【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】


 一時期、ワイドショーで芸能ニュースを差し置いて散々報じられた“紀州のドン・ファン”殺害事件。2018年にその資産家男性が急性覚醒剤中毒で死亡。

その3年後の21年、彼に覚醒剤をのませて殺害した疑いで逮捕・起訴されたのが、男性が死亡する3カ月前に結婚した55歳年下の元妻・須藤早貴被告(28)だった。


 その須藤被告が「初公判」という見出しが躍った。おっと思われた向きも多かったろうが、ドン・ファン事件とは別の刑事裁判のために出廷したということだった。


 彼女(当時19)は15年から16年にかけて、当時61歳だった別の男性から海外留学の準備金などの名目で2980万円をだまし取った詐欺罪に問われている。須藤被告は「金を受け取ったことは事実。嘘もついたが、それを分かった上で、彼は私の体をもてあそぶために支払った」として争う姿勢。

パパ活としての報酬というわけか。判決は9月に下される予定だが、この裁判で須藤被告が有罪になれば、殺人容疑においてもかなり心証が悪くなると思われる。


 しかし、須藤被告は殺人容疑についても、おそらく否認するとみられている。確かに須藤被告が密売人から覚醒剤を入手したことは確認されているが、「覚醒剤を夫に渡しておいたら勝手にのんだ」と言うかもしれず、裁判の行方は不明。


 こちらの初公判はいまだにめどが立っていない。検察側の証拠資料が膨大で、その開示手続きに時間がかかっているともいわれるが、勾留から3年経っても裁判の期日が決まらないのは異常。

素人目にも公判維持は大丈夫かと言いたくなる。


 そしてもうひとつ、非常に重要な裁判がある。ドン・ファンが生前に書いたとされる遺言書について、親族がその無効確認を求めた民事訴訟だ。


 その遺言書の内容は「個人の全財産を田辺市にキフする」とコピー用紙に赤ペンでなぐり書きのように書かれたもの。田辺市は資産を押さえ、一部の美術品などは売却されている。この訴訟のためか、田辺市は弁護士委託費用などで1億数千万円を使っているというからたいへんな訴訟だ。


 田辺市への遺贈が仮に認められなかった場合、遺産は妻とドン・ファンのきょうだい4人の法定相続人に支払われる。訴えたのはきょうだいではあるが、妻が遺産の4分の3の権利がある。


 もちろん、須藤被告が殺人で有罪となれば相続できなくなることは言うまでもない。とはいえ、先ほどの件に戻るが、須藤被告が有罪になるのか、いささか心もとない。


 これからまた、ひと騒動になりそうだ。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)