【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】
今年の夏も暑いですねえ。暑い夏といえば「怪談話」というのが大昔から日本の定番ですもんねえ。
でも、ここのところそういう番組は少なくなりましたよねえ。なんだか寂しいですけど…これには、大きく言って2つの理由があるんです。詳しくご説明しましょう。
まずひとつ目の大きな理由は「放送基準」です。日本民間放送連盟の放送基準第8章(52)には「迷信は肯定的に取り扱わない」と定められています。心霊スポットや心霊写真は、迷信なのか? というと、人によっては異議があるかもしれませんが、まあ迷信でしょうね(笑)民放だけじゃなくNHKでも当然同じように、あるいは民放以上に迷信を肯定的に扱ってはいけないわけですから、「心霊現象を肯定的に扱う番組」とか放送ではやれないわけですね。
■視聴率が取れていた時代はルール無視だったが
じつは以前から、ルール的には迷信を肯定的に取り扱っちゃいけないのは同じなんですが、かつては「そんなもん知るか。面白くて視聴率がとれれば何でもいいわい」くらいの勢いで、ルール無視をぶっこいて堂々と迷信を放送していたわけです。
それがここのところのコンプラ重視傾向で、「やっぱそりゃまずいでしょ」ということになったのでガチホラー系番組が少なくなってきたわけです。そりゃそうですよ。
ということでかなり「扱い方」が難しくなってきました。「これは本当に心霊写真なのかを映像の専門家に分析してもらった」みたいなことにしたり、「怪奇現象を科学的に検証してもらった」みたいなことにしないと、「いや、この番組は迷信を肯定的に扱ってません」と言えませんから、放送できないわけです。
そこで第2の理由です。視聴率がそんなにとれなくなってきた。いまやネット上ではガンガン怖いホラー系の動画が溢れてますし、彼らは迷信だろうと強引だろうと非科学的だろうとお構いなしに怖くしてくるわけですから、テレビの方が断然ツマラナイ。で、心霊番組をやっても太刀打ちできない…というわけです。
(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)
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