どうも雲行きが怪しい。石破首相の闇献金疑惑に対する野党の追及が甘い。

第1党の立憲民主党の野田代表は、告発者が会見した翌日の13日、「様子を見ながら対応したい」とさらに消極化。“未来のパートナー”の醜聞だから手心を加えているのか。石破首相の評価は「ケチでダーティー」に変化したものの、このままではトボけ得の展開だ。


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 石破首相に「総額3000万円の闇献金をした」と告発したのは、政治団体「石破茂政経懇話会」の代表を務めた下根貴弘氏。石破首相の地元・鳥取と縁のある父と共に1990年代後半から政治資金パーティー券を大量購入したほか、自民党総裁選では貴弘氏が随行員として支えた。陣中見舞いや祝儀をたびたび渡し、事務所偽装に協力したとも証言。政治資金規正法違反の疑いがあると週刊文春が詳報した。


 ところが、石破首相は全面否定。9日の衆院文科委員会で野党議員から事実関係をただされると、「パー券購入、寄付、あるいは実態に反する事務所につきまして、身に覚えはございません。秘書にも確認しましたが、ございません」などと釈明した。


 反発した貴弘氏は12日に国会内で会見。「石破さんが言ったことは全部嘘です」と断言し、こう反論した。


「パー券(1枚2万円)購入は多い時で300枚。それが2、3回あった。(石破の)秘書が私の事務所にパー券を(開催)数カ月前に持ってきて、(開催)1、2週間前にまた来るので現金で渡していた」


「50枚つづりのハンコを押した無記名の領収書を5冊、10冊渡された」


「さまざまな方にタダで来てもらっていた。サクラです。反社とのつながりが強かった。融資するからパーティーに付き合ってくれと」


 下根会見から遡ること5時間前。衆院予算委員会の集中審議でも闇献金疑惑が俎上にのせられたが、野党の追及は手ぬるかった。質問したのは、立憲の長妻代表代行だけ。


「石破首相の答弁が本当だとすると、相手が嘘をついているということになる。何か人間関係のトラブルとか、そういったことがあったんですか」


 そう問われた石破首相は、我が意を得たりといったふうに「人さまのご家庭のことでございますので、公の場でお話しすることではないかと思います」と言いつつ、「お父さまが会社(から身を)を引かれた。その後、ご子息が次になるということで、権利関係をめぐって裁判所において審理が行われたということは承知を致しております」と説明。



具体的証言でも物証なし

「私との間でトラブルはございません」「世の中いろんなことがあるものだな、と改めて思い知った」などと余裕を見せた。


 骨肉の争いにより、思わぬ飛び火を食らったとでも言いたげだが、「政治家にカネを渡した経験がなければ、あれほど具体的な証言はできない。総理は否定するほか術がないだろう」(与党関係者)というのが永田町の見立て。ただ、貴弘氏は裏付けについて「10年以上前のことなので、現在そういうものはない。探せばあるかもしれない。私自身が証拠」と言っており、「物的証拠がなければ踏み込んで報じようがない」(全国紙記者)ため、追及に広がりを欠くのも事実だ。


 そんなこんなで野田氏は、「具体的な物証が出てきたならばもっと追及するが、様子を見ながら対応したい」と腰が引け、「個人的な恨みのようなものを感じる。怨念に満ちたドロドロの世界で引きずり回されてもいけない」と私怨のセンを強調。政治とカネの問題は矮小化されつつある。悪しき前例になりかねない。


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 野党にしてみれば、倒閣の好機到来のはずだが、第1党の立憲民主党の野田佳彦代表は鈍臭い。そこには「参院選後」をにらんだ思惑が…。●関連記事【もっと読む】『石破首相の闇献金疑惑を“見守る”腰抜け…ドン臭い野田立憲に透けて見える「大連立構想」』で詳報している。


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