出すのか、出さないのか。


 通常国会の会期末が2週間後に迫る中、内閣不信任決議案の提出をめぐって与野党が神経戦を繰り広げている。

不信任案を単独提出できるのは、「51人以上」の勢力を持つ野党第1党の立憲民主党だけ。少数与党の石破政権は「提出したら衆院解散」をチラつかせ、衆参ダブル選挙の覚悟がない立憲の野田佳彦代表はオタオタ。国民民主党の玉木雄一郎代表からは「政権交代を目指す野田氏は出すべきではないか」とあおられ、足元が定まらずに事前協議すると言い出した。弱々しいにも程がある。


 不信任案提出をめぐり、野田代表は6日の会見で「急に出したら、みんな驚く。どの党にも事前にお話をしながら進めていくものだ」と持論を展開。「不信任案を通したいのであれば、共同提案するつもりはあるかということだ。われわれだけに『何かしろ』ではなく、ご自身はどうなのかを問いたい」とも言っていたが、何のこっちゃ。


 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。


「不信任案提出をめぐって野党が事前協議するなんて聞いたことがない。要するに、出したくないのでしょう。かたや自民党はどちらに転んでも損をしない。

総選挙で勝てば少数与党を脱して衆参両院で過半数を握れるし、負ければ連立の枠組みを広げればいい。野田代表はトランプ関税を『国難』とする石破首相の認識に同調し、『野党第1党としてできることは何でもやる』と言っています。政府が日米合意を目指すG7サミット(15~17日)後の最終週はザワつくでしょう」


■維新は内輪話をペラペラ


 不信任可決には過半数(233)が必要だ。野党系主要5会派の立憲(148)、日本維新の会(38)、国民(27)、れいわ新選組(9)、共産党(8)が仮にまとまっても足りない。少数会派も巻き込んでガチガチに固めるには相当な腕力が必要だが、視界は極めて不良だ。維新の前原誠司共同代表は5日の会見で、2週間前に野田氏から「決断を下すときには相談したい」と言われたとか、「一貫して首相は不信任案が出れば衆院を解散すると言っていた。ブレてない」などと内輪話をペラペラ。当事者意識が感じられない。


 そうでなくても、「コメ担当大臣」を自任する小泉進次郎農相が野放図に備蓄米をバラまいたことで、石破政権は息を吹き返しつつある。林芳正官房長官は6日の会見で、天皇不在時に「解散を決定した事例はある」と発言。今国会最終盤となる19、20日に、天皇皇后が戦没者慰霊の一環で広島訪問する日程を念頭にした質問に答える形で立憲を牽制した。


「野田立憲には政権構想がない。

内閣総辞職、あるいは衆院解散につながる不信任案を提出する大義がない。他党はもれなく『やるならやってみろ』ってなもんで、お手並み拝見です」(与党関係者)


 確かに「野田首相」再登板はキツイものがある。


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