されたそうだ。


「彼は4~5回ほどやったんじゃないかな。そうした高いハードルを越えて真打ちになったので、並大抵の努力家ではないと思います。同時に彼は、無名の二つ目の頃から、川越と千葉と町田と東京都内の4カ所で地域寄席をずっと続けていて、ひいきのお客さんを増やしていった。真打ち披露パーティーでもニューオータニの大宴会場に異例の700人近くが集まったんですよ。

それでも彼はおごることなく、昇進後も4カ所で寄席を続けていましたね。そういう地道な努力と、誠実で愛嬌がある“愛されキャラ”が、今回の抜擢につながったと思います」(吉川氏)



立川流は55年ぶりで4団体が勢ぞろい、大同団結も

「笑点」の大喜利メンバーを巡っては、近年、出演者の高齢化などにより世代交代が進められており、桂宮治(22年1月から)、春風亭一之輔(23年2月から)ら、若手の実力派が加わり新陳代謝が促進されている。


 晴の輔もBS日テレの「笑点 特大号」の若手大喜利コーナーで活躍したり、19年に病気療養中だった6代目三遊亭円楽の代役として出場したりしてきたが、今回、ついに正式メンバーとなった。


 立川流の落語家が、「笑点」の大喜利のレギュラーメンバーとして出演するのは、同番組創設者の故・立川談志師匠が1969年に番組を降板して以来、実に55年ぶり。


「立川流を入れた意義は大きいと思いますよ。これで東京の4団体(落語協会、落語芸術協会、円楽一門会、落語立川流)が揃った。

日本テレビはいい人事をしたと思います。もう談志師匠が亡くなって10年以上経っているわけでね。立川流の中でも特に愛されている晴の輔が加入したことで他の師匠たちも喜んでいるでしょ。彼にとっても、立川流にとっても値千金だし、談志師匠も“俺がつくった笑点についに弟子が入ったか”と天国で喜んでるんじゃないんですかね」(吉川氏)


 談志の孫弟子が座布団に座る意義はとてつもなく大きい。落語会が大同団結の可能性も出てきた。