予想通りではあるが、立憲民主党の野田佳彦代表が内閣不信任決議案の提出を見送ると19日表明した。野田代表は昼過ぎ、他の野党とともに石破首相と党首会談。
「大事な外交努力をしなければならない。危機管理上の問題もある時に政治空白をつくるべきではない」
提出すれば衆参ダブル選挙の可能性があるが、「勝つか負けるかわからない。衆院で少数与党に追い込んでいる優位性を捨てることはリスクがある」と言い訳したうえで、「弱腰ではなく、責任ある態度だ」と強弁した。
一方で「石破政権の物価高対策は無策だ。信任できる状態ではない」と付け加えるのだから、意味不明だ。
不信任案をめぐる終盤国会の政局で、石破政権は「提出されたら採決前に衆院解散」と野党に脅しをかけてきた。しかし実態は、政権側こそ提出されるのを回避したがっていた。
「公明党はダブル選挙だけは絶対にノーだ。党勢が衰えている中、参院選に手いっぱいで対応できない。斉藤代表がしきりに解散に否定的な見解を示していたのは自民党へのメッセージでもあった」(永田町関係者)
G7終了後のカナダで、石破首相が「政権与党として喫緊の課題に決してすき間をつくることがないよう全力を尽くす」と発言した真意は、立憲に対し「不信任案を出さないで」の懇願だったのだ。それに真正面から応える野田代表。
「不信任案を出さないと石破政権を信任することになる。多くの国民から『やっぱり根性がない』と見られても仕方ない。参院選にはマイナスでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
野田代表の会見から遡ること5時間前。小沢一郎や江田憲司ら立憲議員有志が不信任案提出を求める会合を開き、代理含め衆院58人が集まった。そこでの発言はこの通り。
「物価高対策や政治改革など政権与党と考え方が違うのに、不信任提出の機会を放棄するのは、本会議場で国民の皆さんに説明責任を果たすという野党第1党の責務の放棄だ」
彼らか野田代表か、どちらが正論かは、言うまでもない。
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